身近なものから知的財産を考える⑴表側
皆さんは、知的財産と聞いて、何を思いつくでしょうか。知的財産が実際の社会でどのような場面で登場するものか、身近なところから考えてみたいと思います。
⑴ 日常の買い物(お店選び編)
普段、スーパーやコンビニで飲食料品を購入するとき、どのようなことを気にするでしょうか。いつもの店でしか買わない方もいれば、その日の気分で行く店を変える方もいるかと思います。これらのどちらにも共通するのは、何かしらの「目印」を辿ってお店に足を運んでいるということです。何を当たり前のことを、と思われるかもしれませんが、結構大切なことなので少し言い換えてみます。
たとえ話ですが、世の中のコンビニの名前が、どのコンビニもすべて同じ「コンビニ」だったときに、どうやって買い物をする場合をイメージしてみます。例えば、「駅前のコンビニで買い物をしてきて」と家族に頼まれたとしましょう。駅前にコンビニが1軒しかなければ特に問題は起きないでしょうが、競合店が2店3店と増えてきた場合、どこで買えばいいのでしょうか。
そうすると、「どこのコンビニ?」という会話が生まれ、「駅前の信号の東側のコンビニだよ」というように、位置関係によって特定したりすることになるのでしょう。ですが、駅の北側と南側(あるいは東側と西側)で同じような状態が起きると区別できませんし、そもそもこうしたやり取りをいつもやっていたら面倒で仕方ありません。またお店の側からしても、セールの告知もしづらいですし、他の競合店との差別化も難しくなります。
以上はあくまでもたとえ話で、現代では、コンビニであれば例えば「ローソン」「セブンイレブン」「ファミリーマート」「ミニストップ」などのようにお店には名前が付けられています。またロードサイド店であれば、遠くからも見つけてもらえるように、各コンビニ独自の「シンボルマーク」や「カラーリング」を施した背の高い看板を設置しているのを目にすることが少なくありません。こうした様々な「目印」を頼りに、我々消費者は、何をどこで買うかというのを、無意識ながらも日々判断をしているのです。なお、ここで「消費者」という言葉を使いましたが、目印を頼りにしているのは何も消費者だけ(BtoCやCtoC)ではなく、事業者同士での取引(BtoB)でも同じです。
ここでいう「目印」が、知的財産のひとつである、ということをここで覚えて頂きたいと思います。
⑵ 日常の買い物(商品選び編)
ようやく買い物をするお店が決まり、店内に入りました。そこで、今日の目的を再確認しますと、チョコレートとオレンジジュースを買いに来たのでした。店内の陳列棚を見てみると、何種類ものチョコレートが並んでいて、オレンジジュースもいくつも並んでいます。そうこうしていると、「前に食べたチョコレートは濃厚で美味しかったな」といった覚えがあることが思い出されてきました。さてここで、そんな濃厚で美味しかったというチョコレートは、どのように探せばよいでしょうか。以前に買ったチョコレートに、どのような「目印」があったかを思い出して探すこととなります。
こうした「目印」としていちばんポピュラーなのは、「名前」でしょう。しかし、目印になるのは「名前」ばかりではありません。前段でも少し触れた「シンボルマーク」や「カラーリング」を頼りに商品を探すこともあるでしょうし、「容器の形」や「ラベルのデザイン」といったところから商品を探すこともあるかと思います。商品の種類によっては、「肌触り」や「匂い」、「味」、「材料」、「作り方」などといったところから探すこともあるでしょうか。何を頼りとして商品を探すかは、商品次第であるとともに、探す人次第であるといえます。商品を製造する側・販売する側の目線だけで見ていると、思わぬ落とし穴に引っかかることがあるので、注意が必要です。
⑶ まとめ
今回は、自分自身が買い物をする場合を想定して、お店選びから商品選びまでをみてきました。買い物をするときには、意識的にか無意識的にか、様々な選択と判断をしていることをイメージして頂けたのであれば、今回のnoteの目的はいったん達成です。商品を製造する側・販売する側の目線だけでは危ないとお伝えしましたが、次回は、身近なものの裏側である、商品を製造する側・販売する側からみたときのお話をお伝えしていきたいと思います。