子どもたちへの感謝の念

今年は諸事情あって、東京で子供たちを社会見学させてあげられる時間が短くて、今日ようやく新しい体験をひとつさせてあげられることができる。


夜行バスである。


息子たちよ、夜行バスというのは大変便利な乗り物でな。例えば大阪から東京へ移動するときは、日帰りでもなければ交通費と宿泊費を払って移動しなければならないところ、夜行バスは交通費は新幹線の半額かそれ以下のときもあるんだよ。シートを4列にして平日に乗ったりすれば、なんと2000円くらいで東京に行けちゃうんだ。しかも宿泊費を払う必要はないのだよ。なぜならバスの中で宿泊する車中泊というのができるからなんだよ。今の東京なんてのはホテル代も高くなってて、例えば交通費14000円+宿泊費10000円くらいだとすると、24000円くらいだからあれだ、まあキャッチャーミットが買えちゃうんだよ片道分で。それがなんと、パパだとまあ三列シートを使ってしまう贅沢おじさんだからまあ6000円〜8000円くらいだ。な、随分と安いもんだろう?そういう移動があるんだよ世の中には。


なんて話をしつつ、男の子たちはこういう普段と違うことが大好きなのだ。冒険な感じがするもの、先が読めないもの、何が起こるかわからないが、父がいてくれるのでたぶん大丈夫だけどすこしだけ不安なものが好きなのだ。

いや、本当のところはわからない。たぶん男の子だった自分の感覚と照らし合わせれば、間違いなくこういう経験は最高の思い出にしかならない。だがもしかすると、アホな理想をもった父親に仕方なしに付き合ってくれているのかもしれない。これは本当にわからないものである。


ただ楽しそうである。彼らはよくゲームをしまくっているが、僕と一緒にどこかに行くことを楽しみにしてくれているし、素直についてきてくれるし、わがままを言わないし、文句のひとつも言わない。

元嫁にはずいぶんと生意気な言葉を使うようになったが、僕にはまだとんとそんな言葉を使うことがない。それは幼少期にしっかりと言うべきことだと思ったことを厳しく伝えたことによる刷り込みもあるだろうし、普段は会えない父親に気を使ってくれているのだろうなという気もする。


そしてどんなに生意気を言っても離れはしない母親には、心から甘えることができているからこそ、そういう言葉遣いもすることがあるのだろうから、あんまり褒められた言葉遣いではないけど、信頼で結ばれているのだなと感じてとても安心しているし、元嫁さんと息子たちそれぞれに感謝している。


僕は息子たちがいてもひたすら好きなことをする。彼らが食いたいものを一緒に食べるのは、僕がそれをしたくてしているのであって、打ち合わせにも連れて行くし、イベントにも連れて行くし、理解できるなら参加してもらうし、無理ならゲームしてても構わないというスタンスで連れて行く。


今日もサウナに連れて行ったが、小5〜小6となった彼らを、わざわざ一緒に行動させるようなことはしない。いくらか小遣いを渡し、80分後に休憩室に集合してくれさえすれば、さっさと上がってジュースを飲んでも、お菓子を食べても、漫画を読んでも、ゲームをしてても自由である。

僕のそんな方針を、僕自身が若干どうかなと思うところがあったが、彼らはとてもいいやつでそれをなんだか楽しんでくれていて、父親はこんなやつだという風に理解をしてくれて、それでいて一緒にいてくれているようだ。


本日のサウナでととのいながら「息子たちに感謝したいな」という念がふと湧き上がってきたのだった。彼らの面倒を見るとか、教育をするとか、もうそういうことではなく、彼らの貴重な時間を一緒に楽しむ機会をもらっているし、なのに僕はそこで僕の遊びというのを全力で披露し、僕が何を楽しんでいるのかだけ純粋に伝えようとしているし、友人たちにも引きあわせる。

イベントで無理やり一言を発させようとするし、その期待にも彼らは見事に答えていく。なんて立派なアドリブ力だろうかと本当に感動する。


彼らもそろそろ多感な頃に差し掛かり、色々と思うことも出てくるだろうし、きっと両親に対する理不尽さや怒りを持ったりすることも出てくると思うけど、それでもこうして一緒に過ごせる時間があることはありがたい。

どんな気持ちでいてくれるかは窺い知れないけど、それでも遊びに来てくれるし、我が家にも、東京にも、僕がいる場所に来ることを喜んでくれる。


彼らの純粋な愛情はなんなのだろうかと思う。
僕も彼らに純粋な愛情を持っていて不思議だ。


説明などしようもないが愛しているのだなと思うし、僕は愛されているのだなと思って、とても感謝したい気持ちになる。生まれてきてくれてよかったなあと思うし、健康に育ってきてくれて、いま一緒に夜行バスに乗っているとかよくわからないシチュエーションで、よくわからない感動をする機会を与えてもらえていることにただただ感謝しかない。


合掌。

急に読者の方からサポートもらえてマジで感動しました。競馬で買った時とか、人にやさしくしたいときやされたいとき、自暴自棄な時とか、ときどきサポートください。古民家の企画費用にするか、ぼくがノートで応援する人に支援するようにします。