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2024 お祭りの京都の旅・8 智積院で名勝庭園や長谷川等伯
2024年5月15〜16に京都へ旅をした。
これまでの3回の京都旅にて大好きな重森三玲のお庭を一通り見終えてこの5月は行かなくてもいいかなとも思っていたのだ。
ところが母の事が済んで、間を置かずに伯母の事が始まり、埃だらけの中で沢山のモノを捨て続ける作業に心が疲弊してしまったのだ。
「美」を見なくては。心に養分を与えなくては。
“雪舟”を観よう。その展覧会は東京での開催は無いのだ。
その他どこかのお庭も観よう。
だからこそ今回も京都。
もう、いっそのこと5月と11月には京都を訪れることに決めてしまおうか。
時刻は13:00。
京博の前田珈琲でエネルギー補給をして、体力回復のハト。
お次は東隣の智積院へ向かう。
そもそも今回智積院を訪れることにしたのは、
noteにて交流させていただいている、“ひばりん”さんのおすすめがあったことがきっかけ。ハトが雪舟展見にいくことを言ったら「お隣の智積院さんのお庭はおすすめですよ〜」と。
マップを確認すれば、なるほどお隣。しかも長谷川等伯の障壁画だと?確か三月ごろ“新・美の巨人たち”で見たぞ。アレか!
ということでの拝観決定。
その“ひばりんさん”の智積院についての記事はこちら↓
さて、智積院は“真言宗智山派 総本山智積院”とある。
末寺には関東ではお馴染みの成田山新勝寺、川崎大師平間寺、高尾山薬王院も。
(京阪電車の車両にお祭りされているお札の成田山は千葉の成田山ではない模様だが関連あるかも…←あくまでもハトの妄想)
金堂のご本尊は大日如来。
真言宗は空海が開宗。高野山にて真言教学を学ぶ学問所として隆盛。その中心人物“興教大師覚鑁上人(こうぎょうだいし かくばんしょうにん)”が紀州根来寺に移るが激動の歴史があり、難を逃れて京都へ。1615年に徳川家康が秀吉の愛児鶴松の菩提を弔うために建立した祥雲禅寺を智積院能化(のうけ:智積院における住職のこと)に寄進、以来「五百仏山(いおぶさん)根来寺智積院」と称する。
お坊さんの学校としての機能があり、学山としての伝統を保つ。
…と、ググったりパンフを読み込んで、ざっくりとこのような理解。
とはいえ、ハトの目的はお庭と等伯一派。
お寺の歴史は調べてみたところでちんぷんかんぷんである。
拝観料を納め、境内へ。
順路に沿って進むと目的のお庭がある、講堂・大書院だ。
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拝観は別の入り口。
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(写真の看板の位置からでは左側にあるように見えるが
拝観口から見て右手方向に進む。)
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本来は金堂を先ずお参りするのであろうが、
やはりお庭を先に拝観させていただく。
混雑、は無いが、
拝観者はちらほら。
なので無人写真は少し待ちながら、となった。
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講堂の門前でチケットも一緒に写してみる。
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再び良い天気になったきた。
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山にサツキがもこもこしていてかわいい。
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大書院へ。
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智積院の能化が賓客を迎える建物。
堂本印象が内部の障壁画を手掛けているのだそう。
特別公開時のみの拝観のため、今回は観れず。
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靴を脱いで上がると、お庭よりも先に鮮やかな障壁画に目を奪われてしまった。
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大書院はレプリカ。なので色鮮やか。
想像以上の華やかさに心奪われる。
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違棚のある部分の絵が“松に立葵図”
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“松に立葵図”、長谷川派。
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これらの絵のタイトルはわからず…
それに等伯筆の“松に黄蜀葵(とろろあおい)図”
もあったはずなのに写真撮って無かった
桜図は…
お庭の写真が撮りたくて無人の瞬間待ちをしている方が頑張っていて…
声をかけてちょっと席を外してもらったので後ほど。
ようやくお庭を。
利久好み、と言われる、名勝庭園。
ハトは名勝庭園そのものが説明されないと良くわからない。地味だなと思うし、うっかりすると“普通のお庭”のようにも感じる。
けれどもゆっくりと眺めていると「なんだか知らないが、何かとても良いものに触れた」感じがすると思う。例えて言えば良いお出汁のような、じんわりと体に染み入ってきて気がつけば心も体も緩んでいるような。
その中でも利久好みとは、より普通っぽさを装っているように感じる。(いや、多数見たわけでは無いのだが)
智積院の庭園も何らかの世界観を表しているはずで、読み解いていくのは面白そうだけど、いつものように心で感じること優先。こうやってnoteに書くときにググって調べている。
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後ろの山はなかなかの高さがあり、別世界空間を際立たせているように感じる
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なかなか拝観者さん多く。
座り込んでゆったり見たいのは皆同じ
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鳥になって飛んでいるような感覚を覚える。
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本当に可愛らしい量の水が落ちている。
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(なぜに真ん中に柱…)
お庭の作者は(重森三玲のことしか頭になかったため、作庭家は殆ど知らないのだが)
