見出し画像

異端による改革の実現

最近、社会はますます多様化しています。以前よりも、個人の価値観や信念は幅広くなり、異なる意見やアイデアが交わされることが当たり前になってきました。この多様性を活用し、組織やプロセスを変革していくためには、異端児(いたんじ)と呼ばれる人々の存在が不可欠です。

異端児とは、従来の常識や慣習にとらわれず、独自の視点や考え方を持つ人々を指します。彼らは既存の枠組みに縛られず、新たなアイデアや価値観を提示し、社会の進化や周りの人の意識の変化をもたらしてくれる存在です。

私たちが現場で行うワークショップの場では、設定した目標を達成するために関係者と協力し、問題を共有し、仮説を検証しながら課題に対するアクションプランを策定します。しかし、時間と労力を費やして議論を進めてきたにもかかわらず、「やってみないとわからない」「これまでの感覚とは違う」という理由で最終的に予定調和的な結論に至ることがあります。課題の難しさやメンバーの特性などが要因となるかもしれませんが、改革活動を続けるうちに、変化よりも現状維持を選ぶ傾向があるようです。

私は、予定調和的な雰囲気を感じた場合、異端児的な考え方を持つメンバーに助けを求めるようにしています。人は無意識のうちに物事の見方に先入観が入るものですが、彼らは「上司だから」「難しいから」「使ったことがないから」といった理由で自分の考えに制約をかけず、変化を積極的に楽しんで意見してくれます。メンバーが異なる考え方を持つ人の意見を受け止めることで、チームとして柔軟な思考が生まれ、新たなチャレンジに向けたチームの意欲が高まります。

しかし、そうした特性を持つ人がチームに常に都合よくいるわけではありません。
メンバーが見当たらない場合は、私たちコンサルタントがその役割を果たすことになります。その際、私が意識して実践しているのは、「少数派の意見をぶつける」ということです。

前述の通り、多数派の意見は現状維持の方向に傾きがちです。そのため、少数派は変化を促す方向で意見を述べることが多くなります。この時、「できないからやらない」「今までと違うからやらない」といった現状維持の思考ではなく、変化をポジティブに捉えて「できないからやる」「今までと違うからやってみる」という思考に立って意見するようにしています。

チーム全体で出す最終結論を保証することはできませんが、異なる価値観を持つ人々が存在し、彼らの考え方を共有することで、新たな視点で議論や検討を行うことができます。会議や話し合いの時間が長引くことは無駄だと考える人がいるかもしれませんが、大前提として、「全員が異なる」ということを念頭におくべきです。個々人が自身の考えを発信し、異なる意見を思いやり、個別の違いを受け入れ合うことで、これまでにない革新的なアプローチや『創造的破壊』の実現につながると考えます。

今後もお客様の改革活動を支援する中で、そんなチームになれる瞬間を楽しみに、日々活動していきたいと思います。

シニアマネージャー 佐野古志郎