観たよ!ジャン・ズーヤー:神々の伝説
去年の12月中旬、とあるニュースが耳に入ってきました。
このニュースを観た瞬間蘇る記憶…
そう、ジャン・ズーヤー:神々の伝説です。
元々ワタクシ、90年代の暗黒期と呼ばれたジャンプが全盛期の人間なので、もちろん封神演義は読んでました。
中でも最も好きなキャラクターは太公望で、ワタクシの性癖をぶっ壊したキャラの1人です。
2018年のアニメに合わせた新作漫画も読みました(アニメはなかった)し、宮城谷昌光の小説「太公望」も読みました。
原典である封神演義も連載当時読んだ記憶はありますが、ちょっと難しかったのであまり詳細を覚えていません。(石ぶつけられて死ぬみたいなのばっかりだった薄い記憶)
光栄版SRPGの封神演義もクリアし、ASUKAで連載されていた封神しない演義も全巻読破しております。
そんな封神演義履歴のオギユカですが、ジャン・ズーヤーに関しては日本での上映が限られたタイミング(2021年の東京アニメアワードフェスティバル)しか無く、気づいた時には時すでに遅し…
上映されたのが約4年前ですが、現状日本語字幕付きで観る環境はありません。
関連作品であるナタ魔童降臨と同じく、日本では海外盤のブルーレイを購入する以外で視聴方法はないんですね…
ちなみに最初に貼ったヨウゼンやナタ転生はジャン・ズーヤーと制作会社が違う別のアニメシリーズです。
ナタ転生やヨウゼンは日本で正式に公開されて日本語吹替まで作られるのに、何故こっちのシリーズは!という憤りから、Amazonで即座に購入。
1/3にやーっと届いたので、感想を書いていこうと思います。
登場人物
◾️姜子牙(ジャン・ズーヤー)
タイトルのジャン・ズーヤーとは封神演義の主人公、姜子牙のことです。
日本では姜子牙より太公望と呼ばれることの方がめちゃめちゃめちゃめちゃ多いですよね。
最初の方で紹介した日本の作品ではほぼ全て太公望と呼ばれていますし、ほぼ全ての作品で若者の姿ですが、
本作では50代くらいのおじさん姿で時が止まっているようです。
霊獣の四不相(英語だとFour-Alive)ももちろん出てきます。めっちゃ可愛いしカバではない。
◾️小九(ジャオジュ)
姜子牙と偶然出会い、黒い花の咲く場所=幽都山にいると思われる父に会いに旅をする狐の妖怪少女。
記憶喪失らしいのと、九尾の狐と関係がある模様。
元の封神演義にはいないオリジナルキャラかと思われたが…
◾️申公豹(シェンゴンバオ)
神界で九尾の狐を仕留めようとした際に姜子牙に助けられて脳を焼かれた男。
姜子牙が神界に戻れるよう北海の領域を出て追いかけては助けてくれるナイスガイ兼本作の語り部。
フジリュー版封神演義しか知らない人間からすると、余りにもビジュアルの印象も姜子牙との関係性も違いすぎる。
◾️九尾の狐
本作ではひたすら九尾の狐と呼ばれ、妲己と呼ばれることは基本的に無いです。
美女の身体を乗っ取り、国を傾け戦乱の世に導く妖怪で、封神演義では殷の王、紂王に取り入り暴君へと変貌させました。
物語の核でありボスキャラで、最初の決戦で捕まった以降も何度も姜子牙の前に立ちはだかる壁として現れます。
英語字幕英語音声で観ているので細かいニュアンスが拾いきれておらず、九尾の狐の行動の一部の目的がちょっと分からない…
◾️神界の神々
九尾の狐の処刑に失敗した姜子牙から神格を剥奪し、人間界に追放した神様達。
基本的に上から目線で、大勢の人を救うためには一人の犠牲は仕方ないという思考のもと、姜子牙に天命に従うよう強制してきます。
神界のトップは元始天尊で2回ほど超絶すんごいパゥワーを発揮するのですが、それが金ピカの超デッカいギロチンなのが、なんか、凄いですね。
感想
ネタバレモリモリで語るので、あまり詳しく知りたくない人は途中で引き返してください。
封神演義後の話なので、九尾の狐を倒すまでは最初にザックリとあらすじを流してくれますが、
