「放流で魚が減る」の記事を見て
「放流で魚が減る」という研究結果が発表されたのをご存知でしょうか。放流は限りある自然の幸を増やす目的で推進されている善良な取組のイメージで、報道などでもほのぼのした明るいニュースとして取り上げられ、多くの方に認知されていたかと思いますが、研究結果によるとムダどころか逆に魚が減る結果になるとのこと。今まで信じていた常識が覆され驚かれた方も多いのではないでしょうか?
私自身も驚いたのですが、その反面「やはりそうか」と、長い間違和感があったことが解消できた感覚もありました。河川に大量の魚を投入することは、小さな水槽に大量の魚をいれるのと同じ。餌の取り合いが発生しますので、魚の量に合わせて餌の量を増やさなくてはなりませんし、身を隠す場がなく争いが発生してしまいます。自然の河川だからといって餌が無尽蔵にあるわけでもなければ、身を隠す場所が無限にあるというわけではありません。私の子供の頃の小さい水槽での失敗経験を踏まえて研究結果を見ると合点がいくことばかりでした。
今回の研究結果は、研究者の方が日頃から努力されている結果。常識を疑い、仮説を立案し、調査方法を開発しながら研究を積み重ねて頂いたことに感嘆します。また、放流を推進していた方々も、その時々の限られた情報で常に良い方向になるように判断され推進されてきたことと推察します。今回の研究結果を踏まえて、さらに良い推進方法をご検討頂きたい。
我々ITIDがご支援している新事業推進や業務改革においても、良い影響や悪い影響を踏まえて仮設を立て効果確認や状態把握を行うこと、置かれている環境や事実に合わせて機敏に対応していくことが、ご支援しているお客様が存在・成長し続けていくために大事であると再認識できました。事業構想検討やアセスメントの案件では外部の視点から常識を疑い正しい判断をおこなうための情報提供を、対策を実践・遂行する案件では対策が悪影響を及ぼしていないかの状態把握を丁寧に、昨日の常識は今日の非常識の視点を持って推進できればと思います。
シニアマネージャー 大作孝男