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壱宍 (若槻きいろ)
2022年4月14日 18:19
毒をもつのはきっと容易いかような姿は修羅の如く研がれた刃と牙をもつひと在らざる化身なりひとつ歩めば全てを切り裂きふたつ行けば荒野と化す其はうつくしき獣なりそうであるならすくわれたそうであればワタシで在れた見目ばかりが人だからまわりは勝手に同列扱い珍品列挙 奇異敬遠誰もが知らぬ存ぜぬ繰り返す己に自問を繰り返すワタシは私に成りました牙を無くした私など伽藍とカラの器
2021年1月24日 20:36
都会の雪は雨にはじまり霙でおわる。 気まぐれに積もり跡を濁し薄くアスファルトに張り付いていく。神田川の底の底桜並木の囲まれた深さの下で雪は積もる。雨になりて霙になりて春の雪を待ち続ける。
2020年10月8日 20:31
言葉 言葉 点 の よう歪 な カタチ 繋がって見えない カタチ 識らない カタチ貴方 知らなきゃ わからない私は ここ に いるのだ と貴方は そこ に いるのだ と星座 みたいに 私に 伝える拙い糸 が途切れぬ ように私と ワタシ 貴方と アナタ振れない袖 は他人ばかり例えば 交わること も無かったんだ紡ぐ 繋ぐ 心が欲する揺れる 解ける 波のように連ねて溢
2019年11月5日 00:51
続く。何だろうと続いていく。明日も明後日も明明後日も。悲鳴を上げた夜だって、明ければただの新しい朝だ。コンテニューされない日々の中、見えない嗚咽をばら撒いた。灰色の空を、ビルの細い隙間から見上げる。この狭さがぼくの世界だ。喧騒に身を埋めて自己を希釈すれば、ほら、なんて事ない棒人間だ。さよならさよなら、かつてあった筈のぼく。 おはようおはよう、カスタマイズされたぼく。ぼくは死
2019年10月22日 23:22
こころが迷子で砂になる。砂上で幾度探そうとも、混じり合えば遥か彼方だ。 とおくに行った 星になった。こころもとおく、とおくに逝く。かつてないた記憶さえ、果てではただの、塵芥。ガラクタならせめて、どんなにマシか。 死にゆく泡沫抱きしめて、冷たい躯を動かして、想いの丈だけ、生き延びるように。せめてあなたは、と願い託した。閉じる意識で底から腕を、欠片手にして祈って振った。
2019年8月4日 16:53
白線を往く。そのやわく不透明な淡いを、弾んだ、合わせたすり足で通り往く。途切れる黒の穴を、すぐ隣の暗を、見ぬふりして追い抜くように。 終に見なかった屍たちが後方の向こうで蠢いている。混ざり合って尾を引いて、過ぎた線は灰となる。 進むは定められた路だけで、他には何もありはしない。只々往くこと、それだけが、己なんだと疑わなかった。 濃い陰りが高々伸びて、いつしかぴたり
2019年7月21日 21:04
いつだったか、泣いていたんだって。それを僕は忘れちゃったんだ。 たぶん、どうでもよかったんだって。あとから思うのは、カンタンだよな。 あたたかく触れる熱に、寂しさを覚えたのはいつだったか。ここにいるよって声を、焦がれていたんだって。安心を得たいだけだなんて、勝手過ぎて笑っちゃうよな。 引いては戻る波打際を、揺り籠のようにそっと辿るようにさ。歩けたらよかったんだ
2019年6月28日 22:50
すべて火にくべてしまいたい。 とおくのいつかで知ってしまうんだ。そして知らぬうちに消えているんだ。いま、話すきみのこえを、熱を、匂いを、知りたいとは、思わないんだ。すべて火にくべてしまいたい。灰になったきみを永遠に、この先ずぅっと抱えて生きること、それだけが時間を共にした名残にはなるだろう。けれど隣合わなかった証だろう。 出先で買った揃いの土産も、要らないめで
2019年6月6日 20:47
なにもかもをわすれたとき、ボクはあなたに還るのでしょう。生まれ育ちの場所だけがボクの場所ではありません。たとえあなたを忘れても。あなたがボクを忘れても。あなたの中から、ボクがこれっぽっちもなくなっても 。記録から抜け落ちた残像の懐かしさを、ボクはきっと、覚えてるから。落ちてはすり抜ける明日を幾たび、数えることに飽いた先で。あなたに逢いにゆくから。 #雑文 #詩 #
2019年5月28日 21:30
いつか、何もかもがうつくしいとそう思う日がやってくるここにいるのは、ほんとは僕じゃなくても良かった偶々産み落ちた大量生産の、隣り合わせが良かっただけ電車で一緒に揺られているあなた街角ですれ違うだけのあなたほんとは、あなたが僕だったかもしれないだけども結果、僕は僕になっただから今、こうしている空を見ている 友と語らっている仕方ないと笑っているふざけんなと怒っている
2019年5月25日 14:42
遠ざかる腕を、背を、掌を。追うことが出来なかった。軽やかに踊り舞う、楓の種子を君は見たことあったかい?ゆったりゆったりと風にのってゆくんだ。さらばだ! 皆の衆!あゝ。ここを出て行った、あの日を僕は思い出す。君は風になって、僕を置いて行って。そうだろう、と言って。馬鹿だなぁ、て笑って。そんな日々さえ。君と飛んで行ったんだ。 #ss #散文 #雑文 #詩
2019年5月9日 14:26
『ほんとは、消えちゃいたいんだ』君がそんなこと言うから、僕はいなくなんないでって言うしかなかった。これは自己中心なエゴの発露です。ただ一人になりたくないだけの、かあいそうな肉のカタマリ。たまたま自我を持ったばかりに、要らん欲まで膨れる始末。そこらに打ち捨てられてりゃよかったんだ!そうすりゃ、君は流星のように消えられただろうに。関係性は建前で、相槌は惰性で。中身のな
2019年3月31日 20:57
おもちゃ箱の中は楽園だった。柔らかい服、甘いお菓子。みんなみんな、おんなじ顔でしあわせそうに微笑み笑う。手を取り合って、行こうよ、夢の国。ふしあわせなんて知らないわ。幸福だらけの箱庭で、一体何が不満というの?棄てられるまで、だあれも知らない。いつか見るのよ、外のガラクタを。 #雑談 #ss #短編 #創作 #詩
2019年3月29日 20:28
僕は今、論文発表をしなくなって学会から見放された、世論から忘れられた研究者の心持ちでいる。脳裏に閃く言の葉は、全てが散り散りとしていて脈絡がない。手の届かない星々をかき集めるのと同じ、手応えのない様はなんとも虚しい。 何処へ、何処へ、何処へ!己の中に確かにある筈のそれらは、指先をするりと抜けていく。言葉を紡ぐこと、それだけが僕にとっての世界だ。生き様だ。それ以外のさいわいを、