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ゲーマー歴38年のダンジョン紀行#42 『ゲームマーケット2024秋の新作ダンジョンをレビュー』
▼ゲームマーケット2024秋お疲れさまでした
2024年も暮れ、ゲムマの熱も冷めやらぬ内に――と思い、張り切って2024秋ゲムマのダンジョンレビューをしていこうと思います。その中には当ダンジョン紀行の処女作「ザファーストダンジョン」ももちろん入っております。ここまで4年、ダンジョン作品を触り、皆様の考えを拝見しながら作ったダンジョンゲームですが、その時勢をどのように捉えたか、そこまで見えればと思います。
さて『アナログゲームマガジン』は、アナログゲームに精通した執筆陣が集まり、一ジャンルを詳しく解説する記事や、ゲームの攻略記事、ルール記述の記事、はては第一線で制作している方々の最新記事まで、多角的にゲームを語っているマガジンです。最初の一か月は無料期間で、以降500円ですが、魅力的なアナログゲームなどの記事が読めるので是非チェックください。※しかし、当記事はレビュー部分は全て無料で読めます。
私の記事は『ダンジョン』を焦点にコラムを書かせてもらっております。マガジンの中でも異色のコラムとして、楽しんでもらえたら幸いです。
▼B118F: ダンジョンが登場する作品
【若き魔王に捧げる迷宮作成術2】
キミは魔王直属の「魔界四天王」の1人だ。
他の四天王たちと共に新たな拠点を建築し、
自らの野望に向けて闘士を燃やしていた。
そんなある日、口達者な小悪魔が言った。
墓所作成か…キミは思った。
この悪魔の口車に乗るのは本意ではないが、
これは自分の力を他の四天王に誇示する
ちょうどよい機会となるかもしれない…
今、四天王たちの新たな戦いが
幕を開けようとしていた…
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UNO風のルールで迷宮を作る前半戦のカードゲームと、すごろくの雰囲気で迷宮を進む後半戦のボードゲーム。
「ゲーム会やTRPGのセッションなどで、人が集まるまで待っている間に……(後略)」と、今回もゲームプレイの想定シチュエーションが書かれている所が個人的に好感触です。ミゴミゴアミーゴさんはTRPGのサプライ、ダイストレイやプレイマットなどをメインに展開しているサークルさんなので、RPG好きのプレイヤー心理をとてもリアルにくすぐります。後半のすごろくのルールでは、プレイヤーコマとして四天王のアクリルコマと特製ダイスがあります。
今回のカードの絵柄は、近年多展開を見せ蘇っているウィザードリィシリーズを思い出させる一人称視点の3Dダンジョンのデザインですね。
前半ルールのUNOは理解が簡単なうえ、カード枚数は少なめで、1~6の数字×四種類のスート(4*6=24枚)。加えて、逆回転カードがスートの数(4枚)、ワイルドカード2枚の合計30枚。小規模のUNOです。そうして重ねていくカードが、最終的に迷宮(ダンジョン)として完成します。上下に重なっていくので、3D視点のダンジョン視点として「奥へ、奥へ」繋がっていくようで良いですね。
後半ルールはすごろくで、重ねたカードを広げていき、それぞれのプレイヤーが四天王として、能力値を使いながらサイコロの目と共に進んで行きます。もちろん、一番早くゴールに着いたら勝ちです。
”迷宮作成術”のタイトル通り『部屋を作る』――いわゆる構造物としてダンジョンを捉えています。その上でどのような人々が関わっているかを演出しているのがこの作品の描くダンジョンの良い所に感じます。
#07『2021秋ゲムマのダンジョン作品』にも書かせてもらっていますが、ダンジョンゲームは『部屋を作る』か『敵を作るか』の二種に大別できそうです。この作品は『部屋を作る』系統としてアプローチが一貫しており、当サークル様は「構造物」をダンジョンとして強く認識しているようです。
前回の設定を活かしているのもシリーズ物として良い所ですね。
また既存の有名ゲームシステムを活用しているのは、RPGのパロディモチーフであることとも符合しており、相互に上手く活きているように感じます。次回3が出るとしたら、どのような有名作品のパロディになるのか楽しみです。
【Dungeon Dice Online ~ダンジョンダイスオンライン~ 拡張第2弾『百鬼夜行』】
百鬼夜行――陰と陽の狭間にて、深き夜の物語を綴らん。
