
"ONE PIECE RED" いま映画館で見た方が良い2つの理由。
面白かったんです。
それと同時に、何が面白かったかを噛み締めていると、観る前の自分に言ってやりたいことがあってこのnoteをしたためています。
なにせ観る前の自分が思っていた、
・『Amazon Primeで観れるようになった時で良いか』とか、
・『ONE PIECEが完結してから一気に観るか』とか、
そういった”ありきたりな消費のしかた”をしていたら、"ONE PIECE RED"(以下:RED)は9割面白くなくなっていたはずです。
実をいうと、レッド公開をきっかけに、私はAmazon primeで見れるONE PIECE劇場作品を全部見た上でREDを観ました。ネガティブな言い方になりますが、過去作品の感想は”出来の良い子供向け夏アニメ”、あるいは”見るのが退屈な作品”と★で言えば3~2くらいばかりでした。そして、その一つにREDを落とさなくて良かった。そう思っています。
そう、落ちる可能性が往々にありました。
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1点目:映画館で最適化された劇場版であること。
過去作品を退屈だと思った理由はいくつかあります。『物語を進めるテンポが冗長に感じた』部分や、『初見の人にキャラクター達を説明するような演出自体がいまいち』、また『音楽が主である演奏をしている雰囲気作りの時間』や、『キャラクター達の喋るテンポがなんだか遅い』など、良くないと感じる点はすべて『映画を観て間のテンポ感』に関わるものでした。
それらはエンターテイメント作品ゆえに流行りの演出や、テンポ感などがあったことでしょう。それはあるとしても、今回のREDで全て改善されたとは思っていません。当初のように”未来Amazon Primeやそれに類する何かで見ていたら、”REDも他の作品と同じような感想を抱いていたと思います。
つまり、映画館で観る大きな画、空間を鳴らす音響、それら空間を使っての演出が劇場版で活かされているのです。そんな当たり前のことに改めて気付かされました。
その上、REDは”音楽”がかなり主張されています。
中心となる"UTA"は音楽で世界を変えようと本気で歌い、本当に世界を巻き込む大事件になっていく。音楽パートはしっかりと歌っており、ボイスキャストをする声優さんとは別に、歌唱キャストとして歌い手――いまやすっかり話題の"Ado"さん――が担当している。使用されている楽曲の作曲家も、一劇場歌で使用するには豪華な作曲家が名を連ねています。シーンや展開に合わせてアルバム一つできる分量です。
そんな作品を、映画館で観るか、それとも家で観るか。(普通のモニターやスピーカーで……はてはスマートフォンで……です。)作品を受け取る意味が違うのは、一目瞭然です。
この勘違いをしたのも、このコロナ禍で自宅で映像作品を鑑賞することに慣れきってしまっていたことが大きかったことでしょう。それだって"良かった映画"は無数にあったからこそ、自宅で観ることと、映画館観ることの違いを履き違えてしまっていたのだなと痛感します。
なので改めて、いま映画館で観ることのできる方は、”ONE PIECE RED”は映画館で味わって欲しいと思いました。
※情報求む。
ちなみに、どこか映画館でONE PIECEの過去作品をやってくれる映画館とかあるでしょうか? あとは近い環境で個人でも放映できるような貸し切り施設のある場所等あるでしょうか……?
過去作品の受け取り方の違いを比較したいので、ちょっと試してみたいです……。
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2点目:作品として大きな舵取りがされているタイミングであること。
二点目は改めて言うと野暮ですが、いま"ONE PIECE"本誌での連載が、最終章へ入ることが予告された時点であることです。これは、映画を観るこれ以上ない好機です。”ONE PIECE”の物語として、『海賊とは何か』、『海賊王とは何か』、『新時代とは何か』を改めて問題提起する重要な作品にしあがっています。オープニングの作り方からして、普段と違うのです。
まさしく2022年夏、ジャンプ本誌で連載しているONE PIECEが『最終章』に入ると言う宣言に合わせた作品だったのでしょう。”いま見て面白くない訳がない”のです。それは仮に、本誌を読んでいなかったとしても。
本誌でも、全ての謎を、伏線をこれから回収すると豪語しています。楽しむなら今しかないです。ネタバレ厳禁、リアタイ勢には最後のタイミングなのです。
特にそう思うのは、ONE PIECEの作品が、初めから言い続けている"海賊王とは何か"、"ONE PIECE一繋ぎの大秘法とは何か"が明かされる祭りの火が着いた瞬間だからです。
この盛り上がりを、私はいくつか知っています。
例えば、ノストラダムスの大予言のような――例えば、FF14が新生したような――例えば、FGOで第一部が完結する2016-2017年の年越しのような。
”その時代に生きた”エンターテイメント作品が、物語の世界ごと現実世界に熱狂を持ってくる瞬間だと思います。
ONE PIECEは過去にもエースの死に合わせ、物語世界で2年、現実世界で3ヶ月の隙間を意図的に作っています。
予兆はとっくに始まっています。
