ゲーマー歴38年のダンジョン紀行#44 『ダンジョン攻略の”正道と邪道”』
▼巳年は”ダンジョンを壊して”はじめる。
あけましておめでとうございます。
皆様1月はどのように過ごされましたか? 私は妻の実家にて、休みを満喫する贅沢な年末年始を過ごしておりました。初詣には、読者皆様と平和な良き一年となるよう祈らせて頂いた次第です。
さて、2024年1月では一年の抱負を挙げて初めました。2025年も自身の抱負を挙げて初めようと思います。と言うことで、ダンジョン紀行も早四年。そろそろ書籍化へ動き出そうと考えています。さりとて、触れている分野が散見しており、来年も使っての一大仕事にしたいと思っております。今後とも気長に応援頂けたら幸いです。
もちろん、2025年もダンジョン紀行は様々なダンジョンに触れて、考察や分析へ東奔西走するコラムを書いていく所存です。
今年初の記事は、2025年1/3に突如発表されたゲーム『ダンジョン崩し』に触れた所から、ダンジョンを攻略するとはどういうことなのか、改めて問うてみたいと思います。
『アナログゲームマガジン』は、アナログゲームに精通した執筆陣が集まり、一ジャンルを詳しく解説する記事や、ゲームの攻略記事、ルール記述の記事、はては第一線で制作している方々の最新記事まで、多角的にゲームを語っているマガジンです。最初の一か月は無料期間で、以降500円/月ですが、魅力的なアナログゲームなどの記事が読めるので是非チェックください。
私の記事は『ダンジョン』を焦点にコラムを書かせてもらっております。マガジンの中でも異色のコラムとして、楽しんでもらえたら幸いです。
▼B123F:ダンジョンとはクリアされるもの
"正道"と"邪道"
ダンジョンには一般的に潜る為の目的があります。これを当ダンジョン紀行では【大目的】と呼び、ダンジョンの三大要素の一つとして挙げています。
これは、洞窟の奥に捉えられた人質の救出であったり、近隣に害を為すゴブリンの巣窟を一掃することであったり、はたまた盗賊の根城で交渉を果たすことであったりすれば、秘境とされる山岳都市に挑む急峻な山道であったりもします。或いは、繰り返し挑むことで強くなることこそが目標だったり、タイムアタックが目標だったり……。
このように、一定の空間を潜り抜け、目的に到達することが一般的にはダンジョンを攻略すると言うことです。
その道中、様々な障害が待ち受け、生死を分かつ決断を繰り返し行う訳ですが、極端に言えば潜り抜けさえできれば目的は果たされます。そうして目的を達せられてしまえば、ダンジョンの役目は終わり。プレイヤー達は”クリア済”と言うシールを付けて、同じダンジョンにもう一度潜ることは稀でしょう。
このように、ダンジョンは”クリアするまで”が、ダンジョンとしての期限なのです。
では、そんなダンジョン攻略にも、正道と邪道があることを皆様は意識したことがあるでしょうか。
正道と言うと、初め入口に現れたゴブリンに、危険と戦いの手法を学ぶ瞬間も正道の楽しさの一つです。また、レベルが上がりより強大な敵と戦えるようになって成長を実感する瞬間も楽さの一つです。はてには、ダンジョンの全てを踏破する間際で強力な装備と魔法でベヒーモスを一撃のもとに屠る高みに至った快感を楽しむ瞬間も正道の楽しさの一つでしょう。
ダンジョンにはこうした始まり~終わりまでの段階的な楽しみがある。これはダンジョン紀行読者の皆様なら、何度も体験していることかと思います。
しかして、順番があるからこそ、偶発的にスキップして目的地に到達してしまう”強運”の快感もひとしおです。
例えば、序盤に手に入れてしまった低確率ドロップの武器で中ボスを粉砕したり、高耐久値のつるはしで壁を無視してどんどん次の階層へ進めたり、テレポーターでまさかの階段前に飛ぶ奇跡を引いたり、或いは、探索することなく洋館に火を放ってボスの悪霊を退散させたり、偶然調べた本棚に真相の掛かれたメモを見つけてしまったり……こういった快感は、正道と対になる”邪道”な快感です。
そして、どちらの道で行ったとしてもダンジョンをクリアすると言う行為に変わりありません。
ゆえに、ダンジョン製作者は邪道の手段を取られないよう正道の楽しさを作り、ダンジョン探索者は正道の道を楽しみながらも邪道を見つけた時には背徳的な楽しさに期待してしまう所があります。
"邪道"の正道
今年1/3、突如私の目に飛び込んで来たのが『ダンジョン崩し』と言うゲームでした。
「ダンジョンを壊して攻略する」
まさしく”邪道”の正道です。ダンジョン空間を破壊し、目標へ向け一直線で進んで行くことは、ダンジョン製作者からしたらたまったものではありません。
『ダンジョン崩し』のオープニングでは、ダンジョンを壊す魔法を使える魔女(主人公)が、まさしく各地のダンジョンを荒らして回っていると言う所から始まります。そして、その魔法を使って前人未踏の「閉ざされたダンジョン」を攻略してしまおう、これが目的です。
実際のゲーム内容を簡単に説明させてもらうと、周囲を取り囲むダンジョンの壁を壊して進んでいく時間制シューティングゲーム。集めたギルで魔法や仲間を開放していき、どんどんと成長を重ね、威力、連射力、効果が派手になっていきます。
また販売の形式としても、Steamにて極めて低価格で販売されており、手軽に遊べるように考えられているようです。プレイ感等含め、Vampire Sviverに似ていると私は感じました。
基本のダンジョンでは最深部にボスがいて、それを倒せば終わり。その後エンドレスモードが開放され、どれだけダンジョンの奥まで潜れるかのスコアアタックモードへ移行します。
つまり『ダンジョン崩し』の目的は、
①閉ざされたダンジョンのクリア
②スコアアタック
上記2つ。目的はシンプルなものですので、それほど幅の広い遊びでは無いと言えます。
そういう意味では、2点をクリアした時点で私の『ダンジョン崩し』は”クリア済”となりました。サクッと遊んで満足する作品として良作でした。
さらに望むのであれば、例えば風来のシレンシリーズのように、挑むダンジョン毎に”20階で終わるが、杖のみでクリア”など、テーマが変わるダンジョンがあれば、より遊びの体験が広がったように感じます。何しろ、”ダンジョンを壊す”と言う”邪道”の正道を走っているのですから、邪道にクリアする体験を幅広く体験したいと感じたのです。
今後もアップデートが行われるそうなので、どのように楽しい体験が広がっていくか期待するところです。
▼B124F:邪道はダンジョン作りの素?
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