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2022秋に基本セットが初出の作品で、拡張第二弾となります。拡張第一弾ではネクロマンサーと暗黒騎士、拡張第二弾の今回は夜叉と陰陽師のジョブが追加されました。スキルを活用しながら敵を撃破していくことで階層が進み、さらにはスキルも増えていく。王道のJRPGのような進行で、全5階層のダンジョンを攻略するダイスゲームです。
スキル発動の為に、ダイス目を操作するのに加え、新拡張ではジョブカード自体に仕掛けがあり、表と裏の顔を使い分ける夜叉。式神の表と裏を使い分ける陰陽師と、ダイス操作だけでなく、自身をも使い分けるのが特徴となります。
基本セットの頃より、”敵を倒していく爽快感、ランダムなダイス目に一喜一憂しながらボスを倒していくのは、まさに電源ゲームにあるようなプレイ感”、これをさらに加速させていると感じます。
こちらのゲームは空間的な表現があるダンジョンではありません。しかし、ダンジョンと言えば『敵を倒す』ことも重要です。つまり、Dungeon Dice Onlineは『敵を倒す』ダンジョンゲーム筆頭として挙げられる作品の一つと言えるでしょう。
▼元ゲーム▼
【ナニ・ダンジョン(NANI DUNGOUN)】
世界には、塔、洞窟、地下迷宮、空の島など、さまざまな「ダンジョン」が存在します。では、なぜこれらをダンジョンと呼ぶのでしょうか?
共通して言えるのは、ダンジョンには強力なダンジョン主と魅力的な宝物があるからです。ダンジョン主は非常に強力で手を出すことはできませんが、それでもリスクを冒す価値のある魅力的な宝物が眠っています。
だらこそ、今日も多くの冒険者たちは輝かしい未来を夢見て、「ナニダンジョン」へと足を運んでいくのです。
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カードを処理してボストークンよりも早くダンジョンを踏破していきます。デッキの上から5枚引き、引いた順番に処理をしていきます。処理先のカードプールは2つしかなく、その中で昇順か降順で、同じ色を揃えていくこととなります。いかに長く繋げることができるかも重要ですが、切ることによって手に入るトークンが欲しいので、どこで切るか考えていくデッキ型のゲームです。
ポイントは、引いた5枚の順番を入れ替えられる”アイテムトークン”。これを渋らずに使えるかで、カードの繋ぎや切りを操作することができ、結果的に”上手く進む”ことができます。
コンパクトながらプレイ感覚は電源ゲームの【Slay the Spire】などを思い出させるデッキ構築型のゲーム。要素が少ないながらもカードプールの管理が楽しいです。厳密にはデッキ構築ではありませんが、少しずつゲームが進むことでデッキ内の変化もあり、上記ゲームと似たようなプレイ感になっています。
また、ナニダンジョンの序文にて様々なダンジョンがあることに言及しています。
”なぜこれらをダンジョンと呼ぶのか?”
それは
”ダンジョンには強力なダンジョン主と魅力的な宝物があるから”
と始めている点は、ダンジョン紀行としてとても興味深い序文です。
実際、ナニダンジョンが示している構造物は塔であり、魔物、宝、冒険者で表現されています。
カードで表された塔と言うダンジョン空間、フィギュアで表現されたプレイヤーとボス、トークンで表現されたリソース管理。これらはダンジョン紀行で表現していた、”マスによる距離感によって空間が生まれるキャラクターとの一体感。そして『戦闘』による緊張感・臨場感を活かした『手の届く近い距離の舞台』”(#01『~起源D&Dに潜る~』より)に加え、度々取り上げるダンジョン三大要素『大目的』『能動的選択』『報酬と障害』まで、全ての要素が感じ取れるようです。
”ダンジョンを如何に表現するか。”
に注目するダンジョン紀行ですが、ダンジョンを冠するボードゲームとして、その命題に非常に向き合った作品であると感じられました。
【リラビリンス】
Amadanaは一人の勇者によって倒され平和が訪れた。
その時<願いの蝋燭>を手に入れ、しかしその魔力に魅入られた。勇者は姿を消し、月日は流れた。
ある時、再び魔物があふれ一つの町が消えた。
それを抑えるべく巫女が自らの魂と引き換えに、魔物を迷宮内へ閉じ込めた。はたして、貴方は巫女を救い、平和を取り戻せるだろうか……?