ここまで言ってなんですが、ONE PIECEにそれほど思い入れがある訳ではありません。それでも、ONE PIECEと言う物語の構成として、かなり意義のある作品だと思いました。
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おまけ
・UTAのキャスト分けの感想。
個人的には、歌唱キャストAdoさんとボイスキャスト名塚佳織さんはあんまり繋がらなかった。良いか悪いかで言うと難しいのだけど、個別に評価せざるを得ないと言う所。物語としては違和感は無かったけれど、歌とキャラクターがちょっと分離していたというのだけは感想として言わせてください。(※Adoさんごめんなさい。歌そのものや、歌の使われ方、作品における歌の立ち位置はとても良かったです。)
また余談だが、この2022年放映していた『パリピ孔明』でボイスキャストと歌唱キャストを分けるやり方をしていて、(個人的に)そちらの出来があまりに良かったのが大きいかもしれない。
・”ウタ日記”を観てから知った。
Youtubeの”ウタ日記”は、2022年のいまを一部取り込んでいて、エンターテイメントの作品としてすごく良い広がりを作っていたと思う。映画館に行く前に”ウタ日記”を見て行くと良いと思う。帰って来てから知りました。
ポイントはいくつかあるけれど、個人的に良いなと思ったのはそのアップロード日時の感覚。この感覚を持って、映画館へ行ったらオープニングの意味が変わってもっと楽しかったに違いない。くそう。
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ネタバレ含む感想。
※私は物語世界そのものや、キャラクターの感情でワーキャーなるタイプではありません。作品としての立ち位置とか、物語を作った人々が何を気にされて作ったのかの丁寧な仕事に感銘を受けるタイプです。
・UTAの『本当の親は何者か』
本当の親については、EDでシャンクスがUTAを見つけた時から色々考察ができるかもしれない。
UTAとシャンクスの出会いは、赤髪海賊団が何者かに襲われ返り討ちにした所で、その船が持っていた宝箱の中にいたのが描かれている。
・手がかり1:襲ってきた相手海賊団(※どこの島から奪って来たのか。)
・手がかり2:その見た目で特徴的な赤と白の髪。
この辺り詳しい方の考察が見たい。
・『ウタウタの実の能力の違和感』
物語の最後、魔王を倒しても皆が戻らず、UTAが歌うことで皆の意識を戻した。この最後が個人的には腑に落ちなかった。
ウタウタの実の効果が「歌を聞いた人の意識を歌の世界に持っていく」と言われ、「本人が眠ると、皆の意識が元に戻る」と言うものだった。例外として、「本人が死ぬと、皆歌の世界に閉じ込められる」。
その為に、例外項目を使って後者を使って世界を飲み込もうとしたUTA。それに対抗するため、トットムジカで歌の世界と現実の世界に同時に現れる魔王を倒せば~と物語内で解説があった。
それでも戻らなかったのを『時間切れだったのだ』と言う。
……いやいや、時間切れと言うのは『UTAが死ぬこと』だったはず。これはもう諸々の情報が間違っていたとしか言えないのでは。(ONE PIECEあるあるかもしれませんが)
と言うことで、ウタウタの実は別の効果だったのではないかと思っていて、単純に「歌を聞いた者に、能力者(今回はUTA)の想いを反映させる」と言うただそれだけだったのではないだろうか。
すごい単純だが、私はその方が納得できる。
・トットムジカ:魔王から考えちゃったこと
ここで本誌でゴムゴムの実が本当の名は『動物系:「ヒトヒトの実」幻獣種「太陽の神ニカ」だった』に通じる話で、ウタウタの実も何か”『本当の名』”があって、「魔王」が最終地点だったのではないか。
そこから『悪魔の実』と言うのは、何か現実ならざる概念を降臨させる為の鍵だと言う感じなのかと思った。
とは言え、UTAにそれほどの力があったかは一考の余地がある。ルフィだて、ようやくニカの力を引き出せたのは、ついに世界の頂点に近いカイドウと戦った際であり、死力を尽くした果てだった。
まあ、ウタウタの実をこれ以上ない適材だったことは間違いないだろうが。まだ最終章が始まる直前、『悪魔の実』が何かは色々な考察が産まれることだろう。
・魔王についてどうしても言いたいこと。
LIVEALIVE!!!
・ついでに”ワンピース”って何だろう?
色んな考察があるので、ワンピースをずっと追っている方が様々考えているので私が考えるのは野暮ってもんだが――。
と言う前提とリスペクトを前文として、今回の『新時代』や『海賊』のありようを踏まえると、やはり”世界の見え方が変わる何か”なんだろうなと思う。
ただその在処を示していたポーネグリフのように、”隠された歴史とかが書いてあるだけの何か”では無い気がする。海軍や天竜人とか、世界全体の何かも手を出せないもので、ロジャーや他の前時代の海賊では使えなかった”世界を書き換えるような未知の道具・あるいは装置”のような気がする。
まあお誂え向きにゴムゴムの実を世界政府(?ごめんなさい曖昧)が追っていたのだから、ルフィがなにがしかの条件を満たしている可能性が高いですよね。
さて、感想はこのあたりにしましょう。ウタウタの実の違和感が一番書きたかった感想です。本誌で最終章が始まるのが楽しみですね。
では、この25年と同じようにのんびりと本誌を追っていきたいと思います。