ニンギョヒメ

等価な関係を求めた僕らは、
深夜の海底へ落ちてゆくのを約束した。

似通った指先も、爪の形さえ、
ただの容れ物で、この世を認識する殻でしか無かった。

冷たい水が身体に染み込む。手のひらのなけなしの熱も、境が溶けて一つになる。

『いきたいだけなのにね』

淡く彼女は笑って散った。泡が花びらみたいにほどけて上に向かう。

結局残されたのは僕だけだった。
透過した月光の道筋が、彼女をそらへ導けばいい。

最後は二人で向かうんだって、心を結び合ってないた夜のこと。

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