仕事中にナンパされた話|LAから来た男のポケットに入っていたのは…。
先週からフリーランスの仕事が忙しくなってきて、中々集中してnoteに向き合えていません。
今日は長年のフリーランス経験から抜粋した、つとめて軽い話題をお届けします。
30代前半の若いころは、仕事中に「今度飲みに行こう」というお誘いはよくありました。
取引先として仕事の話が進むのかな?と思って出かけても仕事につながったことはほとんどありません。
そんな中でもシンプルにナンパされたのは珍しかったので、その話を書いてみます。
■LAの風はぬるく、フライドポテトの香りがした
ある撮影現場で会った人、当時私31歳、男性33歳。
クライアント企業の社長の友人で手伝いに来た、とか言うその男性から、
「映像ディレクターとかかっこいいね!飯行こうよ!」と誘われた。
「2年いたLAから戻ったばかりで友達いないからさー」とのこと。
アメリカに住んで帰国した人か、何か面白い話が聞けるかもと期待して行くことにした。
ちなみに顔は特に私のタイプではなかったが、服装は派手すぎずまとまったカジュアルで、そこは好感が持てた。
”友達”にならなれそう。
LINEを交換して夕食の約束をした。
彼とは、忘れられない出会いとなった。
お店は私が予約した。待ち合わせは平日の19時30分。
そのレストランは自宅の最寄駅から一駅程度の距離だったので、その男性からLINEを受け取った時はまだ出かけていなかった。
「ごめん!知り合いのパーティに出てて遅れそう!」
パーティか。ディナーの約束の前にパーティに行くとは大胆だな。
さすがLA、と思いつつ30分程度遅れそうだというのでお店に連絡。
結果、待ち合わせの駅に45分ほど遅れて男性は登場。
彼は、「ごっめーん、怒ってる?ほら、LAハグしよう」
と両手を広げてきた。
もちろんその胸には飛び込まない。
私はこめかみの血管がはち切れそうなくらい怒っていたが、なんとか薄笑いを浮かべて店へ向かった。
そんなに待たされても食事に行ったのは、お店に申し訳ないからだ。
今でも思う。
LAハグってなんだろう。
食事が始まってから、いきなり彼は切り出した。
「どう俺、アリ?ナシ?
え、まだわかんないって何よ。
知ってる?男と女って、会って20秒でアリかナシか決まるんだってよ」
私は遅刻した上にこのアホな質問はなんだとカッカしたが、ふと気づいた。
「あ、これまともに相手しなくていいヤツだ」
そしてにっこりして答えた。
「うん、それならナシ!ナシだね!」
彼はびっくりした顔をしていたように思う。
とにもかくにも食事は進み、恋愛の話になり離婚歴があることを伝えるとそいつは私に説教を始めた。
「ねえ、マグロに赤身、トロ、中トロ、大トロってあるじゃん。
どこの部位か言える?え?言えないの?
だから君はダメなんだよ。
男はね、マグロと一緒
言いたいことわかる?
君、見る目ないってこと!」
マグロの部位を見分けられるのと、男の見る目にどんな関係があるのかわからないし、今まで聞いたどんな恋愛のアドバイスより価値がなかった。
「そうなんだねー!私は中落ちが好き!」
私は訳がわからないことには、訳がわからないことで返すことにしている。
話題は仕事の話に移った。
「LAでは美容系のお店やってた!
今はねえ、六本木ヒルズでITの会社に勤めてる!」
「へえ、お店やってたとかすごいね!
今はどんなITの仕事なの?
SE?デベロッパー?」
「ええと、オフィスにPCを運んだりとか…」
PCを運ぶ。それはとても大事な仕事だ。
ITはPCがないと始まらない。
観葉植物とかマグカップを運んでもITは出来ない。
うん、それは大事な仕事だ。
何も言えずそうかそうかとうなずいていると、
ヤツは急に「うわっ」と声を出した。
「ポケットからポテト出て来た…!!」
ヤツの手にはぐちゃぐちゃに砕けた数本分のフライドポテトだったものが乗せられていた。
あー、パーティに参加してから来たんだもんね。
きっとフライドポテトもあったよね。
うっかりポケットに入れちゃうことだってあるだろうね。
ポケットにフライドポテトを入れて後で食べるのが、LA流なのかも。
勉強になるなあ。
いや、笑かそうとしているのか?
怒らせようとしているのか?
私にはわからない。
彼もわかっていなかったのかもしれない。
でも私は笑った、ゲラゲラ笑った。
二度とこの人とは会わないし、友達にもなれない。
人としても男性としても無理。
でも私はずっと笑い続けていた。
支払いは普通に割り勘。
男性に経済的にぶらさがることを我が身に禁止しているのでもちろん割り勘で構わない。
が、お読みいただくみなさんに「でも、おごってもらったんでしょう?」と誤解されたくないので一応書いておく。
帰ってからその日のお礼をLINEで伝えて、その後一切連絡は取っていない。
私はLAにまだ行ったことはない。
でもLAに旅する時、この男のことをきっと思い出してしまうのだろう。
プロフィール画像を手描きのイラストにしたら、フォローしていただいた方が増えました。
とても嬉しいです!!
今日も仕事だけど幸せな気分になりました。
ありがとうございます。
良い週末を!