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このままでは美容師が枯渇する3つの理由
操作イトウです。
今回のお話は、ちょっと前に見たホリエモンチャンネルから。3:20辺りから、口村さんとのやり取りが「まさに!」な意見でした。
堀江「もっとこれからいうと、美容師の成り手がドンドン少なくなると思います。なぜなら、稼げないから」※動画の5:30から抜粋
僕も近い内容をnoteで書いています。↓
美容師の給与に関する記事。厳しい現実です↓
では美容師はなぜ稼げないのか?そして、美容師の成り手がドンドン少なくなる理由とは?
某クーポンサイトによる集客が起こした弊害
お客様が美容室を探すとき、当たり前にするGoogle検索。[〇〇市(地域や駅など)、美容室]など検索すると、真っ先に上がるのはあのクーポンサイトです。
そもそもサイト内には、その地域の美容室が全て載っている、と思っていませんか?
サイト内では必ず“初回割引クーポン”などが付いています。利用された方も多いと思いますが、このサイトは「地域の美容室検索サイト」というより、クーポンを前提とした「お買い得情報サイト」です。美容室側がロイヤリティを支払って掲載されているため、契約していない美容室が掲載されることはありません。
美容室が契約する理由はただ一つ。クーポンサイトが検索の1ページ目の一番最初に上がってくるため、圧倒的な集客が確保されるからです。なのでもう1クリック押され、予約が入る可能性はダントツに高い。
お客様からすると、沢山美容室がピックアップされているサイトを見つけたら、自然に「載っている美容室から選び取ろう」という心理になります。
しかしサイト内でもまた、上位に上がるための競争が行われています。これも1ページ目に上がらないと閲覧数は伸びず、契約したのにロイヤリティ分の利益を上げられません。
選び取られるために美容室は、「アクセスの良さ」「ヘアスタイル写真の充実」「お店の雰囲気の演出」「ユーザーのコメントによる評判」など、ステキなお店であることをアピールします。
ですが一番有効なのは、もっと高額なロイヤリティを支払う形での上位掲載です。資金力のある企業であれば問題ないかもしれません。街の一美容室にとっては大きな出費ですが、優位性を保つために、広告宣伝費を惜しまない形が増えました。
そのサイト内に無いと、検索に引っ掛からず「美容室が存在しない」ことと同じになってしまう。契約の優位性は希薄なまま、いつしか美容室がクーポンサイトと契約することが当たり前に。
そこで起きたのが、価格競争です。
ブランド力のない街の一美容室がどうやって優位性を築くか、それは価格です。
[カット+カラー+トリートメントのセットメニューで¥●000!!]
と平均的な金額よりも明らかに安い金額を提示すれば、それらを凌駕できます。
ですが「一人当たりの売り上げが小さい」と言うことは、お客様の数が増えないと利益につながりません。回転を早めて、より沢山お客様を呼ぶ必要があります。
ですが例えばカラーをするには、
薬剤を塗る → 薬剤を効かせる → 洗い流す → 髪を乾かす
これらの工程に時間がかかり、時間を減らそうにも減らせません。
1000円カットは、企業努力による究極の牛丼スタイルです↓
削減できるところは、薬剤を安価なものにすること、そして施術する時間。すると減っていくのは、一人一人のお客様に対するクオリティです。また、それをするだけ美容師個人の評判は下がり、付加価値も上乗せできません。美容師自身も絶え間ない接客に追われ、しゃにむに働いて疲弊してしまう。
売り上げから宣伝広告費が差し引かれてしまうため、こうした薄利多売から抜け出せない、言うなれば「安物“売り”の銭失い」のループから抜け出せない美容室が山程あります。
詳しくはコチラ↓
若手の人材確保ができない理由
成り手が増えない理由は様々です。もちろん少子化もありますが、動画でも挙げていた「国家資格」の矛盾が大きいです。
美容師試験は2年間の専門学校での受講歴がないと、受験資格を得られません。一方で、試験課題の「実技」には実践的な要素が欠落しているため、就職しても文字通りのゼロからのスタートになります。僕自身10年以上美容師をしていますが、試験課題で行う技術を使ったことがありません。国家試験に実践で活用できるスキルは無いのです。
技術は勤めた美容室で教わることになるため、専門学校の2年間は「資格を取るため」にしかならず、学生は奨学金を背負うのにもかかわらず、実力的な階段を登ることが出来ない。
これでは夢を抱いて美容師になりたい若者に対して、ハードルが高すぎます。
詳しくはコチラ↓
ホリエモンが触れていないこと、元美容師は再就職を選ばない
これは上述した「資格を持っていても活用できるスキルが無い」ことに起因しています。勤めた美容室で技術を得る前に辞めてしまうと、また何年も下積みをしないと技術を得られず、再就職する選択を取りにくいのです。
美容師の異常に高い離職率の多くは、20代です。
実際に、美容師資格を持っているのに活用していない人が沢山います。僕の専門学校時代の同級生も、全員が国家資格を取得していながら、約7割は既に美容師ではありません。一度のドロップアウトからの再挑戦のハードルもまた、あまりに高いのです。
例えば一部の料理人のように、独学だけで技術を獲得するのは至難の業です。なぜならラーメン屋さんのような「この料理、一点勝負!」のスタイルができないからです。
ラーメンの場合、自分が繰り返しラーメンを作って、食べることで、美味しく作れるノウハウを一人でも培うことができます(偏見かもしれませんが)。
ですが美容師の場合、お客様の髪質や悩みに合わせた対応が必要になります。指導はケーススタディになることがほとんどで、ラーメン以外の沢山のメニューを作れないと、対応できなくなるのです。(『カラー専門店』など一部のチェーン展開する美容室では、カラーの技術“だけ”を短期間で習得するなどして、可能にしています)
最近はYouTubeなどでも美容師さんが技術的な動画をアップすることが増えたため、独学での習得が可能になったとも言えます。ですが、例えば30歳を過ぎてから低収入な美容界に再就職し、また下積みしなければ技術を得られない、というのは余程の決意がないと難しいことです。
枯渇するとどうなる?
美容室は人が行き交う立地や、アクセスの良さが最重要です。必然的に人口の多い都市部に集中するため、地方の過疎地から枯渇するでしょう。
今のまま同じ形だと、田舎の床屋さんや美容室は減っていく可能性があります。今後は、市街地に出ないと髪を切れない地域が出てくるかもしれません。
堀江さんも言っていましたが「美容業界は経営者人材があまりにも少ない」です。僕も含めて経営の勉強をしたことはなく、多くの美容室は土着的な支援で成立している、と言えます。
僕もまた「次の世代に出来ることを考えなくては!」と思った次第です。
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