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楽しいことしかない

 教師には「空き時間」というものがある。自分以外の教諭が,自分のクラスの授業を担当する時などのことを言う。私はたいていこの空き時間には,子供たちの宿題のチェックなどの事務処理を行っていた。

「空き時間には同僚の授業を見に行きなさい」

 前任の教頭先生の言葉である。「そんなこと言っても時間ないし」と子供みたいなことを思っていた私だが,今日,ようやく重い腰を上げた。すると,予想以上に楽しかった!!

 今日,参観したのは図工の授業。今年度初めての図工ということで,先生は授業の進め方や,図工に対する考え方等を子供たちに伝えていた。

 何が楽しかったかというと,自分にはない「伝え方」「言い回し」「表現」「間」「話の順序」「子供への切り替えし」である。研究授業ではない,普段の授業だからこそ,その先生の素の姿が見れ,それが生き生きと私に伝わってきたのである。

 そしてもう一つ。自分のクラスの子供たちをじっくり観察できるということも楽しい。普段,自分が授業をしていると見落としていたであろう子供のつぶやきも,参観者の立場になると拾うことができる。それを今度は自分の授業に生かす。「へえ,この子,こういうこと考えるんだ。」という新たな子供理解につながる。もはや,楽しいことしかない。

 いやいや,「見られる立場になってよ」という方もいると思う。そこで,私は授業の最初と最後を重点的に見ることにした。そして,見たことは必ず授業者へフィードバックする。このようなギブ&テイクの関係が構築されてる学校は,色々な意味で強いと思う。そして,この強さは,子供たちへ還元されていく。やはり,楽しいことしかないのである。


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