ゲーマー歴37年のダンジョン紀行#36 『ゲームマーケット2024春の新作ダンジョンをレビュー!』
▼ゲームマーケット2024春の新作を見る。
※当記事に載せさせて頂いているのは「2024春初出」の作品になっております。ご了承ください。
さて、2024年春ゲムマの『ダンジョン』シーンを見ていきましょう。各作品はブース番号順にご紹介しております。視認性・一覧性・公平性を重視するためです。近年はたくさんの作品が発表されるため、一作品一作品が埋もれてしまうことが多いですよね。各作品を平等に見つけてもらいたく思います。
『アナログゲームマガジン』は、アナログゲームに精通した執筆陣が集まり、一ジャンルを詳しく解説する記事や、ゲームの攻略記事、ルール記述の記事、はては第一線で制作している方々の最新記事まで、多角的にゲームを語っているマガジンです。最初の一か月は無料期間で、以降500円ですが、魅力的なアナログゲームなどの記事が読めるので是非チェックください。※しかし、当記事は最後まで無料で読めます。
私の記事は『ダンジョン』を焦点にコラムを書かせてもらっております。マガジンの中でも異色のコラムとして、楽しんでもらえたら幸いです。
※製作者様のお名前は、ゲムマHP記載の製作者様、もしくはサークル名を挙げております。訂正等ありましたら、随時K_imuまでお知らせください。
Twitter:@K_imu
▼B105F: ダンジョンが登場する作品
【DECK ROGUE(デックローグ)】
デッキ構築型ダンジョン踏破ゲームです。また、デジタルゲームの「Slay the Spire」をオマージュしたとのことで、元作品を知っているとその楽しさがより伝わりやすい作品です。
初期デッキと言われる五つのカード、ダガー・ロングソード・ヒール・バックラー・ファイアから始まり、特殊効果を持つ「オタカラ」が毎回ランダムに一枚所持した状態でゲームが開始します。敵を倒す度に3枚のカード報酬から1枚のカード報酬を手札に加えてデッキを強化していきます。また、報酬には攻撃や防御の基本カードから、オタカラがさらに追加されたり、イベントが起きたりします。
また、ターン毎に手札は「3枚」になるよう引いていき、デッキが枯れた際に捨て札はシャッフル”しない”で、戻ります。つまり、使った順番にまたデッキからカードが出てくることで、自然と次の手札がわかる=戦略を組み立てながら敵を踏破していく。ハック&スラッシュなゲームです。
まさしく、オマージュ元のゲームの基本を押さえながら、カードゲームとして無理のない枚数で収めつつ、何度やっても飽きない絶妙なバランスで面白さを再現した作品でした。
一方で「ならば原作を遊べばいいのでは……?」と言う感想も聞こえつつ、ダンジョン紀行としては、戦闘に主軸を置いた作品ですので、地図的などの探索をするものではありません。その中で、次のカード報酬に何が出てくるか、毎回宝箱を開ける楽しみと言える作品です。
【Last Dungeon Dice(ラストダンジョン ダイス)】
2023春ゲムマで発表されたLast Dungeon Pocketの続編です!
前作ではカードのみで、ダンジョンを運営して冒険者を聖剣から遠ざけるダンジョン運用ディフェンス型ゲームでした。今回はカードに加えて”ダイス”も使い、冒険者を誘拐したプリンセスから遠ざけるダンジョン運用ディフェンス型ゲームです。
今までは、上で紹介したDECK ROGUEのように、カードに記載された効果だけでうまく運用をしていきましたが、今回はダイスを使うことで、都度効果に上下が起こります。その為、3つのダイスに良い出目が出るか、そして出た出目をどう割り振っていくか。さらにランダム要素を追加したプレイ感になっています。
前作と今作で好みは分かれますが、個人的にはダイスによるランダム性を増したことで、より毎回のプレイ感が変わり面白くなったと感じます。
さらに拡張版が同時に頒布されており、デッキにはさらに個性的なカードが増えました。より強力なコンボが生まれ、デッキを増やす選択肢が悩ましくなりました。はてには、宿敵であった『勇者』との共闘など、熱い展開を携えての高難易度は胸が熱くなりました。
【迷宮は眠らない 基本セット:土の洞窟】
正方形のカードをタイルのように使い、マップを作ります。複数のクラスを使い分けて、クエストクリアを目指したゲームで、電源ゲームを模したようなダンジョンRPGゲームです。
探索する、アイテムを探す、敵を倒す。クエストの目標に合わせて、全員一丸となって探索するのは、RPGに馴染んだ方なら誰もが楽しめるものでしょう。
説明書の解説が少しだけ前後しているような気がしたのですが、無事にクリアできました。クエストも難易度や目標がランダムに組み合わせられるので、レベルアップを繰り返して難しい難易度に挑んでいく、成長と探索ができる正統派なダンジョンRPGと言えるでしょう。
【ダダダンジョン】
ダイスで行動が制限される中、敵を倒していくハック&スラッシュ型のダンジョン踏破ゲームです。ダイスや電卓などは自分で別途用意しなければ遊べません。(※付属なし)
