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物語に成れなかった言葉たち。
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2018年12月の記事一覧

Ich bin ich und kein anderer.

かみさまは私に性を下さいました。

しなやかな身体に力強い手脚。
見る者が皆羨むほどの立派な体躯。

けれど私は喜べません。
周りはその性の役割ばかり私に求めるのです。

私は私です。
性の下、奴隷ではない。
性は良き隣人です。
只生涯共にする身内、たったそれだけ。
なのに周りは理解しません。

私は私。
#雑文 #詩 #ss

さよならロンリーガール

さよならを言った。
二度と会うこともなかろう人に。

次逢えたなら、それは奇跡だ。
だけど起こるはずもない。
その時には僕もいないだろうから。

だからあなたが眠るカプセル状の柩に、
枯れない花を咲かせよう。
もしいつか起きた時に、
一人でも寂しくないように。

真っ白でたおやかな、
あまくてちょっぴりにがい。

砂糖菓子みたいで、真っ黒なコーヒーのようで。
そんな花だったら、あなたの中に僕は残ら

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透明人間

「仕方ないね」って君は呟く。
一体それは何度目ですか。

癖は張り付いて剥がれない。
中身は空で殻になる。
浮かぶ色は褪せているよ。

知らんぷりはもう懲り懲りだ。
床から足が浮かんでいる。
ふわふわ漂って戻れない。

他人の色を見てばかり。
君は透明になっていく。

誰も君を気にしない。
些細な変化は塵となる。

君も、僕も、貴方も。
誰かも。

きっとどこかで、透明なっている。

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