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物語に成れなかった言葉たち。
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2020年2月の記事一覧

種子

肉体の死は己の死だと、
人は容易く受け入れる。

皮に入った魂よ、
箱が無ければ失せるモノよ。

その身 如何に汚されようと、
その実 如何に堕とされようと。
種と言うべき心が在れば、
空高く跳べさえするだろう。

実りの末が腐るのみとして、
種子は永遠に語られよう。
嘆きも喜びも得たその先が、
お前の種にも実ることを。

灰殻

誰かの願いが降ってやまない

お腹がぐずぐず燻ってる

あなたのことばが欲しいのだ
私の内を荒らして去った、

素知らぬあなたが欲しいのだ

ここにあるのは深い溝だけ

あなたとあるのはこの溝だけ

どうにも悔しい気がするのは

きっと私だけなんでしょ

後にも先にも散らばった心を

拾い上げることすら出来なかった
今日という日を

忘れやしない

忘れるものか
#詩 #創作 #雑文