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#07『2021秋ゲムマのダンジョン作品』にてご紹介した『reabyss』シリーズの最新作。今回も極小の箱、タイルに凝縮されたローグライクRPGとなっています。不思議のダンジョンを実際に行うかのような、複雑なマップを、計算と運を頼りに進んで行きます。
部屋を処理していく順番が重要になり、現れている敵を倒すタイミングも重要です。さらに、説明書の最後にはチャレンジモードが実装され、指定された順番に部屋をクリアしていく詰将棋のようなモードもありました。
まさしく、ローグライクRPGの楽しさを凝縮したダンジョンゲームと言えるでしょう。詰将棋モードが出来たのも納得で、実際のローグライクRPG(風来のシレンシリーズなど)も、高難易度ダンジョンの多くは、ルールを理解した先にあるアイテムや移動の最適化に集約されています。このコンポーネントサイズに対して表現に挑んだルールは見事です。
ダンジョンとしては、タイルで表された構造物に加え、かなりシビアなリソース管理は古のダンジョンの趣を感じさせます。
【アミダンジョン】
ここは魔法のありふれた世界。とある魔法学校で試験が課された。
舞台は不思議な「アミダンジョン」。
4大元素の力が込められたこのダンジョンで、魔力のカケラおw3つ集めることで強大な魔力が得られるという。生徒たちは自身の力を高めるため、ダンジョンに定められたルールに従い、攻略を試みるのであった。
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あみだくじで、”線を引く”ことにバッティングが発生するゲーム。3回目的地に行けた人が勝ちだが、ラウンドを重ねるごとに到達した地点での特殊ルールが使えるようになる。ラウンド毎に、自分に有利になるよう盤面を睨んでいく必要があります。
ゲームデザインとしては「アミダンジョン」の掛け声と共にアクションを行うところを含め、パーティゲームとしての作りを非常に意識しているのを感じます。
ダンジョンの構造としては『部屋を作る』タイプに属しますが、あみだくじと言う身近な存在をモチーフにしているのでダンジョンぽさを感じるかは人によるところかと。魔法がある世界と言うのは世界観としてダンジョンとの融和性が高く、4色のプレイヤーカラーを炎、氷、風、土の属性に該当させたのは雰囲気作りとして良いですね。
【エリクサーシンドローム】
様々な文明が築かれ、そのすべてが滅び去った難攻不落の迷宮のダンジョン。今日もそのダンジョンに挑もうとする冒険者が後を絶たない。
複雑な構造のダンジョン内でアイテムを現地調達しながら誰よりも深く奥へと潜ろう。アイテムを使えば攻略は進む。だが、アイテムおw見つけた矢先に片っ端から使っていると本当に肝心な時に公開することだろう。ダンジョン内では様々なイベントが起こり、「肝心な時」は突如訪れる。だからといってアイテムを温存しすぎていれば攻略は進まず他の冒険者に先を越されてしまう。
アイテムに生かされ、アイテムに呪われる。アイテムと上手く付き合っていくことができればダンジョンの神はあなたに微笑むだろう。
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タイル配置でダンジョンを作りながら、手札のアイテムカードの使用条件を満たし、さらに場に展開されるイベントカードへコンボを繋げて勝利点を増やしていくタイル配置+特殊ルールが気持ちの良いボードゲーム。
タイル配置に付随する形で、石柱とモノリス・インプの3種類のコマが入り乱れてアイテムの使用条件を満たすのが新しいプレイ感に思いました。(※厳密には手札時点で未発見。条件達成で獲得。使用は手番中随意に可能)
条件が複雑に絡み合うのでボードゲームに不慣れだと管理は難しく感じそうですが、一人でやっている時は落ち着いて、複数人でやる時はお互いに条件を確認しながらやれば良いと思います。
ダンジョンとしてはやはり「部屋を作る」タイプに属するゲームの側面が強いです。アイテムを獲得・使用することで、イベント処理と言う形で敵を倒したり罠を乗り越えたり、様々なRPGらしい展開が起こす感覚も発生しています。
ダンジョンゲームとしてモチーフを上手く活かしつつ、ボードゲームとしての感触が良い作品でありました。
【ダンジョンは逃げない】
魔物が絶滅したと言われている現代。
それでも、ダンジョンに挑み、最奥から生還することを目的とする冒険者たちは絶えませんでした。彼らは、運や調子が悪くても、一度は帰路に着き、何度も挑戦することで、偉業を達成しようとします。