智積院7代目住職、運敞(うんしょう)僧正。この方はハト愛読サイトの“お庭さん”でも2件しか掲載されていなく。作庭家と言うよりは僧侶が圧倒的メインだった方と思われる。実際、智積院の復興に多くの功績があった方なのだそう。お庭の完成は江戸時代前期の1674年(延宝2年)。350年の歴史あるお庭なのか…と感動する。
お庭も堪能したことだし、そろそろ“桜図”を撮りたい。
無人の桜図を撮りたい、ハト。同じく無人のお庭を撮りたくて立派なカメラを抱えてずーっと座り込んでいたお兄さんに、ちょっとどいていただく。快く空間開けてくれた。
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元々は違う場所(旧祥雲寺)に設置されていたかららしい
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移設してときに絵をできるだけ残そうと工夫したことを感じられる。
お庭と障壁画ですでに大満足であるが、他も見なくては。
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右奥の大きな屋根が本坊だろう
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鬼瓦の一種で、“獅子口”
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この中庭である石庭の作庭は徳村盛市氏(植清徳村造園)。京都の造園会社。
このお庭が植清さんのHPの“名勝庭園・文化財庭園”のページのトップ写真になっていた。こちらは根来寺の庭園の維持管理もなさっている。
で、徳村盛市(とくむら せいいち)氏もググってみたら、文化財に指定された庭園の復興事業を師匠の森蘊(もり おさむ)と共に携わっていらした方。森蘊氏は桂離宮や修学院離宮に関わっている様子。
“京都ロイヤルシリーズ(桂離宮、御所、修学院離宮)”は観たい場所だから、ここで知ることが出来て良かった。
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多分、右側はお手洗い…
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拝観者用では無いから、ここが正式な玄関なのかもと思う。
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古いモノもあれば
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左の動物(エゾリス?)がかわいい
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講堂内の障壁画がなかなかの。
現代日本画の田淵俊夫氏の障壁画は超見応えあり。
(撮影禁止のため、田淵氏の作品の写真は無し)
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小柄な鐘がある。
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こちらのお庭には“時間の流れの永遠さ”を感じた。
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一文字手水鉢と呼ぶらしい…
講堂だから3人くらい同時に清められるようになのかも、と、妄想するハト。
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講堂の拝観を終え、再び大書院に戻る。
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お気に入りの一枚がコレ。
大雨の中の様子なのだが、部屋の明るさと反射で面白い写真となった
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大書院の拝観上がり口まで戻ってきた。
お庭方面が空いていそうなので、もう一度長谷川等伯の絵を見に行く。
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田淵氏の障壁画は正面側の3部屋にある
お庭の拝観受付の傍で植木(造園?)職人さん達が作業していた。
こうやって手を入れ続けられているからこその美しい景色なのだ。
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さて、後回しにしてしまった、ご本尊へお参りに。
智積院に拝観に来ている人の多くはお庭と宝物館が目当てで、それはハトもそうなのだが、境内の他のところを見て回っている方は少ない。
もっとも金堂は昭和50年(1975)ということなのもあるのかもしれない。
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ご本尊は大日如来
総本山としての多くの法要はここで厳修される
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ご本尊は不動明王
講堂再建の前はこの建物が講堂だったらしい
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鬼瓦でないアレは何だろう…
時刻は14:30
境内を見て回る人は少ない、と言いつつも、ハトも全部は見て回ることなく(笑う)
今回の旅最後のイベント、長谷川一門の絵を見に行く。
宝物館は智積院の拝観口から入って右側、お庭のある講堂や大書院とは反対側にある。
令和5年4月に開館したばかりのモダンな建物。
展示室の手前には前室もあり、ご本尊が祀られている。ここで手を合わせて内部へ進む。
内部は大きく二つに分かれていて、特別展示室と常時公開の長谷川等伯一門の国宝障壁画展示室(再現展示も)。
等伯ファンは多いためか、思ったより見学者が。
それでもみなさん、滞在時間は短め…
おかげさまでゆっくりと等伯の実物を堪能。
ハトとしてはレプリカでも十分満足してしまったので、本物はなんだか別物を見ているように思った。
しかしながら…
こちらの方が心に訴えかけられるものを感じた。楓図は「どや!」という感じや「描け、表現できる喜び」のような感じが伝わって来たように感じた。妄想といえば、そう。桜図も若い久蔵が笑顔をたたえて描いたような感じ。(きっと好きな人を思い浮かべていたのかも)
レプリカと本物の違い、を語るのはナンセンスだな、とも思った。
レプリカはレプリカの素晴らしさがあり、本物はもちろんの貴重さがある。
作品としては別物と捉えてもいいのかも、と思った。
ハトは両方ともお気に入りになった。
今回の記事を書くのにとても時間がかかってしまい、
なんと祇園祭も終わる頃合いに。
そんな中、ひばりんさんのnote記事で祇園祭の山鉾で“浄妙山(じょうみょうやま)”の前懸が桜図、後懸が楓図というのを知り、祇園祭も見たくなってしまった。
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時刻は15:30。
流石に“お腹いっぱい”である。
最後に休憩したく、一保堂へ向かう。