あなたは＜味坊集団＞を知っているか。
味坊集団というとんでもない集団がいる。
マジで注意したほうがいい。
私が味坊集団を知ったのはたった1ヶ月前なのに、毎晩彼らの存在に怯え、文章を書かざるを得ない状況に陥っている。彼らは2000年に活動を開始して、ここ数年でメディアを通して存在感を増している。X（旧Twitter）でもその活動を報告していて、そのアカウントがこれ。
無骨なフォントの黒文字と、余裕の表情でこちらを見つめる味坊集団の最高指導者、梁宝璋が不安を煽る。梁宝璋は1963年5月生まれ、黒竜江省チチハルの出身。中国残留邦人の母と中国人の父のもと育ち、青年期は画家として活躍。1995年に来日し、神田駅近くの高架下を拠点に活動を開始した。上野、湯島など東京都の北東部を中心に活動域を拡げており、昨日北千住にも進出したとの情報が出ている。
ある日、私は意を決して、上野御徒町にある味坊集団のアジトに足を運んだ。そこで私は驚愕することになる。
…
———マジで美味すぎる。誇張なしで人生で行った飲食店の中で一番美味い。だし、好き。
とりあえず頼んだのは豚足の燻製？ホルモン炒め、ラム肉小籠包、ラム肉スペアリブ。本気で全部うまい。臭くてクセのある食材を使っているはずなのに、一切の臭みがなく旨味だけが凝縮して破裂している。
これは軽い気持ちで注文した冷麺。これもマジでやばい。間違いなく人生で食べた冷麺の中で一番美味い。あと甘い。
私「これ、フルーツですか？」
ツレ「何言っているのよ、一口ちょうだい」
ツレ「ほんまや、フルーツや」
冷麺は、フルーツです。
…あ、そうです。味坊集団とは、カリスマ料理人：梁宝璋が率いる天才中華料理人集団のことです。東京に10店舗の飲食店を展開しています。
こんな可愛い顔とセリフでは誤魔化せない、日本人をおかしくしてやろうという邪悪な企みがあるとしか思えないほど美味い。
日本人だけではない。
友人のニコラス・ケイジもこう言っています。
なんでこんなに美味いんだろう。
一個の理由はクミンかも、クミンの絶妙な使い方だわ。
店には、最高指導者の梁宝璋をクミンで模った肖像画が掲げられていました。??? やっぱクミンの店だね、ここは。
味坊集団が作る中華料理は、油をたくさん使って揚げたり炒めたり、ときに炎があがるような瞬間的に仕上げる中国料理のイメージとは多分ちょっと違う。梁宝璋が生まれた中国・東北地方は、文字通り中国東北部にある、遼寧省・吉林省・黒竜江省の三省を指す。モンゴル平原に近い場所で、冬にはマイナス35℃にもなる厳冬の地。当然、冬に食料をとることはできず、それまでにとった肉や野菜を、塩漬けにしたり乾燥させたり、保存を効かせるために本気を出す。そんな、食材の処理と味付けにかけるガチさがここまで美味くさせてるんだと思う。
このままだと、日本が味坊集団によって支配される未来は遠くない。
もう私は奴らの好きにはさせない。
私は、あと9つある奴らの拠点を順番に攻めていくことを決心した。
＜おわり＞
