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SUNSET BLVD.シドニー公演

2024.10.11-13で3公演見てきた。その感想をここでは綴る。



1.公演情報

3回観た。各階A列からある。

1階10列目センブロ→2階前方センブロ→1階前方センブロが、初見演目マチソワマチする時は私の中ではベストな布陣な気がしている。


ノーマ&ジョー
マックス&ベティ&アーティ兼アンサンブル
デミル他アンサンブル
アンサンブル
オーケストラ、この中の26人が演奏しているという感じ


2.感想

 日本語版見る機会が無く、原作映画観てサントラ聞いて向かった状態だったので、聞き取り心配だったけど、聞き取れなくても面白かった、初回。
 ノーマがベティに電話してジョーがキレた後のあの嵐の演出から、怒涛のたたみかけで、ただただ泣くしか無かった。風が吹いてたなびくカーテン、自然のそれのまんまだった。ラストシーンのマックスの「Lights! Cameras! Action!」が狂気の世界で、映画のままで本当に最高だった。


3.話の流れに沿った感想(一幕)

 ネタバレオンパレードとなるので、見たくない人は回れ右。

曲目だ!

 まだ騒騒しい劇場だけど、冒頭、銃声音の後、あの有名なお屋敷の音楽が流れてきて、一気に物語の世界へ。1階前方の時、重低音が、床に響いてて「そこで音楽が生まれている!!!」ととても感動した。ハープ、ポロロンポロロン鳴ってるし!!!
 ジョー役のティム出てきて若いなぁって見て後で調べたら42歳!ツルッとしてて若いなぁ。

 お屋敷からパラマウントの門前に移り、Let's do lunch。取り立て屋もいきなり踊り出すからフラッシュモブ感あった。ってかみんな上手いし揃ってる。これがデビューの子が何人かいるとは思えん。ベティ可愛いよ可愛い。

 カーチェイスのシーン。車どうするのかな?と思ったらヘッドライトの演出にスクリーンに映像投下だった。ここの演出は私的に劇団四季のALWコンに軍配だな。サンセット大通りのサビ、外連味たっぷり。この曲、カッコイイ。

 暗闇の中に浮かび上がるようにマックス現れる。怖いよ。幕が上がって現れるお屋敷。スパニッシュゴシックで統一されたという装飾(パンフ情報)が美しい。

ライティングの影響で赤っぽく見えてるけど劇中ではグレージュに見える

 ノーマ出てきた時に「サラ・ブライトマン!!!うぉー」ってなったけど、既にサラではなくノーマだった。神経質そう。猿の葬式。。。私はビッグよ映画が小さくなったのよ、で何故か起こる笑い。
 『With One Look』聞いた時に涙出た1回目。あの、サラ・ブライトマンがノーマよ。シラバブからのクリスティーヌからのノーマ。歳を重ねるって良いこともある。
 拍手を思いっきりさせてくれるのも海外ならでは。待ってくれる。
 サロメの話に移って、ヘロデという単語にニヤけつつ、転がってく話に引き込まれる。ジョーは12/21生まれでハリウッドのアパートに住んでて未婚という個人情報をサクッと聞き出すノーマ(笑)

 この屋敷、回転もするのね。反時計回りに回ってそのままゲストルーム前で会話するジョーとマックスのシーンへ転換。歌舞伎座かっ!床は回ってないから、お屋敷のセットが自ら回る。そして後方に下がる。ゲストルーム前でのこの二人のやり取り、この後何回か見る。

 気づいたらバーのシーン。バーのセットは、開幕前はお屋敷の後ろにあったから舞台袖からすっとでてきてたのだろうなぁという予測。これバックステージツアーの時に間近で見たけど、コイン入れたらガム出てくるやつ、リアルすぎ。お客さんもハリウッド関係者ばかりという設定なのか、真ん中のテーブル、デートかと思いきや推敲してた。