前述の迷宮は眠らないなどと同様で、プレイヤーはそれぞれ特色のあるジョブを一つ担当し、助け合いながら目の前の敵を倒していきます。ただし、ダイスで攻撃力や行動が制限されるので、自分の出目に対して臨機応変に対応していかなければなりません。また、「DECK ROGUE」と同様に、手に入れるアイテム。そして目的である宝石にも特殊効果があり、一人につき所持枠3つ(※二人プレイ時は四つ)のアイテム枠を何で埋めていくかがポイントとなっていきます。
ダイスの出目次第ではあっけなく全滅してしまうこともありますが、今回紹介した作品の中では大きく数字が動くので、爽快に楽しむことができます。ジョブの種類も8種類あり、それぞれの特色を味わうだけでも複数回楽しむことができました。個人的にはやはりメディックを活かすのが好きです。
【てさぐりダンジョン】
ダンジョンを作る側と、ダンジョンを踏破する側に分かれる対決型のゲームです。
ダンジョン作成は衝立の中で行われ、7×7のマスに壁や通路、宝箱やモンスターなどが配置されます。ルールに則って作成したのち、ダンジョンを踏破する側は戦士と魔法使いと言う二種類の役割をうまく使って、ダンジョンのマス目を手探りで探っていきます。
ダンジョンは事前に作られて衝立の中に隠される。これを元にまっさらなマップを攻略側が歩いて、何が置かれているかを探索する。この形は古くはドラクエダンジョン(Amazonリンク)、新しくは前回ゲムマの迷宮メイカーズなどあり、かなり古典的な形態です。また、前回からの流れである「ダンジョンを作る・運営する」流行にも当てはまり、ダンジョンゲームの潮流においては王道といえるのではないでしょうか。
またコンポーネントもよくできており、不織布でのマップマスや、木製コマが色とりどり用途に合わせて同梱されているのは、非常に好感が持てました。
ダンジョン攻略側は二人で遊ぶこともでき、戦士と魔法使いそれぞれを担当しますが、あくまでも同じマス目にいる前提です。別々に探索して一気にマップを探索する訳ではありません。(一人の時も同様に、同時に二人を扱います。いわゆるパーティですね。)
問題に一緒に対処していく為、探索の楽しみと攻略の楽しみと、ダンジョン攻略チームは齟齬なく遊ぶことができました。
▼B106F:ダンジョンがあるかもしれない作品
【パニッククエストⅢ ~そしてレジェンドへ~】
色んな職業のキャラクターを一人一種類担当しながら、目の前の敵を倒していくゲームです。
ダイスを使って行動を決められるのですが、面白いのは六面ダイスと四面ダイスを使って、六面ダイスの出目が上回った時はまともに動けるのですが、四面ダイスの出目が上回ってしまうと”混乱しているので”味方を攻撃してしまう所です。
ドラクエやFFなど、古くからの日本のRPGで登場する「混乱」と言う状態異常のままならなさを、アナログゲームのシステムと融合させたのが新しい点に感じます。アナログゲームは段取りが立つことが重要なことが多い印象ですが、そもそも一か八かなのに特色を感じます。
もちろん、「混乱」と言う特色を活かして、攻撃を受け続けると正気に戻っていくところも再現され、本作のオマージュ元となった「ドラゴンクエストⅢ」を思い出します。
この作品は、ダンジョン紀行として「ダンジョン」が出ているのでしょうか、いないのでしょうか。出ていないように思います。
しかし、この作品が出ていないと称すると「DECK ROGUE」「ダダダンジョン」など、類似している作品との区別が難しいところです。ダンジョンが設定の前提にあるか、ないかと言う違いになってくるのですが、そのうえでダンジョン要素は何と言えるのか。改めて考える良いきっかけになりそうです。
以上。500円ゲームかつ初めての制作ということで、目の付け所が非常に面白い作品でした。
【D!ce R?G】
オリジナル柄の六面ダイスを利用したバトルシステム型TRPG。
TRPGと言えど、GURPS(参考:Wiki)のような汎用型システムと言えそうです。ダンジョンや探索に関する詳細なルールは特になく、戦闘や戦闘マップの構築などに重点をおいています。ダンジョン紀行としては「ダンジョンは無さそう」と言えますが、汎用なのでダンジョンを遊ぶことも可能ではありそうです。
特に、拡張ルールとしてフィールド戦闘は確率されており、これを応用して、探索を含むダンジョンマップを構築することはできそうです。
特殊な六面ダイスを用意した上で、前提となる「D!ce F!ght」「D!ce Mag!」の戦闘に精通したならば、「D!ce R?G」でダンジョン探索をしてみるのも面白そうです。
最終的には作るシナリオ次第にはなってしまいますが……その際、やはり戦闘を重視したシステムである以上、ハック&スラッシュ型と相性が良さそうに感じます。
【B107F:2024春のダンジョンシーンを振り返る】
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