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魚影
Twitter300字ssにて。
第六十七回 泳 より。
とぷん、と揺れた。
気付けば底にいた。
平行線の向こう側は、透過した青が煌めいている。
泡ぶくはひかりに吸い込まれる。
自由になりたい。
願っていたら魚になった。
誰も此方を見やしない。
誰も自分に気づかない。
愉快だ愉快だ、その筈だった。
望めば望む程果てがない。
この世界には終わりがなく未来もない。
何にもなれない。
そればかりが自身を蝕む。
進め、進め!
尾を揺らぎ鰭をはためく。
水流を受け流し藻の森の先を行く。
見渡す限り青の群れ。
死に損ないが無茶をする。
当たり前のように泡ぶくは上へ。
そこで漸く、此処は底なのだと思い出した。
ならば、行くしか。
ズンズンと行く。ひかりが近い。
空気を吸う、その瞬間。
人であることを望んだ。