英元首相キャメロン氏の外相復帰で問われる”元首相の品格” 日本とイギリスとの違い 「ゾンビ元首相」を生むメカニズム
つい先ごろ、イギリスと日本において"元首相の品格"が疑問視される事態が発生した。イギリス政界を引退し、一般人となっていたキャメロン元首相が、現首相のスナク氏の要請に応じて、外務大臣に就任した。
イギリスで首相経験者が閣僚に就任するのは53年ぶりの出来事であり、現地ではかなり注目を浴びている。あるイギリスの元閣僚は、
とまで評したという。
イギリスのスナク首相は、13日に内閣改造を行い、キャメロン氏を外相に任命した。保守党を率いるスナク氏は、2025年1月までに行われる次の総選挙に向けて、経験豊富で知名度の高いキャメロン氏を閣僚に起用することで、支持率の回復を目指している(2)。
実は、イギリスでは首相が退任すると、議員を辞職するケースも少なくない。そのため、キャメロン氏の"復帰"がますます注目を浴びている。
早稲田大学の高安健将教授(英国政治)によれば、歴代の英首相の中には、サッチャー氏(首相任期1979~1990年)のように上院議員に転身したり、メイ氏(2016年~2019年)のように下院議員として務め続けたりする例もあるという。
ただし、キャメロン氏(2010年~2016年)やブレア氏(1997年~2007年)、ジョンソン氏(2019年~2022年)などは、首相任期終了後に議員を辞職した(3)。
対して、日本もイギリス同様、議院内閣制の国でるが、日本の元首相たちは政界から引退することが少ない。
菅義偉氏、野田佳彦氏、菅直人氏、麻生太郎氏など、首相経験者たちは現在も議員として活動を続けている。この状況は、「ゾンビ元首相」と呼んでいい事態だ。なぜ、イギリスと日本では、ここまで違いが生じるのか。
キャメロン元首相とは
キャメロン氏は2010年に43歳で首相に就任。イギリスの財政再建や経済成長をある程度、もたらし、とくに中国との経済関係強化を進め、「英中蜜月時代」をもたらした。
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