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【こどもの居場所】板橋区立教育科学館 E-Lab (いぃ~ラボ)
学校に行かない子どもにとって、安心して過ごせる場所があることはとても大切です。
けれども、個人の力でそうした場所を見つける労力は大変なものですし、また用意された場所にすべての子どもが合うというわけでも、もちろんありません。
そこで今回から、私たちの会(いたホム)に集まった板橋区周辺の子どもの居場所の情報を、noteを使ってお伝えしていこうと思います。
学校に行かない子どもたちのニーズを踏まえた発信をなるべく心がけながら、お伝えできたらと考えています。
板橋区立教育科学館について
さて、今回ご紹介するのは、東武東上線上板橋駅より歩いて5分の板橋区立教育科学館にある「E‐Lab」というスペースです。
板橋区立教育科学館は、2022年4月より、CTC共同事業体(株式会社コングレ、株式会社東急コミュニティー)が指定管理者となって運営されている、板橋区の教育施設です。
区民のみなさんにとっては、懐かしい雰囲気の科学展示室やさまざまな上映プログラムで楽しませてくれるプラネタリウムでおなじみでの存在はないでしょうか。板橋区で子ども時代を過ごした方、また、子育てをしている方の多くが、一度は訪れたことがあるのではないかと思います。
私自身も板橋区に越してきて以降、子どもと一緒に何度もお世話になっています。
入館は無料(プラネタリウムやプログラムの参加は有料)で、大人も子どもも、気軽に何度でも足を運ぶことができます。
板橋区民以外の方の利用も、もちろん可能です。
「E‐Lab(い〜ラボ)」って何だ?!
そんな、私たち区民にとって身近な存在である教育科学館のホームページを眺めていたら、E-Lab (いぃ~ラボ)という名前のスペースができていることに気がつきました。
平日も朝9時から利用可能で、予約不要・出入り自由のフリーなスペースと書かれています。
そして、どんな使い方ができるかというと…
■「E-Lab」でできること
本をめくってみたり
地球儀をみてみたり
ブロックであそんでみたり
お弁当をたべてみたり(お弁当はもってきてね)
ジュースをのんでみたり
いろんな人とお話ししてみたり
オセロであそんでみたり
植物を観察してみたり
植物に観察されてみたり
パズルであそんでみたり。。。
https://www.itbs-sem.jp/event/detail?id=7576
ーーこれは、学校に行かない子も、平日昼間に安心して過ごせる空間かもしれない。
そう考えて、見学させていただくことにしました。
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教育科学館サイトのスタッフ紹介より
https://www.itbs-sem.jp/guide/about/staff-introduction/
ご対応くださった館長のしみてるさんは、
「E-Labは、平日の日中に不登校の子どもたちが過ごしても良い場所ですか?」
という私の問いかけに対して、
「もちろんです!むしろぜひ利用してもらいたいと考えています。」
と朗らかにお返事してくださいました。
区の施設として、「就学年齢の子どもを学校外で支えることに積極的になってもらえるものなのか?」というこちらの不安は杞憂に終わって、まずはひと安心。
この会を通じて、不登校の子の居場所として発信することにもご了承いただけました。
見学時には、科学館のスタッフかえちゃんさんが、ていねいなご案内をしてくださいました。
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https://www.itbs-sem.jp/guide/about/staff-introduction/
E‐Labはどこにある?
E-Labは科学館の地下1階、プラネタリウム入口の前の階段を降りて左手にあります。
以前は図書などが置かれていた場所です。
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ご覧のように、とてもオープンな空間。
利用に対して手続きなどが何も必要ないですし、ふらっと気軽に入って過ごせそうです。
壁には恐竜たちの姿が飾られています。
大人の腰の高さほどの本棚で廊下と区切られている箇所もありましたが、基本的にはいわゆる「ロビー」のような場所と捉えて良いと思います。
混雑時には、視線や音が気になる子にとって滞在が難しい場合もあるように感じましたが、一方で、大人の目が比較的届きやすく、安心して過ごせる利点もあると思います。
(常駐の職員さんがいるわけではないので、保護者の見守りがあった方がベターだとは思います。)
訪れた平日午後の早い時間は、私たちのほかに地下にいたのは、親子が3−4組ほどでしたので、廊下に敷かれたマットでパズル遊びする子どもの声などが聞こえましたが、音に敏感な私の子どもが耳を塞ぐようなことは、特にありませんでした。
E‐Labには何がある? 何をして過ごす?
