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家電開発者になり10年間、独身ひとり暮らしを続けている男による家電の選び方ガイド ~エアコン編~

はじめに

ハーバード大学が2015年に、成人の発達における研究(Study of adult development)に関して、75年分の研究成果をまとめた報告がある。その中で、人々が健康で幸福な日々を過ごすためには「孤独ではないこと」、「数よりも質の高い人間関係」が大事であると述べられている。YouTubeに動画あるので、君に時間があるなら是非見ると良いと思う。

さて、極めて僭越ではあるが、家電エンジニアの俺が、これに一つ加えさせて頂けるならば、「幸福にはエアコンも必要やろ」である。良い人間関係を作るには、気温36℃、湿度90%というような日本の真夏の環境は全く適さない。むしろイライラして喧嘩すらしてしまう。我々はエアコンの元でのみ、幸福を享受できるのだ。逆説的に、もし君が今、エアコンを持っていないのならば、それは不幸と同義である。

とはいえ、エアコンを買う状況というのは、普通の一般家庭では何度もあるものではない。家を建てたり、子供が出来て新たに子供部屋に付けたり、そんな人生における大切な場面場面で、君はエアコンを買う決断をする。

君と、君にとって大切な人達の幸福への投資だ。しかし、君は余りにもエアコンについて何も知らない。何も知らないまま家電量販店に行き、販売員の言葉を鵜呑みにして決断しようとしている。いわゆる鴨だ。そんな鵜なのか鴨なのかややこしい君に、僅かばかりの方向性を示すのがこのnoteの役割である。

免責

このnoteを信じて、その通りにエアコンを買ったからといって、その結果起こるあらゆる出来事は、全て君の責任だ。幸福も不幸も全て君のものだ。

このnoteは、広告など第三者への利益を目的とするものではなく、君からいいねを貰うためだけに書く。その点にのみ、俺は責任を持つ。

価格なんて気にしなくていい

エアコンを初めて買うときに考えることは、販売価格や、月々の電気代のことだろう。俺の考えでは、エアコン選びに、エアコンの費用は全く重要ではないのだが、金の心配はあらゆる判断を鈍らせる。まずは費用について説明しよう。

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家電量販店のエアコン売り場にいくと、似たようなものが大量に並んでて、何をどう選べばいいのか混乱する人も多いだろう。結論から言えば、あそこは外観の確認を行う場所であり、価格や機能はカタログを元に調べた方が効率的だ。まずは各社のカタログだけ貰って帰ろう。

エアコンの価格と機能は実はとてもシンプルだ。機種ランクと適用畳数の2つで決まる(上図参考)。ランクが高い程、機能が豊富で省エネ性能が高い。当たり前のシンプルなロジックだ。

お金がいっぱいあるなら、高いランクのエアコンをつけた方が便利で良い。搭載されたお掃除ロボの働きで、掃除の手間を省いたり出来て良い。忙しい現代人を助けてくれるし、何よりロボはセクシーだ。興奮する。

とはいえ、お金が無いのなら安いクラスを買えばいい。安いエアコンでも問題なく部屋は冷える。詳しくは後述するがエアコンには認証機関があり、冷やす・温めるという基本機能は、製品不具合でもない限り、認証機関によって品質が保証されている。また、製品不具合もほとんどの場合メーカ保証があるので、無償で修理や交換がしてもらえる。

つまり安くても何ら問題はない。セクシーでは無いだけだ。部屋が冷える以外の機能をエアコンに求めるのは、高収入で、ルックスが良くて、セックスが良くて、いつも愛してくれるパートナーを求めるようなものだ。欲張りなのも結構だが、良いじゃないか、いつも君を熱中症から守ってくれさえすれば。また、安いクラスには便利な機能はついてないが、機能が少ない分パーツも少ないので、取り付け工事が短時間で終わるのも良い点だろう。

注意する点として、住んでる地域によっては、寒冷地仕様や耐塩害仕様などの特殊な機種を選ぶ必要がある。寒冷地や塩害地域でノーマル仕様のものを使うとまともに機能せず、瞬く間に故障することもあるので、そうした地域に住んでいる人、特に移り住んで間もない人は、注意するといいだろう。

結局のところ、高かろうが安かろうがエアコンは必要なのだ。君がしなければいけないのは、予算を決めることだけ。あとは、予算内に入る機種を選ぶしかない。季節商品のため価格が変動するので、相場観のようなものを家電量販店で聞いてもいいだろう。

省エネ性能のことも忘れていい

日本にはトップランナー制度という、名前からしてしんどそうな規制があって、国がエアコンメーカに課している。これは簡単に言うと、ラインナップの全機種で省エネ性能を上げ続けろ、というもので、主要メーカは外部検査機関で省エネ性能を毎年チェックしている。実際メーカはしんどいのだ。

さらに、エアコンは発明から100年以上経っていて、技術的にはかなり成熟しており、主要メーカ間での省エネ性能の差もほとんどない。(新興メーカや新興国メーカのことは知らん。基本的に新興メーカは時の試練を耐えておらず、故障が起きやすいのでオススメしない。)