それまで封神演義に一度も触れたことがない人が観るとちょっと厳しいかも。
封神演義が中国でどれくらい親しまれているのか知らないのですが、日本での知名度に関しては三国志演義、水滸伝、西遊記に比べるとかなり低いので、
ジャンプ漫画である封神演義を通ってきた3,40代の人間が一番とっつき易いかもしれません。
フジリュー版封神演義も原典通りかというと全く違うので、小説以外でおおよそ原典通りのコンテンツが無いのが難点かなあ。
とはいえ、一番とっつき易いのがフジリュー版なのも事実なので、人物などを一通り知りたいのであれば漫画を読むのが手っ取り早いです。
今回の映画に出てくる人物のほぼ全員出てくるので。
本作で姜子牙が直面するのは、いわゆるトロッコ問題ですがその解決方法がちょっと変わっていて
日本では一人の犠牲でその他大勢が助かると言われた時、犠牲をそのまま受け入れるのではなく、別の方法を探し、見つけるもしくは奇跡によって犠牲が必要なくなる、という話が一般的だと思います。
(勿論そうではない話もあるとは思いますが、基本的に犠牲を受け入れろとはならないイメージ)
が、本作では神界の長である元始天尊様は姜子牙に犠牲を求めます。
小九の正体は蘇妲己であり、紂王を狂わせるために九尾の狐に利用された女。依代のようなものなので、九尾の狐と深く繋がりが出来てしまったようです。
九尾の狐の中に存在する無垢なる魂も含めて滅せよと神々は命令しました。
天命の考え方ですよね。天=元始天尊からの命令であり、その命令は絶対。
なので姜子牙も元始天尊に小九の命を救うのではなく、輪廻転生により九尾の狐から解放してほしいと願う。そして小九もそれを受け入れる。
転生したらみんなに愛されるよって中々凄いこと言ってますよね。今足掻いても無駄だから次の人生に期待しようみたいな。
でもジャン・ズーヤーはそこで終わらなかった。
段々増し増しになっていった神々に対しての不信感がギロチン投下によってMAXになり、決意を固めた姜子牙の姿が印象的でした。
覚醒して強くなったぞ!って場合、日本だと金髪になったり筋肉モリモリになったり、見た目が豪華になる感じじゃないですか。
姜子牙の場合その逆で、髪は真っ白になり老人に、衣服は破れ見窄らしい姿に。
しかも小九を救うのかと思いきや救えるわけでは無いんです。覚醒はするものの、神ギロチンにより小九は消えてしまう。
でも小九の最期の台詞は姜子牙の決意を更に強固なものにするんですよ。
ここからの映像が大変美しくですね、老化した姜子牙が神界への階段を登る途中、
神格に上がることを目指していた若い頃の自分とすれ違い、神々に対峙して人間界を神の支配から解放するまでの一連の流れを何度も観ていただきたい。
これを中国のアニメでやることの難易度の高さ、よくクリアしたと思います。
姜子牙は神格に上がらなかった=肉体は人間と同じことから、橋をぶっ壊した後崩落に巻き込まれて恐らく生きてはいないでしょう。
でも神界の支配から解放された人間界で新しい生を受けた小九らしい女の子を見たら、姜子牙の成し遂げたことは無駄では無かったし、きっと別の形で再び会えるんじゃないかなと思わせてくれました。
最後に、申公豹おまえ生きてたんかい!
あとポストクレジットシーンが2つあるんですけど、楊戩、雷震子、黄天化の3人の名前とシルエットが出てて、彼らの話を作るのかなと思ったら次回作の話は現時点で全く聞かないのどうなってるんだろ。
もう一つは前作のナタやその他登場人物が姜子牙の家に遊びにきて、姜子牙が料理を振る舞うのだが…って短編でして、
今まで読んだ作品で太公望が料理を作るイメージが無かったので、すんごい美味しそうな餃子、かぼちゃのスープ、美しい彫刻が施された野菜を見て、家政婦として家に来てくれないかなと思いました。
決まった置き場所からミリ単位でもズレてると気になるタイプっぽいけど、きっとなんとかなるよ…