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1個300円の高級チョコレートを食べたら、全て間違ってなかった気がしてきた
いつもお世話になっている母にバレンタインを送った。
いかにも煌びやかな店に緊張しながら入り、手に入れた看板商品は1個300円する高級チョコレートだった。
あげたものなのに私にも分けてくれると言う母の提案に乗り、お茶を入れて一緒にいただくことにした。
そのチョコレートは、オランジェットという名前の通りオレンジの砂糖漬けにチョコレートをコーティングしたものだ。ひと口食べたときは、美味しいけど普通のチョコレートという感じがして私は1袋いくらのオレンジチョコの方が好きかなぁと思った。それが食べ進めるうちにだんだん凄さがわかってきた。
とにかくオレンジがみずみずしい。
生のオレンジではなくドライフルーツだと言うのに、濃縮された果汁が口いっぱいに広がリ、爽やかな香気が鼻腔に広がる。
主体はチョコレートではなく、オレンジだった。
例えるなら、スイカに塩を、苺に練乳をかけるように、チョコレートをかけることでよりドライオレンジが際立つ。そういう工夫をされたスイーツだった。
本当においしいものを食べた時って幸せになる。
それには口を喜ばせられて幸せ、お腹が満たせて幸せという以上のものがある。
多幸感に包まれるという表現が1番近い。頭の中の不安や悩みがおいしいという感覚に包まれてふわっと浮き上がっていくようで、今までにないくらい満たされた気持ちになった。
これまでの全ては間違っていなかった。そんな思いさえ浮かんできて驚いた。
チョコレート1つでこんなに自分を肯定できてしまっていいのか。今までの悩みはなんだったんだ、そんなに単純なものなのか。といつも通りのモヤモヤ思考も発動していたが、それを差し引いても普段考えられないほど幸せだった。
さすがにそれは明日になったらまた戻ってしまうと思うが、一瞬でも人の気持ちをこんなに変えさせるなんて、1個300円のチョコレートの力には恐るべきものがある。
食べ物は形に残らないから、自分が食べるものに関しては、なるべく安いものを選びがちだ。
口寂しくて食べるなら何でもいいと思うことも多い。食べている間は安心できると感じる。そのために安いお菓子に依存し、安くはない金額を使ってきた。
それらはその時の自分を救うために必要だった。と思うしかないと思っている。
でも、たまには手間暇かけて丁寧に作られたものを食べるのもいいなと思った。
不安を埋めるために食べる。だけじゃなくて、食べたものが不安を癒してくれることがある。昔はその感覚があったのに、いつしか忘れていた。
食べるものがこんなに幸せにしてくれること、食べ物でこんなに幸せになれるという感覚を久しぶりに味わったし、これを忘れたくないと思う。
文章がまとまらなくて日が過ぎてしまったがしまったのでこれは昨日の記録である。
一日過ぎて、今の情緒は至って普通だ。昨日の多幸感は血糖値の急激な上昇が生み出したのではないかと考えている。でも覚えている範囲でここ5年ほど同じような状態になったことはないのでやはり高いチョコレート効果なのかな。再現性があるか試したいのでまた買えるようお金を貯めたい。
2025/02/15