 アーティ達結婚するのかー、いいなー、みたいな浮かれた口笛吹きながらジョーがお屋敷に戻ってきたら、あんま外出歩くなとマックスから窘められた。奥様は壊れやすい、ってセリフ、人に対してフラジャイルって使うのねー。この、ゲストルーム前の会話、マックスがちょいちょい爆弾投下してくるからドキドキする。
 ノーマの衣装が毎回ゴージャスなんだけど、割とあの人裸足なのが気になった。映画観るためにドレスアップしてた時はヒール履いてたな。

 バースデーボーイのためにテーラー自宅に呼び寄せてお召し替えタイム。テーラーの男性陣鮮やかな濃いピンクの靴下ちら見せしてくるのがいいね!!パラマウントの門番がここではええ声で主旋律歌ってらした。マキャビティやってたこともある方だそうで、ダンスも抜群。Plato/Macavity/Munkustrapって書かれてた。Platoって誰やねんって調べたら所謂黄マキャ!

 終盤お着替え終わって正装ジョーくん、拍手もらってた。3公演とも。でも丈の合ってないスーツから見違えるほど、ぐんとカッコよさ増したね。
 大晦日のダンスシーン。最初タンゴを踊るということでホールドはフォックストロット。ハバネラのリズムでお屋敷の音楽。映画だと『ラ・クンパルシータ』が流れてたシーン。ちゃんと自作品曲をタンゴアレンジする卿さすがです。
 ノーマが、うっとりしてから三拍子になってワルツホールド。四拍子が崩れていって三拍子になるとこスムーズ。
 あと、キリアンしか組んだことないやつが何言ってんだだけど、ワルツホールドって見えない方向に進むからもう男性に委ねるしかないのよ。フォックストロットホールドからワルツホールドってノーマの心境の変化も表してるようでなんかいいな、と思った。
 そこから認識の相違があり、というちょっと緊張感あるシーンなのだけど、上手に控える次のシーンのフルーツポンチ。君スタンバイもうちょい奥の方がいいんでね?ドセンでも見えてしまった(笑)

 暗転せずにアーティのアパートでの大晦日パーティーシーンへ。つまりセットそのまま。でもライティング変えてなんかアパートに見えてきた。ここで、ノーマのお屋敷も表現してて、ノーマやマックスがまた違う場所で立ち振る舞ってるのだけど、同時に同じ場所で見せるグロテスクさ。未来ある若者達と絶望した孤独な歳を重ねた女が同じ構図に現れる。
 マックス甲斐甲斐しく看病。ジョー、あそこで非情になりきれないからこそ、この後待ち受ける悲劇。でも一幕は幸せに終わる。

😇😇😇😇😇



4.話の流れに沿った感想(二幕)

 アントラクト見事過ぎて、万雷の拍手。普段オペラを奏でてる方々の演奏で観るミュージカルって、東フィルさん演奏のミュージカル見る感じなのかな。豪華が過ぎますぞ。
 サンセット大通り、タイトルナンバー。ハワイアンジャケット着て腹筋見せつけてくるタイプのジョー。シックスパッドのCMでられるんじゃない?って位見事に割れてた。ここのジョー、スーツスタイルの写真もあるから、これ今回特製かね。せっかく割れてるなら見せていこうぜ!なのか、腹筋見せるシーンがあるから仕上げてきたのか。どちらにしても惚れ惚れ。ここはもう、コンサートの時とはガラッと雰囲気変わって、野心に溢れた感じが減ってた。プールサイドがオケピに被ってて私達プールの中から見守ってた。ワライカワセミかな。そして、ノーマの衣装が華やか。ドライマティーニ、きちんとグラスの中で液体が揺れていた。

 デミル出てきたー!『As If We Never Said Goodbye』始まる前のスポットライト、上手上空から流れてきてなんか映画のワンシーンで泣いた。その前の所在なさ気なノーマとは別人。