なにせ――ダンジョンは逃げない。
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”カードを使用した変形すごろくです。キャンペーン形式でゲームを行い、複数のゲームプレイでダンジョンのクリアを目指します。”(紹介ページより引用)
まさしく、単純なすごろくと言うシステムを活かしながら、キャンペーン形式にしてRPG的な良さを引き出した作品です。
あくまでも、”すごろくと同じ結果になる”と言うだけで、イメージにあるすごろくとは違います。しかし確かに、一歩一歩進む道が決まっているのはすごろくです。また、キャンペーン形式と言うことで、自分の裁量で一度街に戻って体制を立て直すと言うのが重要になっていて、上手くいかなかった場合に、傾向と対策をして次に活かすと言うのがゲームの楽しさに繋がっています。死亡したカードにマークを描き、危険個所を自分で刻むレガシー仕様(作者様も任意にと言っているルール)もあります。
このレガシー仕様も含め、ダンジョンとしては「自分だけが挑めるダンジョン」として、やればやるほど世界に一つの自分で挑むダンジョンの気配がするのが面白い所です。【探索】要素や【敵を倒す】要素が中心ではありつつ、どこかに【部屋を作った】要素も感じさせる奇妙な体験でした。
【The F1RST DunGeoN -Goblin Cave- ザ・ファーストダンジョン】
貴方たちはLv1の駆け出し冒険者。はじめてダンジョン踏破に挑む。
階層を進んで「経験値」を稼ぎ、Lv2を目指して協力しよう。
初めて手にする「名誉」はいかに?
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数字カードを配置しながらキャラクターカードの力を使って条件を満たしていく。ダンジョン紀行が送る第一作です。
『部屋を作る』『敵を倒す』と言うダンジョンゲームの大別は両方意識しており、RPG的世界設定はもちろん、ダンジョン三大要素「大目的」「能動的選択」「報酬と障害」など、自分が得た知見をミニマムに盛り込もうとした意欲作です。
拙作のため多くは語りませんが、現在のダンジョンゲームシーンにおいて象徴的な内容を盛り込みました。
一方で、小さいゲームシステムに破綻なく収めんがため、無茶をした部分も多いです。コンポーネントに対して少しお高めになりましたが、ダンジョン紀行のダンジョンゲームを、是非皆様の手で確認頂ければと思います。
▼B119F:ダンジョンがあるかもしれない作品
【メモリクエスト】
君は冒険者だ。モンスターが待ち構える洞窟…。
果たして君は生きて帰るか。
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セットコレクションと記憶ゲームを合わせたメモリクエスト。山札を中心に、放射状に並べられた2枚×5列のカード。この列の間が1部屋として区切られたダンジョンです。
”クエスト”と言う、ダンジョンに親和性のあるタイトルに惹かれたのと、ゲーム概要から”魔窟”と言うキーワードを拾ってチェックをしていた当ダンジョン紀行。
早速、作者様のTwitter(現X)にてダンジョンであるかを伺いました。
イメージとしては、指輪物語の「モリアの坑道」です。モリアの坑道は、その後のダンジョンRPG作品に影響を与えました。
— 松元@/ライフタイムゲームズ (@DanceOcn) October 30, 2024
ご返答としては上記を頂き、「ダンジョンの中でも源流となるダンジョンのイメージ」をもって制作されたことを伺いました。
こちらのゲームは、ダンジョンゲームです。
確かに。世代によって”ダンジョン”として想起するイメージは微妙に違います。それはダンジョン紀行を書いてきて実感するところです。
つまり、メモリクエストのダンジョン観は、現代ダンジョンシーンの祖「D&D」がダンジョンを着想したものと同じ所から着想を得ていると言うこと。古式ゆかしい信念を感じるご返答でした。
ダンジョンゲームとしては「敵を倒す」ことに中心に置きつつ、一応ダンジョン構造を「部屋」として表している作品です。ゲームとしても手軽に遊べながら、考えどころがしっかりとしており、短時間で戦略的に遊べるとても良いゲームでした。
【パルモデッセイ】(11/16詳細更新)
パルモデッセイは、一人でも楽しめるストーリーテリングゲームです。プレイヤーは、ゲームを通じて主人公が「敵」と対峙する物語を作り上げます。主人公は果たしてその「敵」を打ち負かすことができるのでしょうか?
