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【決算シーズン】2024Q3の第7週目について

アメリカ株の決算シーズン(2024Q3)も決算発表数のボリュームゾーンのピークが過ぎ、先日はその第7週目を終えました。

アメリカ企業による決算発表も徐々に終盤に差し掛かっているのですが、まだ注目の企業の決算も残っているので引き続き振り返って行きたいと思います。

各社の決算・企業業績について


NVDA(エヌビディア)の決算は、EPS【⭕】と売上高【⭕】、ガイダンス【⭕】ともにオールクリア💯今期の売上高成長率は、前年同期比+93.6%でした。【各部門別の売上高に関して】①データセンター売上高は30.8B$で、前年同期比+112%でした。②ゲーミング売上高は3.3B$で、前年同期比+15%でした。③プロフェッショナル・ヴィジュアライゼーション売上高は486M$で、前年同期比+17%でした。④自動車とロボティクス向け売上高は449M$で、前年同期比+72%でした。Non-GAAP Gross marginは75.0%で、前年同期は75.0%でした。


SNOW(スノーフレイク)の決算は、EPS【⭕】と売上高【⭕】、ガイダンス【⭕】ともにオールクリア💯今年通年の製品売上高と粗利益率のガイダンスを上方修正しました⬆️今期の売上高成長率は、前年同期比+28.3%でした。製品売上高は900.3M$で、前年同期比+29%でした。残存パフォーマンス義務(RPO)は5.7B$で、前年同期比+55%でした。ネット・レベニュー・リテンション率 は 127%でした。現在の総顧客数は10,618で、前年同期比+20.3%でした。年間売上高100万ドル以上の大口顧客数は542社で、前年同期比+25%でした。


VIK(バイキング・ホールディングス)の決算は、EPS【⭕】と売上高【⭕】ともにクリア💯今期の売上高成長率は、前年同期比+11.4%でした。調整後・売上総利益は1.10B$で、前年同期比12.0%増でした。2024 年第 3 四半期のキャパシティ PCD(1日あたりの乗客定員 ・収容能力)は前年同期比で 1.9%増加しました。今期の稼働率は 94.0%で前年同期は94.9%でした。ネット・レバレッジ(純負債 ÷ 自己資本)は2024年6月30日現在の3.0倍から2024年9月30日現在では2.4倍に改善しました。2024年11月3日現在、バイキングは主力商品について、2024年シーズンのキャパシティ PCDの95%を、2025年シーズンのキャパシティ PCDの70%を既に販売しました。



ZIM(ジム・インテグレーテッド・シッピング)の決算は、EPS【⭕】と売上高【⭕】ともにクリア💯今期の売上高成長率は、前年同期比+117.2%でした。第 3 四半期の輸送量は 97 万 TEU で、前年同期比で+12%でした。第 3 四半期の 1TEU あたり平均運賃は前年同期比+118%の 2,480 ドルとなりました。Adjusted EBITDA(調整後・税引き前利益)は1.53B$で、前年同期比+626%でした。なお、2024年度通年のAdjusted EBITDAは3.3B$~3.6 B$を見込んでいます。


PANW(パロアルトネットワークス)の決算は、EPS【⭕】と売上高【⭕】、ガイダンス【⭕】ともにオールクリア💯売上高成長率は、前年同期比+13.8%でした。Next-Generation Security ARRは4.5B$で、前年同期比+40%でした。残存履行パフォーマンス義務(RPO)は12.6 B$で、前年同期比+20%でした。Non-GAAP operating marginは28.8%で、前年同期は28.2%でした。


WMT(ウォルマート)の決算は、EPS【⭕】と売上高【⭕】、ガイダンスは売上高が未達【❌】今年通期のガイダンスはEPS、売上高、営業利益率を上方修正しました⬆️売上高成長率は、前年同期比+5.5%でした。既存店売上高の成長率は前年同期比+5.3%でした。Gross profit rate(売上総利益率)は24.2%で、前年同期は24.0%でした。グローバル・イーコマース事業の売上高成長率は前年同期比+27%でした。グローバル広告事業の売上高成長率は前年同期比+28%でした。


TGT(ターゲット)の決算は、EPS【❌】と売上高【❌】ともに未達、ガイダンスもEPSと売上高が未達でした【❌】売上高成長率は、前年同期比+1.1%でした。既存店売上高の成長率は前年同期比+0.3%でした。ゲストラフィックは前年同期比+2.4%でした。Gross marginは27.2%で、前年同期は27.4%でした。Inventory(在庫)は15.17B$で前年同期比+2.9%でした。Operating margin(営業利益率)は4.6%で、前年同期は5.2%でした。


その他にも企業データ管理およびストレージソリューションの大手プロバイダーであるNTP(ネットアップ)や国内家庭用品の大手小売企業であるWSM(ウィリアムズ・ソノマ)、衣料品、アクセサリー、パーソナルケア製品を販売する大手小売り企業であるGAP(ギャップ)、会員制倉庫型クラブを運営し、生鮮食品から家電まで多様な商品を取り扱うBJ(BJ'sホールセール・クラブ)などの企業が好決算を報告しています。


カンファレンスコールの一部


米国屈指の大手小売会社であるWMT(ウォルマート)のカンファレンスコールでは消費者の動向について『米国の顧客は、過去4~6四半期にわたってほぼ一貫した行動をとっており、回復力を維持しています。彼らは予算を最大限に活用するために価値を求め続ける一方、時間を節約するために便利な選択肢を選んでいます。』と述べられていました。

