アクチュアリー試験年金数理受験体験記

2021年度のアクチュアリー試験の年金数理という科目にて、合格かつ成績優秀賞をいただきました。いわゆるビッグウェーブということもあり、運が良かった点が大きいですが、せっかくなので受験体験記を記載させていただきます。皆様の参考になれば幸いです。

年金数理の受験履歴

2018年度:不合格Ⅳ
2019年度:不合格Ⅲ(Ⅱかもれないが覚えていない)
2020年度:不合格Ⅱ
2021年度:合格

2020年度の反省とこれまでの勉強方法

2020年度は年金数理とKKTが残っている状況で、準会員になるつもりでいました。ところがKKT合格・年金数理不合格で準会員になることができず、知り合いが多く準会員になったこともあり、非常に悔しい思いをしました。
不合格だった原因は主に下記の2点です。(今となっては、教科書の内容の理解も足りていませんでした)
①試験中に腹痛に襲われたこと(言い訳)
②計算力に乏しかったこと

①については、私はせっかちかつ心配性なので、こういう試験のときは大体かなり早くに会場につきます。アクチュアリー試験も例外ではなく、昨年度は会場が開く前に五反田についてしまいました。仕方がないので、会場1階のカフェに入ったのですが、そこで飲んだアイスティーでお腹を冷やしたことが原因だと思います。

②については、演習不足に尽きると思います。もとから煩雑な計算は苦手な方なので、もっと修行を積むべきでした。

具体的な勉強方法としては下記を行いました。
2018年度:生保数理の受験終了後に初めて教科書を開き、五反田に行かないことを決める。受験料を出していただいた親に怒られる。
2019年度:教科書通読、「例題で学ぶ年金数理(仮)」、過去問演習
2020年度:「アクチュアリー受験研究会WB」、過去問演習
2021年度:「アクチュアリー受験研究会WB」、過去問演習

2020年度は知り合いの方にお誘いいただき、自主勉強会に参加させていただいておりました。(ここでは詳細は書けませんが、神のようなメンバーの勉強会に参加させていただき、大変感謝しております)こちらの勉強会のおかげもあり、かなり理解が進んだと思います。一方で、「アクチュアリー受験研究会WB」は結局最後まで解き切ることができず(一番重要な利源分析の問題を解いていなかったし、最初のほうは最早忘れていたり、難しい問題は飛ばしたりしていた)、過去問も直近のものしか解いておらず演習量が圧倒的に不足していました。特にエレガントな解法にこだわりすぎていて、愚直に行うシグマの計算や積分計算に時間がかかりすぎていたり、そもそも一発で答えがあわないといった事象がよく起きていました。皆様ご存じのとおり2020年度の年金数理は計算量が非常に膨大だったため、試験中に「エクセルを使わせてくれ」と思いながら、努力不足を痛感しました。

2021年度は、「どうせ一科目だけの受験だし、あわよくば100点を狙おう」というメンタルで勉強をしていました。前年度の反省をいかしてWBは一周全問題を解き切ったり、過去問についてもWBには載っていない年度以降の問題を1周したものの、演習量については十分だったかというと微妙なところがあります。一方で、エレガントな解法へのこだわりはより一層強まっており、無駄に公式を作ってみたり、問題の背景に隠れていそうなことも考えてみたりなどをしていました。この経験が年金数理のさらなる理解につながったと思います。(私は生保会社勤務で、年金の業務に携わったことががないので机上の空論を理解したつもりのだけです)結果として、2021年度の試験はいわゆるビッグウェーブだったこともあり、勉強したことと噛み合いが非常によかったことから、今回のような結果が残せたと思います。ちなみに年金数理人試験の問題については、合格まで3年間で直近のものについては1周しましたが、合格のために必須かとといわれると微妙だと感じております。また「合格へのストラテジー」も購入いたしましたが、気になったことがあったときに辞書的につかっておりました。(問題については解いておりません。)