まあ要は、新機種を買ってくれたらいい。それが一番、省エネになる。

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1902年に近代的なエアコンを発明したウィリス・キャリア(米国)
彼の作った会社は今も世界最大級の空調メーカであり、
日本法人は、現在の東芝キヤリア株式会社となっている。

広い家なら2台買うのもあり

価格と性能は気にするなと述べたが、一部例外もある。大きい能力のエアコンを買おうとしている場合だ。

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エアコンは能力が大きいものほど、省エネ性能が低い。車とバイク、大型トラックと軽トラなんかと似たようなもので、大きな機械部品を動かすには、それだけ多くのエネルギーが消費されるからだ。

例えば、8.0kWのエアコンを1台より、4.0kWのエアコンを2台の方が、消費電力が少ない。価格.comで実売価格と電気代の差額を比較すると、4年強で、2台買う方がお得になる計算になる。(※工事費用等は除外)

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デメリットは、室外機を2台置かなくてはいけないことだが、スペース的に許容できるのなら、2台買うという選択も悪く無い。

どのメーカを選ぶのか/What make a good life?

最後に、メーカの選び方について述べるが、エアコンの場合、メーカ選びこそが最も重要で、最も人によって選択が異なる要素でもある。

結論から言うと、君が幸せになれるメーカを選べ、だ。

エアコンとは幸福の為の投資であり、人々が幸福な日々を過ごすためには「孤独ではないこと」、「数よりも質の高い人間関係」が大事であると述べた。つまり、エアコンはコミュニティでエンジョイできるかが重要だと俺は考える。

例えば君が、大阪府門真市に住んでるなら、言うまでもないだろうが、パナソニックを選ぶべきだ。繰り返すが、エアコンを買うようなシーンは、結婚して新居に移ったり、子供が出来て子供部屋に新たにつけるような、人生の大事な時期である。そんな時期に家族と一緒に将来について考え、語り合うのに最適な場所がある。パナソニックミュージアムだ。

100年以上家庭について考えて来た、日本を代表する家電企業の歴史が学べる。間違いなく家族との絆が深まるだろう。

この小綺麗なパナソニック本社がある門真市は、普通にゴーストタウンがある、大阪でも有数のディープゾーンの一つだ。生活保護者率は5%を超える(全国平均の3倍)ような街だ。高度経済成長期に、東洋のマンチェスターと呼ばれるほど工業都市として栄えた大阪の栄光と衰退の歴史が、そのあちこちに見ることが出来る。

また、こうした街だからこそ、安くて旨い店が多い。個人的なオススメは、「すしバリュー」。門真観光の締めくくりに相応しいお店だ。きっと君も、食べ終わって店を出るころには、門真おもろいやん、と思ってることだろう。

もしくは君が、大阪府堺市に住んでいるなら、勿論、ダイキンを選ぶべきだ。ダイキンでは、毎年、工場で盆踊り大会を開催していて、地域住民が数千人単位で集まる一大イベントになっている。子供は大はしゃぎだし、ぴちょんくん音頭の妙なクオリティは家族の思い出になってくれるだろう。

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第47回ダイキン工業盆踊り大会

また、ダイキン工業の堺製作所のある堺市は、古くから貿易・商人の町として栄えた港町だ。世界遺産の仁徳天皇陵など、有名史跡がいっぱいあって、普通に観光が楽しめる。

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仁徳天皇陵は、全長約486mの日本最大規模の前方後円墳。駅から徒歩10分。周遊路が整備されていて、1時間ほどで1周出来る。

さて、そんな歴史情緒あふれる堺でオススメするグルメは「深清鮓」。
穴子寿司で有名なお店だ。観光して疲れたあとに、穴子寿司で一杯やれば、ええやんか堺、と思わずにはいられないはずだ。

あるいは君が、大阪市阿倍野区に住んでるなら、やはりシャープだ。
シャープは深刻な経営不振に陥り、1924年から拠点としていた本社敷地を、2016年に家具販売大手のニトリに売却した過去がある。従業員はもちろん、地域住民やファンの様々な思いが詰まった本社ビルは、2017年に解体され、敷地は今も更地となったままだ。そんなシャープのエアコンが部屋の片隅にあるだけで、家庭に適度な緊張感をあたえ、日々の結束が強まるだろう。

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シャープ旧本社跡地 - 大阪市阿倍野区(引用:ITmedia

ちなみにシャープの現在の本社は、堺市にあるので、観光は割愛させていただく。穴子寿司を食べるといい。

いずれのメーカを選ぶにせよ、単に選ぶのではなく、君と君の大切な人達との話題になるようなメーカを選ぶと幸せになると思う。最終的には下記のようなマニアとなることが、最も幸福だ。手段の目的化こそ幸福の第一歩なのだ。

おわりに ~独身男が選ぶエアコン~

この長いnoteをここまで読んでくれてありがとう。途中から、いつのまにか大阪観光と寿司の記事になった。エアコンを楽しみたいなら、大阪に住め。これが今回の結論である。

最後に、俺が個人的に選んで買ったエアコンを紹介しようと思うが、悪いがここからは先は有料だ。上記までの俺の偏った知識なんて無償でいいが、ここから先は俺の個人情報となる。人生をタダで切り売りする気はない。

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