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崩壊していく実家を放っておく私

就職を機に地元に帰った。
実家には帰らなかった。

実家と今の私のアパートは車で20分もあれば着く距離。さして遠くないんだけれど、実家に帰るのは半年に1度くらい。(昔は1月1日に1日間だけ滞在するのを帰省と呼んでいたのでそれよりはマシ)
大体、職場の公的な飲み会があるときは実家に泊まって70歳になった父に送り迎えをしてもらうのだ。
70歳の父が嬉しそうに送迎してくれるので、私は切なくなり変な顔をしてしまう。
(思えば、私も恋人の送迎を嬉しそうにしてしまう。きっと父もこの気持ちで私を送迎しているんだろう。血を感じることができて嬉しい。)


久しぶりに実家に帰ると、どうしたって色々とガタがきている。
経年劣化は避けられない!

シャワーの留め具が外れかけていて、それをボンドのようなもので補正している。
壁のところどころが黄色い。
ソファはボロボロでよくわからない布をかけて隠してある。
4つあるダイニングチェアは全てお尻のとこが破けてる。
誰も草刈りができなくなったから家の周りはだいぶ酷い。
家の周りにはありえない量の吸い殻が落ちている。
パパは信じられないくらい痩せた。
ママはダブルワークを始めた影響か老けてみえる。
弟は髭が伸びた。
横に住む祖父は長年嫌煙だったはずの弟と仲良くなってる。
横に住む祖母はひどい鬱になってる。
パパは怒りっぽくなっている。
ママも怒りっぽくなっている。
弟は大人しくなっている。
私が帰ると、その日は穏やかになるそうだ。
弟から聞いた。
私と弟は、変わらず2人でマリオをやる。


私は自分の家に帰る。
(ここで、“自分の家”の認識が、変わっていることに気がつく。)

申し訳ないと思いながら、でも思うだけで今日も自分の好きなことをする。
ごめんなさいと思ってる。強く思ってる。
でも自分の生活を選択してる。家族のことは好きなのに。
ごめんなさいと思ってる。強く思ってる。
また飲み会に行く・新しいテントを買う・美味しいご飯を食べる・旅行に行く・お金は全て自分のことに使っている。
ごめんなさいと思っている。
強く思っている。

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