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パレルモの音楽学院内部を特別訪問

先日パレルモの音楽院を見学しました。
通常は関係者立ち入り禁止なので30年以上パレルモで観光業にたずわさっている私も内部に入るのは初めてです。実はこの音楽院、17世紀に開かれたイタリアでも非常に古い音楽学校のひとつなんです。

音楽院の入り口は16世紀そのままの姿。孤児院の象徴「迷える子羊」がアーチ尖塔部分にある

音楽院は17世紀に当時のシチリア副王であったフランシスコ・ルイス・デ・カストロの援助によって設立されます。この場所はもともと孤児院として機能していたマリア・サンティシマ・アヌンチアータという教会で、ここで音楽教育が導入されたのが始まりなんだそうです。当初は音楽だけでなく読み書き等にも力をいれていたそうです。

18世紀になると音楽理論などの教育方針が整備され音楽の専門学校となります。ピサーノ男爵の多額な寄付で敷地内に劇場も設置された19世紀には楽譜や楽器なども充実、ガエターノ・ドニゼッティ等当時の著名な作曲家も教授としてパレルモに滞在したそうです。

各セレモニーが行われる講堂は教会だった部分。現在はコンサート会場としても利用される
シチリアを代表する作曲家ベリーニも音楽院を訪問

1915年、音楽院はそれまでの『ブオン・パストーレ音楽学校』からシチリア出身の有名オペラ作曲家の名前をとり『ヴィンチェンツォ・ベッリーニ音楽院』に改名されます。
第二次世界大戦の空爆で被害にあいましたが、その後再建され、2018年からは『アレサンドロ・スカルラッティ音楽院』となり現在も多くの若き音楽家を生み出す由緒ある学校です。

修道院の回廊部分だった廊下。中庭は夏のコンサート会場としても使用される

昔の修道院の面影を残しながらも、様々な場所で新しい装飾などがされています。特に印象的だったのが、破棄処分となった楽器のインスタレーション伝統と想像力の融合を感じされる空間が素晴らしかったです

廃棄処分となったバイオリンのンスタレーション装飾

手書きの古い楽譜等がある図書館。特別な手続きをとると閲覧可能なんだそうです。

楽譜の他にも多くの音楽資料が保管されている図書館

その後ろには1700年代のバイオリンなど、弦楽器の展示がされていました。

1800年~1900年初頭のハープ
バイオリンやチェロの展示

もともと修道院だったこともあって敷地はとても広く、昔の僧房などの多くが教室としても使われています。

昔の修道士たちの食堂だった場所は現在小ホールとしてちょっとしたイベントも行われます。今日は特別内部見学の私達のために音楽院の生徒さん達が代わる代わる演奏をしてくれていました。

私が入室した時はチェンバロの演奏。バッハの曲でバロック気分に浸りながら音楽院を後にしました

小ホールでの演奏後はチェンバロについても親切に説明してくれました

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