E-Labには広いテーブルがあるので、思い思いに過ごせそうです。
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以前から教育科学館に通っていた方は、かつてこの場所に、図鑑や書籍がズラーっと並んだスペースがあったのを覚えていらっしゃるのではないでしょうか。
現在、大きな本棚は取り除かれていましたが、E‐Labの一部に絵本や読みものが置かれています。科学系のものが中心ですが、それ以外の本もありました。
教育科学館のすぐお隣には、2021年にできたばかりの板橋区立中央図書館があるので、しっかり読書をしたい場合はそちらを利用するのが良いかもしれません。
ただし、中央図書館は日によっては多くの親子連れで賑わっていて、騒がしかったり座れる場所が見つからなかったりすることもあるので、あちらで本を借りてきてE‐Labで読む、といった使い方もできるのが良いと感じました。
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お隣の中央図書館の閲覧室では飲食できませんが、E‐LabはOK。
持参したお弁当を食べたり、近くのパン屋さんや駄菓子屋さんで買ったおやつを持ち込んだり…
より自由に、ゆったりとした気分で、読書やオセロなどを楽しむことができそうです。
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E‐Labはいつ利用するのが良い?
E‐Labは、教育科学館のあいている日ならいつでも、9:00~16:30に利用することができます。
とはいえ、オープンな空間かつ子どもの集まる施設なので、混雑するタイミングは避けたいと考える方も多いと思います。
ご案内くださったかえちゃんさんのお話では、平日の午前中から午後の早い時間は、混雑することもなく、静かに滞在できることが多いということでした。
すぐ横の科学展示室が午後だけの開室なので、午前中は特にすいているようです。
また、秋は区内の小学校による校外学習が集中する季節だとか。
団体が利用するのは2階の実験室等で、地下に降りてくることはないそうですが、小学生の集団との鉢合わせに抵抗感のあるお子さんは、時期をずらしたり、利用状況を問い合わせてから訪問するのが良いと思います。
おわりに
平日昼間に、誰もがふらっと立ち寄れる場所として、E‐Labを見学させていただきました。
オープンな空間ながら、比較的静かに過ごせる場所なので、環境が合いそうなお子さんはぜひ出かけてみてはどうでしょうか。
最初に見学の打診をしたときから継続的にやり取りしてくださっている館長しみてるさん、当日館内をご案内くださったかえちゃんさん、お二方とも、不登校の子どもや家庭のニーズに関心を寄せ、ていねいにご対応いただきました。
先にも書いたように、教育科学館としても不登校の子の居場所としてぜひ使って欲しいというお言葉もちょうだいしています。
科学館では、実験教室や蓄音機コンサート、バックヤードツアーや星空観察会など、さまざまなイベントも行われています。
理科の実験をしたり実物標本に触れたりといった経験は、学校に行かないことでどうしても機会から遠ざかってしまうので、保護者のみなさんの多くが、できればこうしたイベントに我が子を参加させたいとお考えになると思います。
しかし、こうしたイベントの多くは週末や長期休みなどに設定されていて、大勢に交じるのが苦手な子や、学校っぽい雰囲気に拒否感がある子には、なかなか参加しにくい現状です。
今回の訪問では、不登校の子どもならではのそうしたニーズもお伝えし、熱心に耳を傾けていただきました。私たちの会としても、学校以外の居場所、そして学びの場として、さらに利用しやすい施設となることを願い、今後も対話を重ねていきたいと考えています。
ご対応くださった館長しみてるさん、かえちゃんさん、ありがとうございました!
そして、見学に同行して写真撮影を担当してくださった本会メンバーのMさんも、どうもありがとうございました。記事に使用した写真は、すべてMさんによる撮影です。