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オプトメトリスト検眼①

検眼機器で測定不可能な場合の検眼

こんにちは、オプトメトリストのいるお店のいとおです。

<被験者:70代>

◎主訴:
・2年前に白内障手術(両眼)、網膜剥離(左)の手術を行ったがしばらくして後視力の急激な低下
・近くを見るときに不便

◎AR
・右:エラー ・左:エラー

◎遠方視力
・右:<0.05 ・左:<0.05 ・両眼:<0.05

◎レチノスコピー
・測定不能


~所感~
術後の視力変化でここまで大きく変化するケースも稀である。せめて視力が0.2程度まで低下ということであればそこから手がかりに検査を進められるが一番大きな指標の0.05も見えないということであれば視力を手がかりに検査をするということが非常に難しい。

±2.50のフリッパーレンズをかざして指標を見て頂いたが自覚無し。どちらかで反応があれば遠視性か近視性の屈折異常が分かったが。遠方指標を手がかりに検査を進めることは断念し、近方指標を使用して行うように変えた。


まずは近方の雲霧表をご自身で持っていただき、明視できるところまで近づけていただく。

すると眼前20cm程度で見えるとの返事があった。

そこからやや離したところで線の太いところ、細いところがないかを確認していただく。

すると、縦方向が太く、横方向が細いという返事があった。

つまり乱視の有無と乱視軸があることがおぼろげながら分かった。


これを手がかりにC-1.0×180の乱視レンズを入れ反応を見た

すると、雲霧表の線の濃淡が消え全体的に均一に見えるようになったと返事があった。

度数を前後したが大きな変化はなく、この乱視度数に定めることにした。


続いて新聞を手に取って頂き、明視できる距離まで近づけて頂いた。

するとやはり、眼前20cm程度で見えるとの返事があった。

そこから少し遠ざけると文字がボヤけることを確認して頂いた(眼前35cm程度)


眼前35cmで以下のフリッパーレンズを見ていただきどの度数に対して反応があるか確認した。

±2.5 ±2.0 ±0.5

すると、-0.5の度数に対して見やすくなる、との返事があった。


以上のことから近視性の目(遠点が眼前20cmと仮定するならS-5.0の近視)であることは確実であると判断した。

同じような過程で左目も検査を進めていくことが出来た。

しかし両眼とも弱視であることは間違いないので、当然左右の矯正具合も変わる。

矯正遠点を35cm程度より先にすることは難しく、ならば遠点35cm内で両眼バランスを取る手段を考えた。

いつもの癖で右目を中心に左目でバランスを取るように進めていったがうまくいかない。

そこで効き眼を調べると左目の支配力が強いことが分かった。

効き眼を参考に、左目の遠点に対して右目を近づけるように両眼バランスを取って処方とした。


眼内レンズであること、予後不良であること、遠点が近距離である、調節力がほぼ0である、という観点から両眼バランスを確実にするのは難しいが、今もっている視機能を最大限に発揮させるには検眼者の技術のみならず被験者とのコミュニケーションが重要であると感じた。

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