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壱宍 (若槻きいろ)
2020年9月1日 22:18
ひとつとり溢す度に、水辺の波紋がへっていく。年々呼応する音がきこえなくなった。酷く静かな波だけがよる。きっとそれだけで生きてしまえる、単純な細胞でありたかった。真綿の朝を迎えて、緩む髪が流れて、あたらしい今日を聴く。足裏の地を感じて、のしかかる時間を思い起こして、浅瀬のそこで息を吐く。くりかえし、くりかえし。粛々と、くりかえし。空気が薄らになる頃まで。くりかえし、