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忘れていた大切なこと

 ある女の子が廊下に落ちている帽子を拾って

 「先生,帽子が落ちていたんだけど,誰の物かわからないんだ」

と言ってきました。

 私はこの時点で,なんて素敵なのだろうと感じていました。だって,別に見て見ぬふりだってできたはずなのに,わざわざ誰の物かわからないけど,どうにかしたいという気持ちがあったわけなのですから。

 私も誰のかはわからなかったので,とりあえず私の机に置いておくことにしました。すると,

「先生,その帽子。」

別の女の子が私のもとにやってきて言いました。

「先生,その帽子,〇〇君のだから返してあげるね。」

 私と,帽子を拾ってきた女の子とのやり取りを見ていたのでしょう。自分の物でもない帽子を,〇〇君のだからと言って取りに来てくれたのです。実は〇〇君は今日,分散登校のため学校には来ていなかったのです。

 見て見ぬ振りもできたはずの女の子。
 本人がいないにもかかわらず,返してくれた女の子。

 私たちが(私が)忘れかけていた何か大切なことに気付かせてくれるような2人でした。

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