 ジョーとベティの脚本制作シーン。このタイプライター、紙にちゃんと文字タイプされてるんだよ。これもバックステージツアーで間近で見た。客席からは全く見えないのに。

 復帰への準備のエステシーン。今度は女性アンサンブルの見せ場。
 次のシーン、せっかく綺麗になったのに、ジョーにベティのこと聞くのに自信なさげに小出しに質問するというのが少しいじらしかった。ここでノーマはベティの電話番号をゲット。

 またまた制作シーン。今度は脚本完成。脚本完成すると惚れられるジョー。ベティ可愛いから許す。ジョーとベティのダンス、あのスピードで回転しながらお互いの手の高さ揃えるとかどんなお稽古されてるんだ????

 ゲストルーム前でのマックス衝撃の事実告白シーン。我が妻だった、で何故か起こる笑い。ここシドニーのお客様、びっくりすると笑うんだね。マックスええ声で歌い続ける。ここの屋敷狂った人しかおらん…
 
 いよいよラストに近づいてきた…ベティに電話をかけるノーマ。それを庭から入ってくるジョーが見つける。カーテンの後ろにジョーが見えてだんだん表情が分かってきてっていうのが、だいぶホラーだった。ノーマから電話を奪って実際に自分で見に来いと電話で伝えるジョー。さっきまでのベティに接してた人とは別人…ノーマが「ジョー」ってすがるように叫んだら轟く雷鳴。これ、私が持ってるサントラだと「Don't hate me」だけ。そして、何故か3公演ともここで客席で物を落とす客。響くのよ、ここのホール設備がいいから。嵐の風の吹き方がリアル。緊張感高まってく音楽。ダバダバ流れる涙。音楽良すぎる、かっこよすぎる。あー、終わってしまう。
 ここでも車のヘッドライトを上手く取り入れて「あ、ベティ着いたな」って分かる。戸惑ってるベティにわざと悪態をつくジョー。本心は別にある、っていう苦悩があって聞いてて辛かった。でも、ノーマのペットを満喫してたのも事実。オペラ座のPONRみたいにいきなり違うテイストの曲入れてくるの反則※。この部分↓
It's no time to begin a new life
Now I've finally made a perfect landing
I'm afraid there's no room for a wife
Not unless she's uniquely understanding
You should go back to Artie and marry the fool
And you'll always be welcome to swim in my pool

※バーのシーンでアーティがこのメロディでベティについて歌ってた!(2024/10/25追記)

 この後明るい音楽なのに空っぽのジョーという対比に何も分かってないノーマ。ジョーが一旦部屋に去った後に身だしなみを整えジョーが叩き落として割れた自分の写真を愛おしそうに拾うノーマにこの人、究極の自己愛で生きてるんだなって切なくなった。
 あっさり3発撃った後静かに部屋に引っ込むノーマ。ノーマから離して自分の両手に乗せた拳銃に目を落とすマックス。もうマダムは表舞台に立てない、その事実が受け入れがたい、警察やマスコミが押しかけた後も呆然としてるマックス。

 部屋からサロメの衣装を着て歌いながら現れるノーマを見て「この人こそマイミューズ」という気持ちを取り戻したマックス。現実に目を向けそうになるノーマにあくまでここは撮影現場と言い聞かせて、続行させる。二人共狂ってる、闇が深い。マックスもノーマを愛したというより、あくまで偉大なスターであるノーマデズモンドを愛してたんだなあと思った。ノーマ自身を愛してくれてた人はいたのだろうか、と寂しくなった。
 でも、ラスト堂々と私は映画のために生まれてきた、と言い切るノーマ、これはこれで本望だったのかも。

4.おわりに

 音楽良し、話良し、演出良し、芝居良し、のとても贅沢で満足できる極上の3公演だった。


英語の歌詞はこちらを参考に:genius.com

https://genius.com/Andrew-lloyd-webber-overture-i-guess-it-was-5-am-lyrics


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