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戦争を知らない子供たちを願って

NO WAR。それ以上に語ることなんて本来はなくてよいのだけど、ウクライナの人々に寄りそう気持ちも持たず、プーチンに対する怒りも持てない、およそ人間としての資格は持たない割に言語は操れる生き物のツイートを見すぎて気分が悪くなってきた。何も残さないことは自分が現状を肯定したということを残すことだ。プーチンのふるまいに怒りを表明し、ウクライナの人々への連帯を示したうえで、書きたいことも書く。

いろんなバカのツイートは腐るほど目に入ってきたのだけど、バカの煮凝りの代表として、自民党の杉並区議会議員のツイートを貼っておく。こんなのが区議会議員でいるということに、良識ある杉並区民の皆さまには心から同情を禁じ得ない。

ロシアがウクライナに全面侵攻。日本も他人事ではない。「アイヌ民族はロシアの先住民族」との発言もあり、それらを口実に一方的な侵攻の可能性もあり得る。中国による台湾・尖閣侵攻はどうか。遺憾や非難だけでは領土も国民の命も守れない。憲法9条では日本を守れない。他国は助けてくれない。
https://twitter.com/yaguchiyasuyuki/status/1496782502320500741
無防備なまま国際社会では話し合いのテーブルにもつけません。国を守るためには、我々国民の意識変革、国防増強が必要。先人たちが守り抜いた日本を子や孫の世代に引き継いでいくためにも、平和の恩恵を享受してきた私たちが目を覚ます時が来ました。
https://twitter.com/yaguchiyasuyuki/status/1496784376922877954

二重三重に間違っているのだが、まず論理的な間違いとして、ウクライナは憲法9条を持っていないし、それなりの軍事力を持っているにも関わらずロシアからの宣戦布告を受けている。「憲法9条」と他国の侵攻に関係はないし、他国が助けてくれないこととも関係ない。(自民党にありながら日米安保を根本から否定するという立場にも驚きだが。)

自衛権を憲法9条は否定していないので、国防増強というなら自衛権の範疇で目的を達成することは可能なので、議論の中に「憲法9条」を含める必要はない。要するにウクライナの人々の悲しみをもとに改憲議論をしたいだけのクソ野郎だ。

さらに指摘すれば「無防備なまま国際社会では話し合いのテーブルにもつけません」というのはこれまで長期にわたって与党として君臨していた自民党の外交をすべて否定するということで、自民党がなぜこいつを除籍しないのかよくわからない。

また、いちいち貼り付けはしないが、他のバカのツイートで「核を持っていないから攻める口実を与える。抑止力のために日本も核を持つべきだ。」といったものも見かける。核と核の戦争が何も残さないということは多くの人が指摘しているのでその点はあえて触れない。私には「憲法9条があるから戦争に巻き込まれないというのはお花畑だ」というその口で、「日本が核兵器を今から所有できる」というお花畑の考えを持てることが不思議でならない。
ほぼ死文化したとは言われているものの、いまだに国連憲章の敵国条項の対象となっている国が「他国の核の脅威に対抗するために核を持ちます!」と言って話が進むことなんてあり得ると思うのだろうか。アメリカの同意すら得られることはないだろうが、万が一得られたとしてもロシアと中国が同意しない中でそのかすかな論理をアメリカが日本とともに国際社会の中で推し進めてくれることなんてどんなに考えてもあり得ない。
それであれば、よほど憲法9条をもとに、国際協調を推し進めるほうが、国際社会の中での連帯を得られるし、生産性のある現実的な未来だろう。

この論理は軍事力増強にも拡張できる。「他国からの脅威に備えるために軍事を増強します」という意見が許される国に住んでいないことをもう少し自覚したほうがいい。諸外国からの「先の大戦の反省がない」という指摘は、こういう考えの人間が区議会議員になってしまうという現状をかんがみるに、全くその通りだと思う。

軍事力増強の行きつく先は、生産性のない軍事費を増やし、国民の生活を困窮させることに他ならない。それが目指す未来であっていいはずがない。杉並のバカ区議の言葉を借りるなら、目を覚ます時が来たのは、ロシアの在り方を他山の意思として、力で力を抑えるという前時代的な発想からいい加減抜け出す時代になったということにおいてだ。

以下のツイートと比較すると、杉並のバカ区議との違いが際立つ。

憲法9条で戦争を放棄したのは、
「再び侵略国家にならない」という決意とともに、
自ら進んで「正義と秩序を基調とする国際平和」を樹立しようという決意が込められている(『註解日本国憲法』)。
これは憲法学のイロハのイだ。
その双方において、憲法9条の生命力は今日いよいよ輝いている。
https://twitter.com/shiikazuo/status/1497361917177856000

侵略行為を行ったという国家の反省に立って出てくる、目指す未来はこっちだ。そして、それは我々の生活に密接に結びついている。力による支配の考えから脱却できないから、性差別の是正にも本腰が入らないし、マイノリティーに寄りそう制度設計もできないし、労働者の待遇改善も進まない。一事が万事だ。

ウクライナに寄り添うこと、プーチンに怒ることは正義と秩序を基調とする国際平和に向き合うことであり、そしてそれはそのまま私たちの生活のあり方、行政の制度設計をより人間が人間らしく暮らしやすくするためのことに直結する。それが、本当に「戦争を知らない子供たち」をより早く誕生させるために必要なことだ。

だから声を上げよう。NO WAR。

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