このゲームは机を使わず、どこでもプレイできるように設計されています。
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カードの束を片手に持ちながら、書かれたストーリーに対して提示された選択肢を選び、表示されたアイコンを確認しながら物語が分岐していく、カードに収められたゲームブックのような作品です。
まず、こちらのゲームを受け取る際に作者様に確認した所。
「このゲームに、ダンジョンは入っていない」
とのことでした。
確かに。ゲームブックにも、ダンジョンが無い物語は多くあります。システムに親和性があれど、”ダンジョン”を取り入れるかどうかは製作者の意図によるものです。ダンジョンがあるかないかを知るには、やはり直接製作者様に伺うか、プレイするかが大事であると痛感します。
ゲームとしては、カード24枚に収められたゲームブックとして非常に綺麗な作品でした。シンプルながら描き込まれたアートワークも、手のひらに収まる世界に深みを与えています。
確かにダンジョンはありませんでしたが、綺麗な掌編小説で懐かしい冒険を体験するかのようで、良い体験をさせてもらいました。
【ビブリオワンダース!】
「その研究の完成に必要な書物が、あの場所にならあるかもしれない――」
古くから橙伝わる魔術研究のため、図書館へと足を踏み入れた四人の若き魔法使いたち。探し求めるのはたった3冊の本……ところがそこは「魔法学校の迷宮」の異名を取る大図書館。ひとりでに飛び回る書物、生き物のように絶え間なく動く初夏が足を踏み入れる者を翻弄します。協力的だけどちょっと頼りない(?)司書の手も借りながら、必要な知識をいち早く探し当てましょう!
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カードで作られたフィールドに対して、自身のコマで移動含むアクションをしていくことで他プレイヤーよりも早く条件を満たし、中央マスに戻って来るゲーム。魔法の世界にある迷宮図書館で、目標の本を見つけると言うモチーフです。
プレイヤーは力差の無い各プレイヤーカラーを選択し、リソースである魔力や、勝利条件に直結する知識キューブを集めて勝利条件を達成することを目指します。
こちらのゲームには”迷宮”要素があったためこの項目に入れました。
そして、ゲームを受け取る際に作者様に確認をした所……
「このゲームの迷宮は、ダンジョンです」
と力強くご返答を頂きました。
と、このご返答は会場の空気あってのものでしたが、ひといき置いてからご自身の口から「モンスターが出たり、派手なボスがいる訳では無いですが、ダンジョンと言って良いならダンジョンと思っています」とも頂いたので、それも参考にさせて頂きたいところです。
実際、「これはダンジョンなのか?」の項目が生まれたのも、”迷宮”および”迷路”の要素しかない場合が始まりでした。
それ以来、”ダンジョンであるかないか”を見分けてきた答えの一つとして、迷路や迷宮などは、あくまでもダンジョンの「能動的選択」「報酬や障害」をシステム的に助力する一要素であると言う答えでした。
なので、これに「大目的」――本作で言えば「目的の本を見つけること」を合わせれば、ダンジョン紀行の提唱する三大要素を満たしたダンジョン作品と言えるでしょう。
「戦闘」と「探索」はダンジョンにおいて重要な要素です。しかし、そこに捉われない作品も出てきています。敵を倒さなくても、切り詰めたり守ったりするリソースさえあれば、ダンジョンになり得ると提唱する作品の一つとなりました。
ゲームとしてのプレイ感覚も、私の感覚で言えば優しいダンジョンを攻略している手触りに近いものを感じました。
こうして定形外のダンジョンに触れることで、よりダンジョンの進化や派生を感じられるのは、様々な新作に触れる醍醐味だと感じます。今後も様々な新作を調査し、「これはダンジョンですか?」と探求していきたいものです。
▼B120F:2024年のダンジョンゲーム総まとめ
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