母が骨折。今からできる骨粗しょう症対策はあるの?友人の医師に聞いてみた。
昨年、高齢の母が、少し転んだだけなのに大腿骨を骨折してしまいました。 年を重ねると、どうして骨が折れやすくなるのでしょう? 50代の私は、今から対策をすることはできるのでしょうか?
友人で医師のK先生に聞いてみました。
骨粗しょう症って何ですか?
「骨粗しょう症」とは、知らない間に骨がもろくなり、転倒して股関節の骨や背骨などが折れてしまう状態です。わりと身近な病気なのですが、自覚症状もなく、これが原因で命を落とすわけではないので、骨折するまで医者にかかる人はあまりいないですね。
骨粗しょう症は女性に多いのですか?
骨は、皮膚や筋肉と同じように新陳代謝を行なっているので、古くなったところは削られて新しい骨に置き換わっています。 若い間は骨を削るペースと新たに骨を作るペースのバランスが取れていますが、閉経後は骨を削るペースがはやくなり、新たに骨を作るのが追いつかなくなります。だから年を重ねると骨がもろくなるんです。
また、ピーク時の骨の量を比べてみると、女性は、男性に比べて少ないので、骨の密度が下がり始めると女性の方が早い率で、骨の量が少なくなるんです。
男性でも骨粗しょう症になりますか?
はい。男性も骨粗鬆症になる可能性はあります。ただし患者の割合は女性が男性の2倍以上あります。男性は、ピーク時の骨の量が多いこと、閉経というホルモンの急な変化がないことから、比較的骨粗しょう症になりにくい体質なんです。
骨粗しょう症を予防する食べ物はありますか?
予防のために大切なのは、バランスの取れた食事と適度な運動です。
日本人はカルシウムの摂取量が少ないので、意識して牛乳やヨーグルト、小魚、ししゃも、干しエビ、小松菜などを食べましょう。カルシウムは体内に吸収されにくいので、ビタミンDを含んだ食材も一緒に食べてください。
効果的な運動はありますか?
運動も大切です。ウォーキング、片足立ち、太極拳など、スローだけど骨に負担がかかる運動がおすすめですよ。骨は物理的なストレスが加わることで強度が増すのです。運動は負担にならない程度で、続けられるメニューにしましょう。
骨密度はどこで測れますか?
市区町村などが行なっている検診で、骨密度を測ることができます。痛みもなく時間もかかりません。
骨密度の値が低ければ、医療機関での精査を勧められますから、総合病院の整形外科を受診してみましょう。手首のレントゲンと採血で大まかな評価ができます。骨密度が70%を切れば、治療を勧めています。今は、内服薬や注射など、様々な治療薬があるんですよ。
骨密度だけ調べていれば安心ですか?
骨の強さは骨密度が7割、骨の質が3割と言われています。骨密度は測定できますが、今のところ、骨の質を評価する技術はないんです。
骨の質を下げる原因として糖尿病、喫煙による肺の病気、腎不全などがあります。これらの持病がある人は、例え骨密度が高くても骨折しやすい体質ですから、骨密度が70%以上あっても治療について医師と相談しましょう。