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【ALL YOURS 原さん】 インタビュー #6 @TEXTILE JAPAN SHOWROOM2022SS
24ヶ月連続クラウドファンディング、毎日ファッション大賞ノミネート、47都道府県ツアー、書籍出版、無料自宅試着制度、リモート接客など、常に注目を集める「ALL YOURS」
「ALL YOURS」のプロダクトを支えている、代表取締役・商品開発製造総責任者である原さんにインタビューさせていただきました。
中嶋:「ALL YOURS」では、お客様の課題をベースに商品企画されてるように思いますが、そういった課題や声はどうやって集めていますか?
原:SNSを使うことが多いです。最近ではインスタライブで「白シャツに関する会議をやります」と声をかけ、白シャツに対しての嫌なところを直接ヒアリングすることもあります。
中嶋:なるほど、お客様の服に対しての日常の課題が出てきたら、展示会などで生地リサーチをする流れなのでしょうか?
原:たまたま作りたい生地が展示会などで見つかればいいのですが、今のところ生地は全てオリジナルで作っているので、生地を探したり集めるということはしないです。課題に対して研究や開発をしていきます。
中嶋:例えば「白シャツの黄ばみが気になる」という課題に対して、どのように商品化になっていくのですか?
原:僕は白い服に対しての課題を感じてもう8年くらいになりますが、糸や加工など素材開発面からこの問題を解決できないかとずっと探ってきましたが、現状「解決できない」という結論に至っています。
中嶋:8年越しの結論ですね。では、解決できない場合はどうするのでしょうか?
原:黄ばみの原因ってひとつではないのですが、消費者にその原因をきちんとつたえて、それを消費者自身が解決できるソリューションを提供する必要はあると思っています。基本的に現状の構造では、繊維事業は作ったものに対して、売りっぱなしのような責任を持たない事業だと思ってます。仮にボタンが取れても自分で直さないといけない。服は売れたら終わりのような概念を僕は変えたいです。
中嶋:アフターケアまで考えて、商品を販売したいってことですね。
原:そうですね、アフターケアのできるものを売らなければいけないと思ってます。だからもし課題を解決できないのであれば、できないということをちゃんと買ってくれる方にお伝えして、消費者の立場でできる方法を提示する方が親切ですよね。
中村:ファッションというよりプロダクトデザインに近い印象です。
原:皆さんそう言いますしその解釈でいいと思いますが、僕はプロダクトとファッションはあえて分けるべきではないと思っています。
中嶋:販売している商品は、販売後も細かく改良を行なっていくのですか?
原:毎年ではないですが、必要に応じて改良しています。
中嶋:商品の改良をする際も、新商品を作るときと同様に着用されている方々に対してSNSを通して情報収集されるのですか?
原:そうですね。僕らって基本的には定番を売り続けるスタイルで、同じ商品を長く売っていると自ずと着る人も増えて、お客様からもらえる声も多くなるじゃないですか。その意見をしっかり全部拾ってコミュニケーション取ってます。
中嶋:お客様の意見が商品開発にしっかりと活かされてて、お客様にとってとても素敵なことですね。
原:僕にとっては、"洗濯"とか"シワ"とか"汚れる"といったような、服に対して感じるストレスを全て考えた上で、服のデザインをしなければいけないと思っています。ただ見た目の可愛さはとかは僕にとってはデザインではない。なぜなら使う人を考えていないと思うんです。服が重くて着づらかったら服としては役に立たない飾り物になってしまう、服は着れて使ってもらわないと意味がないと考えています。
中嶋:「あたりまえを、あたりまえにしないモノづくり」を理念に掲げていらっしゃいましたが、ブランドを体現するようなお言葉ですね。日常服は楽しいものですが、原さんの言うようにストレスがある面も持っていると思います。しっかりとアプローチしていく過程のお話を聞けたのはとても新鮮でした。ありがとうございました。
他のブランドさんとは全く違う視点をお持ちで、服に対しての概念など考えさせられることの多いインタビューになりました。特に白シャツなどのアフターケアの追求に関しては想像を超えて学ぶ点がたくさんありました。貴重なお話をありがとうございました。
今日のお話を聞いて、ALL YOURSさんのSNSをチェックして商品開発の過程にも注目していきたいと思いました。
「ALL YOURS」の Twitter / Instagram
聞き手:TEXTILE JAPAN SHOWROOM運営スタッフ 中嶋・中村
書き手:TEXTILE JAPAN SHOWROOM運営スタッフ 中村