「ひたち」と「まいしま」、どう違う―ネモフィラ東西比較
ネモフィラ(Nemophila, Baby blue eyes, 瑠璃唐草)。「あなたを許す」「清々しい心」の花言葉を持つ青色のそれは、毎年4月末〜5月頭にかけて見頃を迎え、公園に植えてある植物のなかでは間違いなく主役となります。
見頃の時期にネモフィラをたっぷり眺められる場所で、いちばんの有名どころは「国営ひたち海浜公園」。 日本軍飛行場、米軍演習場を経て、不発弾の処理に20年以上掛かりながらも作り上げられたネモフィラの舞台「みはらしの丘」には、空も丘も青くなれば、過去を忘れられるという思いが込められています。
中の人、実はこの度、ひたち海浜公園に初めて足を運びました。前々から行きたいな〜と思ってはいたものの、気づけば4年の歳月が経過。
4年経っても結果的に一人ぼっちで訪問することとなりました。周囲が複数人過ぎて、かなり肩身が狭かった………。
しかし、それはネモフィラのためだけに神戸からはるばる茨城の北部まで来ている身が、純粋にネモフィラを楽しまない理由とはなりません。
東横イン 取手駅東口(332)、おすすめです。
4年ほど前に完成した建物で、客室空間に余裕があり、バリアフリーは完璧、客室種類にその数も潤沢です。常磐線(関東圏内)沿線のホテルで困った時は、最終手段としてここを選べば間違いないです。東京まで800円程度で行けます。
実際に行ってみた その1
先行、ひたち海浜公園。4月28日訪問。
咲き度合で言うと、満開時期の最終日です。
入園料は、おとな1日800円。
時期により増し料金があるようです。
ひたち海浜公園には複数入園口があり、中の人が訪れたのは「翼のゲート」。主に自家用車に乗ってきた人が到着する場所になります。
まず車を停めるのに1時間くらいかかります。車を停めたら、場所によるものの入園口まで10分、さらに券売コーナーで30分並び、トータル100分。
この時期、多客となることを見越して臨時の手売りコーナーが増えていますが、それでも100分。
ひたち海浜公園、敷地の旧用途も相まって、人間が徒歩で園内を歩き回るのには中々厳しい面があります。園もそれを分かっているので、園内用レンタル自転車に乗れるようになっています。
中の人は初めて訪問したので、自分の足で歩いてみたく、あえて乗りませんでしたが、後になって乗ってみたかったなあと。自転車専用道がありますし、随所にレンタル自転車用の駐輪所まで。ものすご〜く恵まれています。
ところで、ネモフィラは入園してもすぐ見れるわけではありません。海沿い(といっても丘が高すぎて海は見にくい)のエリア「みはらしの丘」まで行く必要があり、今回の入園口「翼のゲート」からは直線距離でも600メートル離れているのです。
ひたち海浜公園、あくまでもこの時期に一番売りにしているのがネモフィラというだけであって、他の植物も無視できません。
まず見飽きないのが、土地の広さ故の魅力だと言えるでしょう。
実は、入園券の種類に「1日券」のほか「2日券」もあり、中の人は初め「なんで公園で2日も潰すねん」と思っていました。
しかし、いざ入園して土地の暴力を目の当たりにすると、そりゃ1日ぽっちでは足らんわ、と あっけなく納得してしまうのでした。
実際に行ってみた その2
二番手は、大阪・舞洲シーサイドパークです。
ひたち海浜公園とは、事業形態も周囲の立地も大きく異なり、こちらは私企業が経営しています。
さらに、ひたちは周囲に似たような形態の施設が少ないのに対し、大阪は周囲に複数のレジャー施設があり、シーサイドパークはそのうちの1つである、という違いもあります。
驚くべきなのは、このシーサイドパーク、実はネモフィラ一本のみで運営していること。私企業と書きましたが、その正体は関西でおなじみ「JSBスノータウン」を手掛けるピーエスジェイコーポレーションなのです。
この企業、JSB以外にも事業を調べてみると、同じ舞洲でもキャンプや陶芸などのレジャー関係をほぼ手中に収めていて、シーサイドパーク以外にも経営資源が多数に及びます。
他の事業分野で稼ぎが出ているから、ここはネモフィラ一本だけでも十分うまく行っているようです。実際、既にシーサイドパークは開園期間を終え、立入禁止となっています。
入園料は、おとな1日1500円。
増し料金はなく、周辺施設との抱合せで多少安くできる券もあります。
いざ入園!
それもそのはず、中の人がここに来たのは、見頃を大きく過ぎた5月4日。
ひたちから1週間程度遅れて来たので、見応えに欠けるのも仕方のない話です。これだけはご了承いただきたい。
ロケーションは最高なんだよな
シーサイドパーク、入園日が入園日なだけに、ネモフィラ自体の見応えはイマイチになってしまっているものの、公園としての造成は綺麗にやっているのではないかと思います。
ひたちは海から少々遠い丘陵に沿ってネモフィラのみを植えていました。
舞洲は海のすぐ近くで、傾斜がありながらも平面に植えられており、木の緑がネモフィラの青さを引き立てています。
自然な地形に植えられているか、人の手で引き立てられた場所に植えられているかといったところが、両者で大きく異なります。
そしてもう一つ、ひたちと舞洲で大きく違うのは、土地の広さです。
ひたちでいうと、もともとが国営施設だったという旧用途を引き合いに出せそうですが、舞洲は人工島のため、そもそも旧用途が存在しません(2013-2018年は、ネモフィラではなく『ゆり』が植えられていましたが、同じ公園施設です)。
もともと広い土地を要する何かに使われていたのでも、周囲の土地を活用して拡張できたわけでもなかったため、ひたちより手狭となっており、自ずとネモフィラが眺められるエリアも、比較してしまうとどうしても少ないように思えてしまうのです。
しかし、舞洲は舞洲で、ひたちよりコンパクトなため園内を歩きやすく、都会に近い(大阪環状線直通 JR桜島駅からバス1本)ことによるアクセス性の高さは、来園者にとって大きな利点となります(自家用車の場合はひたち直結の有料道出口があるため話が変わるかもしれません)。
そして、現代を生きる方々に絶対必要な「映え」要素の中で、人為的に作られたスポットがあることも、人によっては利点だろうと思います。
規模のひたち、自然派のひたち
歩きやすさの舞洲、造成派の舞洲
2024年度のネモフィラは終わってしまいましたが、華凜で色美しい、穏やかな花です
どっちが良いかという結論は、どっちにも良いところがあって私には決められませんので、是非来年以降、見に行かれた皆さんで決めてもらえたらと思います。
おまけ
舞洲で入園券を買うとき、他施設と抱合せで安くなる券があるのを知ったので、せっかくならと思い「展望台セット」を購入。
舞洲から橋2本、夢洲を通過して大阪府「咲洲庁舎」の最上階、コスモタワー展望台です。
ネモフィラ祭りとは全く関係ない(展望台からもほぼ見えない)施設との抱合せ券ですが、これも民間企業が自由に他所に働きかけられるからこそ成せる技なのでしょうか。