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物語に成れなかった言葉たち。
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#ss

獣のワルツ

獣のワルツ

毒をもつのはきっと容易い
かような姿は修羅の如く
研がれた刃と牙をもつ
ひと在らざる化身なり

ひとつ歩めば全てを切り裂き
ふたつ行けば荒野と化す
其はうつくしき獣なり
そうであるならすくわれた
そうであればワタシで在れた

見目ばかりが人だから
まわりは勝手に同列扱い
珍品列挙 奇異敬遠
誰もが知らぬ存ぜぬ繰り返す
己に自問を繰り返す

ワタシは私に成りました
牙を無くした私など
伽藍とカラの器

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春の雪

都会の雪は
雨にはじまり
霙でおわる。 

気まぐれに積もり
跡を濁し
薄くアスファルトに張り付いていく。

神田川の底の底
桜並木の囲まれた
深さの下で雪は積もる。

雨になりて
霙になりて
春の雪を
待ち続ける。

言葉の星座

言葉の星座

言葉 言葉 点 の よう
歪 な カタチ 繋がって

見えない カタチ 識らない カタチ
貴方 知らなきゃ わからない

私は ここ に いるのだ と
貴方は そこ に いるのだ と
星座 みたいに 私に 伝える

拙い糸 が途切れぬ ように
私と ワタシ  貴方と アナタ
振れない袖 は他人ばかり
例えば 交わること も無かったんだ

紡ぐ 繋ぐ 心が欲する
揺れる 解ける 波のように
連ねて溢

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ノンエンドロール

続く。何だろうと続いていく。
明日も明後日も明明後日も。
悲鳴を上げた夜だって、明ければただの新しい朝だ。

コンテニューされない日々の中、見えない嗚咽をばら撒いた。
灰色の空を、ビルの細い隙間から見上げる。
この狭さがぼくの世界だ。
喧騒に身を埋めて自己を希釈すれば、
ほら、なんて事ない棒人間だ。

さよならさよなら、かつてあった筈のぼく。
おはようおはよう、カスタマイズされたぼく。
ぼくは死

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泡沫

こころが迷子で砂になる。
砂上で幾度探そうとも、
混じり合えば遥か彼方だ。

とおくに行った 星になった。
こころもとおく、とおくに逝く。
かつてないた記憶さえ、
果てではただの、塵芥。
ガラクタならせめて、どんなにマシか。

死にゆく泡沫抱きしめて、
冷たい躯を動かして、
想いの丈だけ、生き延びるように。
せめてあなたは、と願い託した。
閉じる意識で底から腕を、
欠片手にして祈って振った。

白線

白線を往く。
そのやわく不透明な淡いを、
弾んだ、合わせたすり足で通り往く。
途切れる黒の穴を、すぐ隣の暗を、
見ぬふりして追い抜くように。

終に見なかった屍たちが
後方の向こうで蠢いている。
混ざり合って尾を引いて、
過ぎた線は灰となる。

進むは定められた路だけで、
他には何もありはしない。
只々往くこと、それだけが、
己なんだと疑わなかった。

濃い陰りが高々伸びて、
いつしかぴたり

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揺籠

いつだったか、
泣いていたんだって。
それを僕は忘れちゃったんだ。

たぶん、どうでもよかったんだって。
あとから思うのは、カンタンだよな。

あたたかく触れる熱に、
寂しさを覚えたのはいつだったか。
ここにいるよって声を、
焦がれていたんだって。
安心を得たいだけだなんて、
勝手過ぎて笑っちゃうよな。

引いては戻る波打際を、
揺り籠のようにそっと辿るようにさ。
歩けたらよかったんだ

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燃殻

燃殻

すべて火にくべてしまいたい。

とおくのいつかで知ってしまうんだ。
そして知らぬうちに消えているんだ。

いま、
話すきみのこえを、
熱を、
匂いを、
知りたいとは、思わないんだ。

すべて火にくべてしまいたい。
灰になったきみを永遠に、
この先ずぅっと抱えて生きること、
それだけが
時間を共にした名残にはなるだろう。
けれど隣合わなかった証だろう。

出先で買った揃いの土産も、
要らないめで

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忘れじの流星

忘れじの流星

なにもかもをわすれたとき、
ボクはあなたに還るのでしょう。
生まれ育ちの場所だけが
ボクの場所ではありません。

たとえあなたを忘れても。
あなたがボクを忘れても。
あなたの中から、
ボクがこれっぽっちもなくなっても 。
記録から抜け落ちた残像の懐かしさを、
ボクはきっと、覚えてるから。
落ちてはすり抜ける明日を幾たび、
数えることに飽いた先で。

あなたに逢いにゆくから。
#雑文 #詩  #

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いつか

いつか、何もかもがうつくしいと
そう思う日がやってくる

ここにいるのは、
ほんとは僕じゃなくても良かった
偶々産み落ちた大量生産の、
隣り合わせが良かっただけ

電車で一緒に揺られているあなた
街角ですれ違うだけのあなた
ほんとは、あなたが僕だったかもしれない
だけども結果、僕は僕になった
だから今、こうしている

空を見ている 友と語らっている
仕方ないと笑っている
ふざけんなと怒っている

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遠ざかる腕を、背を、掌を。
追うことが出来なかった。

軽やかに踊り舞う、
楓の種子を君は見たことあったかい?
ゆったりゆったりと
風にのってゆくんだ。

さらばだ! 皆の衆!

あゝ。
ここを出て行った、あの日を
僕は思い出す。
君は風になって、僕を置いて行って。

そうだろう、と言って。
馬鹿だなぁ、て笑って。
そんな日々さえ。

君と飛んで行ったんだ。
#ss #散文 #雑文 #詩

肉塊の独白

『ほんとは、消えちゃいたいんだ』

君がそんなこと言うから、
僕はいなくなんないでって言うしかなかった。

これは自己中心なエゴの発露です。
ただ一人になりたくないだけの、
かあいそうな肉のカタマリ。

たまたま自我を持ったばかりに、
要らん欲まで膨れる始末。

そこらに打ち捨てられてりゃよかったんだ!
そうすりゃ、君は流星のように消えられただろうに。

関係性は建前で、相槌は惰性で。

中身のな

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ユメノクニ

おもちゃ箱の中は楽園だった。

柔らかい服、甘いお菓子。
みんなみんな、おんなじ顔でしあわせそうに微笑み笑う。

手を取り合って、行こうよ、夢の国。

ふしあわせなんて知らないわ。

幸福だらけの箱庭で、一体何が不満というの?

棄てられるまで、だあれも知らない。

いつか見るのよ、外のガラクタを。
#雑談 #ss #短編 #創作 #詩

カルペ・ディエム

僕は今、論文発表をしなくなって学会から見放された、世論から忘れられた研究者の心持ちでいる。

脳裏に閃く言の葉は、全てが散り散りとしていて脈絡がない。
手の届かない星々をかき集めるのと同じ、手応えのない様はなんとも虚しい。

何処へ、何処へ、何処へ!

己の中に確かにある筈のそれらは、指先をするりと抜けていく。

言葉を紡ぐこと、それだけが僕にとっての世界だ。生き様だ。

それ以外のさいわいを、

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