92.イタリアの国民保健サービスに加入する
移住必須アイテムのひとつ、医療保険。
イタリアにも日本同様、国民健康保険があります。
それとは別に私的に加入する医療保険も存在し、外国人移住者にとってどちらを選ぶべきか迷うところです。
留学生なら学生保険
移住の第一歩はビザの取得ですが、発行してもらうには滞在期間の全てをカバーする医療保険に加入している必要があります。
まだコーディチェ・フィスカーレも滞在許可証も身分証明書も持っていないので、イタリアの国民保険には加入できず、任意の保険会社で医療保険に入るしか選択肢はありません。
私は最初の留学時は日本で「ゼネラリ保険」、アラフィフで2回目のときはローマで「Generali(ジェネラーリ)保険」……同じ保険会社ですね。
カタカナ表記だったので全く気づきませんでした。
年間保険料は、ゼネラリではプライベートクリニック通院も含まれ10万円、ジェネラーリのほうは最低限の治療で100ユーロ。
どちらも結局お世話になることはなかったのですが、かかった医療費はいったん自費で払い後日保険会社に請求する、というシステムでした。
イタリアの国民保健サービス
イタリアは基本的な最低限の医療なら無償で受けられる国です。
たとえば日本人旅行者でも、急にお腹が痛くなって救急搬送、そのまま手術になったとします。
それでも無償と聞いた時には驚きました。
たしか、救急車代だけが請求されたとか。
さすがカトリックの国です。
イタリアには、Servizio sanitario nazionale(SSL)という国民保健サービスがあり、誰でも平等に無償で医療サービスを受けられます。
5年間の学生生活で滞在許可証の更新時、私は毎年ローマのジェネラーリ保険へ出向いて加入していました。
2年目以降は滞在許可証を保持しているので、SSLに加入できたはずです。
そうしなかったのは、年間保険料を考慮したから。
イタリア人に聞くとSSLは無料だと言うのですが、在伊邦人の皆さんからは年間180ユーロとか300ユーロとか人によって額が異なるのですが、とにかく無償ではないと言います。
ともかく、留学生用の保険料のほうが安かったので、学生時代はSSLに加入しませんでした。
学生用の滞在許可証がもらえなくなったとき、初めてSSLへ加入することになります。
というのも、滞在許可証の更新には、Tessera Sanitaria(テッセラ・サニターリア)と呼ばれるSSL保険証の提示が必須だったからです。
それで、ブラッチャーノのASL(地域の保健所)へコンタクトを取ったところ、滞在許可証、コーディチェ・フィスカーレ、身分証明書の実物とコピーを持って来るように言われました。
お金はかからないのかと確認したのですが、不要だとのことで、以来、現在に至るまで1度も保険料を払ったことはありません。
移住者なら誰でも入れる
今回、この原稿を書くにあたり深掘りしてみたところ、やはり滞在許可証、コーディチェ・フィスカーレ、身分証明書を持っていれば、移住者でも誰でもSSLへ加入できるとありました。
申請方法は、上述した私の場合と同様です。
保険料に関してはこちらでは無償となっていますが、2023年12月30日に法改定されたようです。
2000ユーロとはなかなかの金額です。
しかし、私は今年2月に更新手続きをしたばかりですが特に何も言われませんでした。
「特定のカテゴリーの外国人」に入らなかったからでしょう。
上記の記事によると、2000ユーロの保険料を免除されるのは合法的に居住する外国人で、常時雇用されている者、自営業者、または雇用リストに登録されている者、同伴者のいない外国籍の未成年者、合法的に居住する扶養家族などとありました。
就労用の滞在許可証だと不要なのは、高い税金を払っているからでしょう。
この規定によると、やはり学生用の滞在許可証ではSSLへの加入により保険料が発生するようです。
ブラッチャーノの隣町アングイッラーラは、古代ローマ時代からウナギで有名な場所でした。
ここで陸揚げされたウナギはまだ暗いうちにローマ街道を通ってローマの町まで運ばれていたそうです。
イタリア語でウナギは「アングイッラ」。
町の名前アングイッラーラが先か、ウナギの名前アングイッラが先か、気になるところです。