試験当日と問題についての感想

試験当日については昨年度の反省もいかして、会場がちょうど開くくらいの時間をめざして五反田に向かいました。解答用紙に受験番号をマークするタイミングで、年金数理にありがちな選択肢ではなく数値を直接マークをする問題が少なかったのを確認して、「今年はいけるのでは」と思った記憶があります。さらに試験が始まった瞬間に、大問3の証明問題を確認しましたが、予想していたファクラー・ティーレの公式がでていて勝ちを確信していました(慢心)。ここからは各問題の感想と私の試験中の解法を覚えている限りで書いていこうと思います。

問題1

(1)アクチュアリー試験はどの科目でも1問目は緊張してしまいますが、この問題は「例題で学ぶ年金数理(仮)」の1問目と似た問題だったため、落ち着いて解くことができたと思います。(こういう問題集は1問目は複数回解きがち)解法については、公式の解答と同じものでした。

(2)正誤問題ですが、例年に比べると簡単だったと思います。「例の図」を頭に思い浮かべて解きました。(C)と(D)が背反であることがすぐにわかるため、アク試験にありがちな全部〇や全部×といった受験生の不安をあおるような解答でもなかったのが良かったです。

(3)今年度の問題で、この問題だけが1周目で解くことができず飛ばしました。$${{}^{T}F=l_{x_r}\times\frac{e_{x_r}-a_{x_r}}{d}}$$の公式を使って解こうとしましたが、なぜかdで割ることを忘れる計算ミスをしていて、計算結果が選択肢になかったので一度飛ばしました。

(4)100-40=60をするだけの問題だったので、目を疑いました。念のため$${\mathring{e}_x}$$の微分から公式を確認した記憶があります。

(5)印象に残っていないので、公式解答通りの方法で解いたと思います。

(6)問題1で最も難しかったと思います。公式解答には『変更後の制度は年1回払い、年2回払い、年3回払い、年6回払いの組み合わせ』とサラッと書いてありますが、これを見つけるのはなかなか難しいと思います。(連立方程式を立てて頑張れば見つかる?)私はラッキーなことに、たまたま公式を自分で作っていたのが功を奏しました。別の記事に書いているのでよかったら読んでください。答えが0.995になるのですが、1にあまりにも近いので間違っているのではないかと何回も検算しました(センスがない)

(7)から問題2(2)
印象に残っていないので、公式解答の通りに解いたと思います。(覚えていないことが多く申し訳ございません。)

問題2

(3)問題2でもっとも難しかった問題だと思います。
③はX+1年度の損益が、「一時払選択者が予定と異なることによる損益」と「利差損益」に分けられることを用いて解いたと思います。

(4)選択肢を選ぶ問題ではなく、数値を解答する問題だったので、かなり丁寧に解きました。問題自体は標準的なものだったと思います。

問題3

試験前にTwitterに予想を書きましたが、予想がドンピシャで的中しました。教科書・過去問とほぼ同じ問題だったため、順不同に見えて、そうではない選択肢があるのもわかっていたので、結論から解答を埋めました。

問題4

2020年度をふまえ、問題4は難しいことを覚悟していました。年金制度の分割の問題でしたが、いきなり年金分割後の計算しようとして問題をよく読んだら、(1)が分割前について問うものだったので拍子抜けした記憶があります。責任準備金が$${{}^{OAN}V=S^P+S^a_{PS}}$$の公式が使えないことに気が付いたことはラッキーでした。逆にこのことに気が付ければ、最近の問題4では例をみないほど簡単な問題だと思います。

ここまで解いて、試験時間は残り1時間弱だったと思います。解けていなかった問題1(3)を解いて、残り45分くらい。ふと大問3が不安におもったので見直ししたところ、案の定tとτを間違えていることに気が付いて、九死に一生を得ました。あとは問題1の(6)くらいまでを見直ししている途中に、試験時間が終了してしまいました。試験中に100点を狙えると思ってしまったのですが、100点を狙いに行くと、見直しをする時間はなかなかないと思います。

最後に

今回の試験の感想としては、一言でいうと「運が良かった」という一言に尽きると思います。今回の試験で準会員となることができましたが、まだ道半ばですし、正会員を目指して引き続き精進してまいります。最後になりますが、試験のサポートしていただいた社内の皆様、ライバルとしてモチベーションを上げてくださった同期・受験生の皆様、そして質問に回答してくださったTwitterの皆さまに深く感謝いたします。本当にありがとうございました。




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