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サステナビリティ報告の保証業務に監査法人以外が進出しているらしい

先日この記事を書きました。

サステナビリティ報告の作成業務、保証業務が会計士の次のメシのタネであるという話。そうした中で、どのような方向にキャリアを作っていこうかしらんという話。

所属する英国勅許公認会計士協会の記事で、以下のようなものがありました。

2022年11月号の会員誌の記事です。(他の方も読めるのかしらん?)

サステナビリティ報告の保証業務において、監査法人の占めるシェアが2021年に56%に下がった。由々しき問題だ。という話です。
メシのタネだと思っていたら、コンサル系に持っていかれているということらしいです。
元となっているIFAC(国際会計士連盟)のサイトに、元データの更新版がありました。

2022年度の国別の実績ですが、監査法人系による保証業務のシェアは、たとえばフランスやイタリアでは100%である一方で、韓国では5.3%しかありません。

THE STATE OF PLAY: SUSTAINABILITY DISCLOSURE AND ASSURANCE 2019-2022 TRENDS & ANALYSIS - by IFAC, AICPA & CIMA Feb 2024 Page 4


サステナビリティ報告の保証業務については、ISAE3000に基づいて行う必要があるようです。IFACとしては、会計監査と同様の水準が必要なのだから、監査法人にやらせるべきだと考えているようです。

また、国別の対応状況の資料も興味深いです。
以下は日本の状況ですが、元データには各国のデータがあります。

THE STATE OF PLAY: SUSTAINABILITY DISCLOSURE AND ASSURANCE 2019-2022 TRENDS & ANALYSIS -  by IFAC, AICPA & CIMA   Feb 2024 Page 34

日本ではそこまでGRIは浸透していないと思っていたのですが、結構多いですね。母集団が少ないということもあるのかもしれません。(調べなきゃ)
SDGsを基準としている割合が多いですね。SDGsって報告基準でしたっけ。

GRIがSDGsマッピングをしていたと記憶していますので、GRIを採用している企業はSDGsを参照するには負担は少ないのでしょう。
欧州はCSRDやCSDDの動きの中から、ESGの観点では入ってこないSocial Responsibility の項目が要求されてくることで、SDGsとも相性が良いのかもしれません。

米国は GRIよりSASBが強く(米国の基準だし)、SDGsは低い  (44ページ)
英国の GRI < SASB <SDGs も興味深いです。(43ページ)

https://ifacweb.blob.core.windows.net/publicfiles/2024-02/IFAC-State-Play-Sustainability-Disclosure-Assurance-2019-2022_0.pdf

今後の開示基準の動き、保証業務の動きを他国の動きを見ながら占っていくのは面白そうです。
趨勢が決まるころには私はもう引退しているでしょうけれども。


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