文化の殿堂にコストカットの嵐が押し寄せる?

四月は人生の旅立ちであったり、別れ、移動があり、様々のドラマが展開されることが多い。私は、斎藤清の木版画を扱っているギャラリーを会津若松で運営している。これまで、運、人に恵まれ、福島県、会津柳津町の斎藤清美術館の存在にも助けられ、どうにかやってこられた。今では、斎藤清の知名度と作品の価値が高くなると同時に、社会性も増し、心して、日々を過ごしている。

ここ数年、厳しい環境にも拘らず、会津、柳津町斎藤清美術館の企画、広報活動は、活発を極めており、前例に囚われず、多くの業績を残した。その間の井関庄一町長、 目黒健一郎教育長兼美術館長、田崎 治美術館班長、伊藤たまき学芸員他各スタッフの奮闘は並々ならるものがあり、町議会、職員、町民の方々の絶大な協力のもと成し遂げらうれた。2017年、ムンクとのコラボ展、2018年、蔵書票がつないだ台湾x斎藤清展、アメリカ人の著名な、トールマンコレクション展(斎藤清・篠田桃紅の作品等)、斎藤清と川上澄生展(鹿沼市立川上澄生美術館)、斎藤清、棟方志功、恩地孝四郎、篠田桃紅等を中心にしたザ、トールマンコレクション展(東京、渋谷ヒカリエ)、2019年本格座敷蔵の福西本店x斎藤清展(会津若松市、福西本店)など。その間、通常の斎藤清版画展も数多く、種々の切り口で作品展開を見せた。又来年の布石も既に打っているようである。怒涛の進撃である。財政難の折、何故こんなことができたのであろうか。やはり、何をなすべきかを模索した人々の想いが一つの流れに結集し、輝かしい軌跡になったのだと思う。

しかし、これからが正念場ではないだろうか。四月に柳津町の人事移動があり、町長選挙も控えている。全国自治体の公的美術館はその運営に苦慮している。ほとんどの美術館は赤字で、常に存続、予算の減額、休館、廃止等の議論がなされている。これまで、奇跡に近い発展を遂げている美術館とて例外ではない。コストカットの機会を伺っている底流もあるのではないだろうか。美術館の予算執行の裏で、数々の事業予算がけずられ、見送られてきたのだと思う。もし潮目が変わったら、瓦解するのも早いと思う。自分がギャラリーを経営しており、我田引水に聞こえるかもしれないが、文化の殿堂、(会津)柳津町斎藤美術館は燦然と輝いている。何としても守らねばならぬ。まだ、全国的には知る人ぞ知る存在なのかも知れないが、これまで積み上げて来た実績と相まって、斎藤清とその作品は、間違いなく、町民、県民の誉れであり、日本の至宝として、世界の絵画史に刻まれるのではないだろうか。美術館とコレクター、斎藤清ファンを繋ぐ存在として、これからも飽くなき挑戦を続け、夢の続きを見たいと思う。

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