またアパレル、家庭用品、生活必需品の幅広い品揃えを行っている大手小売り企業であるTGT(ターゲット)は消費者の動向について『消費者についての見方は、以前の四半期にお伝えしたものとほぼ一致しています。消費者は依然としてプレッシャーを感じていますが、魅力的な価格帯でトレンドの新商品を適切なバランスで見つけることができれば、消費意欲は旺盛です。』と述べられていました。

加えて衣料品、アクセサリー、パーソナルケア製品を販売する大手小売り企業であるGAP(ギャップ)は消費者の動向について『第3四半期は、お客様の所得層全体で一貫した結果が見られました。最も所得の低い顧客層はやや横ばいでした。また、暖かい気候の影響を受け、季節の変わり目にワードローブを新調する理由が少なくなっています。一方、中・高所得者層のシェアは引き続き上昇しています。これらの顧客は、当社の品揃えの妥当性や、ポートフォリオ全体におけるスタイルの優位性に反応しています。しかし、高価格帯の消費者からは、当社のバリュー・プロポジション(顧客に提供する価値)に対する強い反応が見られます。適切な価格、適切なスタイル、適切な価値の方程式が提供された場合、10万ドル以上の所得を持つ顧客は当四半期に増加しました。』と述べられていました。


AIの活用について


WMT(ウォルマート)のカンファレンスコールでは、AIの活用について『前四半期にも申し上げましたが、ジェネレーティブAIの導入から早くも具体的な成果が出ています。AIの話をするのは少しためらわれます。なぜなら、数カ月後、数年後にこの話を聞いた誰かが、物事の変化の速さを考えると、いかにも古臭い話だと苦笑するだろうからです。しかし、私たちが目の前の現実的な機会を解決するために、ジェネレーティブAI、AI、機械学習を学び、適用していることを伝えることは重要です。

私たちのデータセットは貴重であり、顧客会員体験を向上させ、アソシエイトの日常業務を支援するために活用することを学んでいます。前四半期にお話しした、Gen AIがどのように商品カタログの改善に役立ったかという例を基に、私たちが構築しているパーソナル・ショッピング・アシスタントについてお話しします。私たちはこれを5ヶ月間ベータ版として提供しており、改良を続けています。

私は、この機能が今後数カ月、数年のうちにどのように顧客体験を向上させ、検索バーに入力し、そこから選択する結果のリストを得ることから始まる体験よりも優れた体験を提供できるようになるのかに興奮している。私たちは、人々がショッピングを好むあらゆる点を改善し、そうでないあらゆる点を取り除いたり、減少させたりするために競争しています。

顧客対応業務に加え、15ヶ月前には米国のホームオフィス従業員全員にGen AIツールを配備した。それはマイ・アシスタントと呼ばれるものです。さらに13カ国のホームオフィスの従業員にもアクセスを拡大し、エンゲージメントを拡大し続けている。マイ・アシスタントは、社員が安全な環境で知識や時間を節約するためのアクションにアクセスできる場所を提供します。立ち上げ以来、5万人のアソシエイトがマイ・アシスタントを利用して150万件の質問をしました。

資本面では、ここ数年でサプライチェーンにおける自動化への投資など、いくつかの重要な決断を下しましたが、店舗やクラブの改装にも非常に積極的に取り組んでいます。そうすることで、売上よりも利益を早く伸ばすことができますし、同時に賃金に対しても投資できるのです。ただ、それは程度の問題であり、週ごとに管理していくことになる。』と述べられていました。

ここまでのSP500全体の企業業績について(FACTSETより)


S&P500種指数は2024年第3四半期に5.8%の利益成長を報告しています。しかし、2024年第4四半期(来期)の同指数の推定利益成長率は2倍以上の12.0%になると予想されています。もし12.0%が来期四半期の実際の成長率であれば、同指数が報告する前年同期比の利益成長率としては2021年第4四半期(31.4%)以来の高水準となります。

FACTSETのURL:https://insight.factset.com/what-is-driving-the-higher-expected-earnings-growth-for-the-sp-500-for-q4-2024


2024年第4四半期の予測について(FACTSETより)


2024年第4四半期に予想される利益成長率の改善の原動力となるセクター・業種とは?

セクター・レベルでは、11セクター中8セクターが2024年第4四半期の前年同期比増益を予測している。そのうち6セクターは、金融(38.9%)、通信サービス(20.7%)、情報技術(13.9%)、公益(12.9%)、ヘルスケア(12.6%)、消費者裁量(12.5%)です。

業種別では、銀行(181%)、半導体・半導体製造装置(34%)、製薬(64%)、インタラクティブ・メディア&サービス(25%)、ブロードライン・リテール(48%)の5業種が当四半期の利益成長率上位と予想されています。

これら5業種を除いたS&P500の第4四半期の予想利益の成長率は12.0%から1.6%に低下します。

銀行業界は、S&P 500種構成企業の第4四半期の利益成長に最も貢献すると予想されます。2番目は半導体・半導体製造装置業界。3番目は医薬品業界。4番目はインタラクティブ・メディア&サービス業界。5番目はブロードライン・リテール(幅広い商品を取り扱う小売り)業界となっています。

アナリストは、S&P500種指数は2025年の全4四半期を通じて2桁の利益成長が続くと考えています。2025年第1四半期から第4四半期までの推定利益成長率はそれぞれ12.7%、12.1%、15.3%、17.0%となっています。

FACTSETのURL:https://insight.factset.com/what-is-driving-the-higher-expected-earnings-growth-for-the-sp-500-for-q4-2024


今週に決算が予定されている企業の一部

・ZM
・SMTC
・CRWD
・M
・ANF
・DELL
・WDAY
・JWN
・BBY
・GES
・PD
・HPQ
・HPE
・LULU

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