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日本産の酒類がアジアに向けて輸出増加が継続している件


日本産酒類、輸出数量は34.0%増、金額61.4%増!


2021年の輸出金額は約1,147億円(対前年61.4%増)となり、初めて1,000億円を突破。10年連続で過去最高を記録。

国税庁輸出統計

このことは前に書いた通りです。
日本産の酒類について、去年(2021年)の実績としては、1,147億円を記録したと言うことです。上記引用の通り、1,000億円を突破したのはこれが初めてのことですが、それはなにも去年だけ輸出金額が伸びたと言うわけではなく、10年もの間連続して伸び続けていると言うのがやはり驚きです。

以前の記事でも書いたけれど、この2年以上日本国内ではアルコールの売り上げは振るわなかった。
ある小さな酒店で、この数年のアルコール類の動向について尋ねたところ、「さっぱりだ」という答えが返ってきました。
ところが、その店主の話をもうちょっと聞いてみると、どうやら昨今のコロナが影響したということだけではないようなのですね。

「もちろん、影響はあったさ。」「でもね、それだけじゃない。やっぱり一番大きいのは近くに大手のスーパーやらドラッグストアとかが出店してきたことが一番大きい。」
「我々のような小さな店にとっては、そっちの方が影響が大きいんだ。もう、ダメだよねぇ。」

このような答えが返ってきました。
店内を見回してみると、その店ではアルコール類の置かれていたであろう棚には所々隙間ができ、失礼は重々承知の上、とても繁盛しているようにはお見受けできません。

やはり、国内中小酒販店の酒類販売状況はどうやら厳しそうです。これは、需給調整要件が段階的に緩和された結果と言えそうです。

酒レポートでも、

国内市場の状況は、少子高齢化や人口減少等の人口動態の変化、高度経済成長後における消費者の低価格志向、ライフスタイルの変化や嗜好の多様化等により、国内市場は全体として中長期的に縮小してきています。

国税庁酒レポート 令和3年3月


ところが、輸出については、清酒やウイスキー等の日本産酒類が国際的に大きな評価を受けるなど高品質、高付加価値化というような事情を背景に、このところ大きく伸び続けています。

品目別の輸出金額を見てみると、1位がウイスキーで約462億円(対前年70.2%増)、2位に清酒が入り、その額は約402億円(対前年66.4%増) となっています。

最新の統計でも、2022年2月の輸出金額は89.4億円(対前年同期11.8%増)となり、好調に推移。「品目別」にはウイスキーや清酒、「国・地域別」には中国やアメリカ、香港が輸出を牽引している(2022年2月/国税庁輸出統計)と発表されています。

現在、酒類市場は世界全体で100兆円を超える規模があるとされています。他方で、日本産酒類の輸出額は近年大きく伸長を続けているものの、依然として世界の酒類市場のわずか0.1%にも満たない規模にとどまっている。

国税庁酒レポート 令和3年3月

このように日本産酒類については、このところ大きく伸びてきているとはいえ、海外においての知名度はまだまだ高いとはいえません。

海外において高品質の日本産酒類の認知度を一層向上させ、今まで以上の販路を拡大する施策を講じ、外国への強力に販売を行う。それは、国内酒類製造・販売業が今まで以上に発展するにあたってはどうしても避けて通れない取組みと言えます。

これらをバックアップする国税庁の取り組みとして、数多くの施策がおこなれています。

そのうちの一つとして、

販路の拡大については、令和2年7月に立ち上げた「日本産酒類輸出促進コンソーシアム」を通じ、輸出に意欲的に取り組もうとする国内酒類製造業者等と輸出商社・酒類卸売業者等とのビジネスマッチングを推進し、輸出機会の創出に努めます。

国税庁酒レポート 令和3年3月

とあるように———といっても、これは施策の中のわずか一つに過ぎませんが———国税庁が後押しをする酒類の販路拡大施策が実施されていることも輸出拡大の要因の一部といえるかもしれません。

また、同酒レポートの中で

平成31年2月に発効した日EU・EPAでは、EUに対する日本産酒類の輸出について、①全ての酒類の関税即時撤廃②「日本ワイン」の輸入規制の緩和③単式蒸留焼酎の容量規制の緩和④EU域内における酒類の地理的表示(GI)の保護を実現しました。

国税庁酒レポート 令和3年3月

とされています。

日本産酒類の評価拡大につなげる様々な施策が官民で実施されていくことによって、より一層の輸出拡大が見込まれるものと思われます。


日本酒、焼酎・泡盛等のユネスコ無形文化遺産登録に向けた取組

日本産酒類の伝統的酒造りについて、

岸田内閣総理大臣の施政方針演説(令和4年1月17日第208回通常国会)においても、「日本酒、焼酎、泡盛など文化資源のユネスコへの登録を目指すなど、日本の魅力を世界に発信していきます」と表明されています。

国税庁酒レポート 令和3年3月

とあるように、今現在政府としてもユネスコ無形文化遺産登録に向けた取組みに力を入れています。これによって日本産酒類の保護・継承につなげていくことが重要になるわけですが、毎年右肩上がりの輸出数量を記録する日本産酒類への関心をより一層高めることも期待されています。

日本産酒類にとって追い風になっている今こそ、そしてこの先の酒類販売業、輸出卸・輸入卸業などにとって、大きなチャンスと言えるのではないでしょうか。


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