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ゲーマー歴37年のダンジョン紀行#29 『ダンジョンゲーム、次の”柱”』

 ダンジョンを楽しませてもらって37年。そしてアナログゲームマガジンが始まり3年が経とうとしている。
 運悪くコロナ禍に被った期間だが、ボードゲームシーンにおいては巣ごもり需要で悪くないタイミングだったのかもしれない。そんな中、ダンジョン紀行では年二回開催のゲームマーケットを計四回。2021秋、2022春、2022秋、2023春とダンジョンゲームを注視して見て来た。
 そこで得た知見から、これからのダンジョンゲームに向けて発展していくであろう新しい視点について、掘り下げていきたいと思う。

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▼B90F:ダンジョンゲーム、二つの柱。

 まずは、これまでゲームで”ダンジョン体験”の"柱"を挙げたいと思います。私はこれが二つあるように思ってきました。
 一つは、ダンジョンの志向性。
 
もう一つは、ダンジョンのプレイ性。
 
です。
 一つ目の志向性とは、リアルにRPG体験を再現しようとして、コンポーネントやステータスなどを詳細に具現化していく志向性のことです。主にビジュアル面が凝っている作品のことを指します。反対に言えば、道・階段・ボスなど、要素が抽象化されている作品は反対の志向性、デフォルメ化されていると感じます。
 もう一つのリプレイ性は言うまでもなく、ローグのようにランダムで生成されるダンジョンを繰り返し遊ぶ方式であり、ボードゲームではカードやダイスなどでリプレイ性を高めようとするシステム面での方向性です。反対に言えば、電源ゲームや謎解きは最初に一回、あるいはたった一度の攻略機会と縛られることで、他に代えられない体験ができるノンリプレイ性と言えそうです。またレガシータイプのゲームや、ナラティブな体験に寄った作品と言えるでしょうか

 具体的なゲーム名を、これまでダンジョン紀行で扱ったタイトルで挙げて行きます。
 例えば、リアル志向でリプレイ性の高い作品で言うと、ダンジョンクエストやメイドインダンジョン、ドラスレ、迷宮キングダム、はらわたの路地などが挙げられそうです。
 リアル志向でレガシー性の高い作品で言えば、ドラゴンクエストなどの電源ゲーム作品を始めとした作品で、その体験は代え難いものでした。もちろん、改めてプレイすることは可能ですが、中身が変わる物ではありませんね。
 一方、デフォルメ志向でリプレイ性の高い作品はと言えば、ダンジョンオブマンダム、D6ダンジョン、reabyss、Lemures、などなど、ボードゲームでの再現とは相性が良さそうです。
 最後にデフォルメ志向でレガシー性の高い作品をと考えた場合、謎解き無限迷宮=ソフィア姫の救出=やボウケンクエストなどの謎解きに始まり、ゲームブックでダンジョンがモチーフに扱われる作品や、迷宮キングダムなど、TRPGはシステムによってデフォルメ志向のタイトルもありそうです。

 その発展の歴史に照らし合わせれば、以下のようにも言えるでしょう。

 ”ダンジョン”はD&Dを始まりとして、手探りの中からRPGの魅力溢れる舞台の一つとしてその魅力を発揮します。自身のキャラクターが挑み、ゲームマスターが用意した専用の舞台は必要不可欠なものへとなりました。その溢れる魅力に惹かれ、多くの人が求めた結果、様々な要求に応えていきます。

 TRPGと言う多くの人が時間を拘束されるゲームに対して、たくさん何度も遊べるよう、コンピューターの技術を使って”リプレイ性を高めた”ローグが産まれたりしました。

 そうして身近になっていく”ダンジョン”。そのモチーフや仕組みに慣れた人々が”デフォルメ”し、カードやダイスなどでダンジョンそのものが再現されていき、さらに手軽なものへとなっていきます。

 もちろん、ミニチュアや小道具の魅力に取りつかれ、最新技術や工夫を凝らして、今も変わらず”ただ一回の体験”に心血を注がれている作品も生き残っています。

 楽しまれている要素の裏に、こうなったら良いなと言う要求が見つかることで、柱が産まれていくようです。

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