不動産実務で使う法律(1)宅建業法
宅地建物取引士の資格を取得したのはもうずいぶん前になりました。自分の知識を再確認する意味でも、当時資格取得のために勉強した範囲のうち「宅建業法」から、これまでの実務で一回以上使ったことのある部分を解説してみようと思います。正確かどうかよりもできるだけ一般の方にわかりやすく、というのを方針に掲げつつ。
以下の法律はこちらから引用しています。政府公式なのでこれが原典と言っていいはず。
宅地建物取引業とは
宅地建物取引業=宅建業の範囲。
いきなり定義から入るのが初学者にとっては鬼門。これを覚えることに何の意味があるのかと。ただし、試験で聞かれるからだけではなく、実務上の以上の重要な問題がある。(少なくとも私にとっては。)
つまり、宅建業を行うにはいろんな手続きと要件を満たさなければならずそのハードルは結構高い。じゃあ、何が宅建業で何がそうでない(=前述の要件が不要)なのかということを定義する必要があるわけです。
条文の読み方、書き下し文みたいなの作ろうかと思ったけどめんどくさすぎて断念。「業として」は、いろんなところで書かれてるけど、反復的に利益を得る目的でやる、くらいの意味。厳密には判例により基準が作られる。
身近では、不動産取引の代理・媒介をやるのが不動産屋、のイメージですね。
営業保証金
昔不動産屋といえば、悪徳商人が多かったり、売るだけ売ってすぐ倒産したりということが頻発したことから、消費者救済のため、宅建業を営む際には保証金を積む必要があります。ここで宅建業を営むとはどの範囲か、を正確に定義する必要が出てくるわけですね。
政令で定める額・・・が、まぁ1000万からということで非常に高いハードルになっていて、現実的には次項の保証協会というのに入っている例がほとんどだと思います。
宅地建物取引業保証協会
ということで(前項からの続き)、消費者救済の仕組みを集団でやりましょうというのが保証協会。共済組合みたいなもんだと考えてます。スタートにあたっては60万円から始められます。
保証協会は大きなところは二つ。ほとんどの不動産屋は鳩のマークのところか、
うさぎのマークのところのどちらかのマークが掲げられていると思います。
媒介契約
売買の場合は売主、賃貸の場合は大家さんが不動産屋と交わす契約。消費者側から見えにくいけど、この部分もお互いの迷惑にならないよういろんな決まりがあります。
特に、一度媒介契約を結んだ後に、依頼主自身が取引先を見つけて良いか(自己発見取引)を取り決めます。不動産屋としては依頼主が見つけてしまったら売り上げにならないので縛りたいところですが、その場合は相応の義務を負います。
重要事項の説明
宅建士の独占業務といえばこれです。これから取引をしようとしている物件について、重要事項説明書を作って法定の(条文の中に細かく説明するべき事項が定められています)説明を宅建士がする必要があります。35条書面とかいう名前もついているくらい、宅建業法でも重要な項目です。(試験ではその内容について正確に把握する必要があります)
令和3年からリモートによる重要事項説明が解禁になっていますね。世間への追従が本当に遅い。本当にやっと。
契約書
こちらは37条書面と言ったりしますが、書面をちゃんと手渡しましょうという感じの内容。記載するべき内容が細かく決まっているという点ではもちろん重要な書類ですが、宅建士でなくてはならないとかはなかったはず。
宅建業における報酬の上限
これも消費者側にとって超重要。賃貸だったら月額家賃の1ヶ月分とかが街でよくみるやつです。これがあるから過疎地島嶼部では不動産業が成立しにくいのは間違いない。
そしてこの条文のたてつけがわかりにくいのよね。こういうのばっかり。運用上は法律変えなくてもへこうできるからやりやすいのはわかるんだけども。で、国土交通大臣の定めるところ、というのがこれ。
https://www.mlit.go.jp/common/001307055.pdf
具体的な割合などは法律じゃなくてこちらに書いてあるんですよね。。。。ちなみに、受験当時ホットな話題として、「低廉な空き家」の取引については18万円+消費税まで貰ってもいいですよ、というのが明記されたことが話題にはなりましたね。平成30年1月1日施行とのことなので、さすがにそのこともこの法令には書いてあるようです。
終わりに
試験に出る宅建業法でいうと本当に細かくてどうでもいい(本質的ではない)ところも多分に勉強させられるのですが、実務上いつも気にしている部分(よく使う部分)について、再度まとめてみました。法律って本当に細かくて原典をみても明確なことも少ないしわかりにくい。瑣末な部分は取り除いて、エッセンスだけを自分の経験と掛け合わせて表現できていたら嬉しいです。
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