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ジャベールから見るレミゼ


こんにちは、皆様いかがお過ごしでしょうか。
私は最近やっとしることぜんざいの違いが分かったところです。

さて、こちらは2021年に書いて下書きに保存したままになっていたものです。
読み返してみたら思ったよりも良かったので公開します。
ジャベールについて考えていたみたいです。
2023年の今でも好きな登場人物達です。
こいつ想像力豊かだな、とだけ思っていただければ幸いです。



2020年と2021年に公演版ミュージカル レ・ミゼラブルを観劇した。
去年の公演では、マリウスがやっとエポニーヌに向き合い、抱きしめられている中で歌う「On my own」の美しくも悲しいシーンが印象的だった。

そして、今年は無意識にジャベールに注目して観劇した。その中で新しい気付きがあった。

今までジャベールの事は、すごく粘着質で頭の固い警察官だと思っていた。
2020年と2021年のジャベールはキャストが違ったからかもしれないが、一部の「星よ」と二部の「ジャベールの自殺」がすごく心に響いた。

同じ橋の上の、真逆の心情。

一部では何が何でもバルジャンの事を捕まえてやる、という強い意志。

二部では囚人バルジャンに命を救われたことで、自分の今まで信じてきた法や精神、正義の心などが崩れ、葛藤し、悩んだ末に絶対に捕まえると誓った場所で自らの命を絶つ。

クリスチャンの教えでは、自殺をすると天国へ行けないらしい。
なのでバルジャンが息を引き取るシーンではジャベールだけ居ない。

 

いままでは、何で自殺までするほど追い込まれてしまったのだろうかと思っていた。
だが今回の観劇でなんとなくわかった気がする。

ジャベールはとにかく真面目で極端な人物だと思う。
世の中には悪と正義の二つしかなく、すべて絶対的な法の下に裁かれると思っている。

パンを盗み、脱獄を繰りかえし、仮出獄中にも拘わらず身分証を破り捨て、逃亡したバルジャンをジャベールは絶対的な極悪人として追いかけ続け、法の下にさらし、正しい裁きを受けさせようとしていた。

しかし、極悪人バルジャンに命を助けられてしまった。
バルジャンは極悪人のはずなのに、困っている人を助け、人々からの信頼も厚く市長になり、常に紳士で、俗にいう良い人なのである。

極悪人なのに良い人。今のバルジャンを捕まえて裁くことは正しいのか。

ではそれを追いかけ続けたにもかかわらず、逮捕できない自分の存在意義はいったい何なのか。
本当の正義とは、悪とは、いったい何なのか。
善人バルジャンを捕まえる自分は悪なのか。

追い詰められ、自身を構築していたものが崩れ落ち、これからどうしたらいいのか混乱し、葛藤し、絶望し、挙句の果てにどうすることも出来ず、絶対に捕まえてやると誓ったあの場所で身を投げるしかなかったのではないか、と感じた。

よくバルジャンが光、ジャベールが影、という風に対比される。
確かにバルジャンからの視点だとそうだが、ジャベールから見るとどうだろうか。

第二の主人公はジャベールといっても過言ではないと私は思った。


レ・ミゼラブル、タイトル通り悲しい人々がたくさん居る話だが、そこにはそれぞれの生きる情熱があった。

観る人や演じる人によって感じ方が違う、本当に面白いと思う。

来世ではジャベールに幸せになって欲しい。

2022年もご縁があれば是非観劇したい。