見出し画像

学歴は機能しすぎて機能していない?

一昨日あたりにふと思ったのです。私やあなたはなぜ大学に行く(行った)のか。
もしくは、世の中で大学に行くことが吉であるとされる根源は何なのか。
今日はこの問いを深めてみたいと思います。
(一部、文献やデータを用いますが、趣味で調べた程度ですので深追いはご了承ください!)

大学に行く理由

気になって軽く、私大連が公表している学生生活白書2022を調べると、1位は『大学卒の学歴が必要だと思ったから』みたいですね(62.6%;n=20,205)。その数値は若干上昇傾向です(詳しく知りたい方は下記のp.18です。)
https://www.shidairen.or.jp/files/user/20221011gakuseihakusho.pdf

大学の学歴がないと就職できない、いわゆる学歴フィルターってやつですね。
学歴フィルターがあるから大学にいこうって人が多いですね。
僕自身も当時は行きたい大学があるのではなく、大学に行かねばならぬという危機感を持っていました。

そこで、ふと思ったのです。
学歴フィルターってなんのためにあるのでしょうか?

学歴フィルターの役割

学歴フィルターが何のためにあるのか、私が調べた限りでは2001年にノーベル経済学賞を受賞したマイケル・スペンスの『シグナリング理論』が説明してくれていると感じます。
この理論は『情報の非対称性』について扱います。

情報の非対称性とは
情報の発信手(ex.モノの売り手・作り手、就活生)は自身の情報を正確に把握しているが、情報の受け手(ex.モノの書いて・人事の人など)はその情報を正しく知ることが出来ない状況を指す。

Spence(1973)

身近なもので言うと「新作iPhoneが出たらしいが、買い替えた方がお得?」と携帯ショップに行き、店員さんに色々聞くが、よく分からず「騙されているのでは?」というヤツ。
人事の方からすれば、面接なんかもそうですよね。志望動機や経歴を云々と言われても「嘘なんてつき放題だし、雇って騙されたら嫌だなあ」という気持ちになるヤツですね。
それに対してシグナリング理論の説明があります。

シグナリング理論では、豊富な情報を持つ方が情報を持たない者に対して、情報をわかりやすく明確な「シグナル」として発信することで、情報の格差が合理的に解消される。

Spence (1973)

これの代表例が資格であり、学歴なのですね。
学歴が情報の格差を埋める「シグナル」になるから学歴があることが説明できます。一方で「あの人は有名大卒だが、学歴だけで現場では全く役に立たない」といった話も耳にします。

学歴が機能しすぎて機能しない。

ようやく本題ですね。僕は先日、シグナリング理論を眺めながら思っていたのです「シグナリング理論における学歴が機能しすぎている。」と。
実際、大学生の6割は学歴があれば就職できる、学歴がないと就職が苦しいという価値観を持っているというデータもあって、
学歴が安定を与えてくれると信じています。

ですが、
色々な人と話をしていると「あの人は学歴だけで現場では全く役に立たない」という話も聞きます。
こういう話を聞くと、
大学教育における専門性と現場で必要とされる専門性の乖離があるなと思います。

学歴という”シグナル”を元に人を選んでもミスマッチが起きるのであれば、
シグナリング理論的には、「学歴」は本当にシグナル(業務に関する優秀さを示す証)と言えるのかを考えてみたいなと定期的に思ったりします。

「学歴が機能しすぎて機能しない?」と思ったのは、
学歴が”シグナル”としての役割を持ちすぎていて、しっかりとしたフィルターになっているのかなという疑問から生まれました。

真のシグナル

一方で、学歴は決して高くないが、上手に仕事をこなせたりする。
それを天職だと呼ぶのであれば、そこには企業が必要とする「コト・モノ」と従業員が持っていた「何か」がマッチした背景に「真のシグナル」あるのではないかと。

文章を書いていて「そらそうだろう。」と思う節もありますが、
既存として学歴より優秀なシグナルがないから「資格フィルター」や「人間性フィルター」みたいな用語はあまり聞かないのでしょう。

これをカタチにできるサービスとかあるのかな?作れるのかな?と思っていた今日この頃です。

今日はシグナリング理論を元に、学歴の機能に考えてみました。
最後までお読みいただきありがとうございました。

※とは言え、自身の経験則的には大学に入って興味や関心、専門性が高まり、
  今の仕事に繋がっていると思うので大学の存在そのものを否定しているわけでは
  ないことを補足しておきます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?