乃木坂46の楽曲を一日一曲語る。27日目『ロマンティックいか焼き』
_______【この記事の構成】_______
▼今日のこばなし
本題の伏線になる時とならない時がある雑談
▼『○○』の基本データ
作編曲、歌唱メンバー、MV等の情報
▼『○○』を語る
愛と飛躍に溢れた考察
▼おわりに
総括とキメ台詞
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▼今日のこばなし
「寺ちゃん」
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およそ一年半前の眠れなかった夜。ラジオを聞いてみようとふいに思いつき、radikoをインストールしてたまたま放送していた『星野源のオールナイトニッポン』を聞き始めた。
番組を聞きながら、筆者の興味はある男に向いていた。星野源に「作家の寺ちゃん」と親しみを込めて呼ばれている、寺坂直毅という男である。
番組終了後に寺坂直毅について調べてみたところ、彼は放送作家という職業であること、引きこもりだった時期にラジオに救われたこと、デパート巡りや変態的な紅白歌合戦好きが仕事に生かされていることを知った。
運命を感じた。
何を隠そう、『星野源のオールナイトニッポン』を初めて聞いた日に筆者が眠れていなかった理由は、学校をサボって昼に寝ていたからである。
現状にやるせなさを感じていた筆者の目に、「寺ちゃん」の存在と「放送作家」という仕事は輝いて見えた。
この運命の出会いから筆者の歯車は動き出し、いまこうして毎日記事を投稿するに至っている。
その感謝を込めて、この言葉で締めよう。
ありがとう、寺ちゃん。
▼『ロマンティックいか焼き』の基本データ
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▼収録 / 発売日
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5thシングル『君の名は希望』Type-A / 2013年3月13日
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▼作詞 / 作曲 / 編曲
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秋元康 / 横健介 / 重永亮介
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▼歌唱メンバー
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秋元真夏、生田絵梨花、生駒里奈、伊藤寧々、井上小百合、桜井玲香、白石麻衣、高山一実、中田花奈、永島聖羅、西野七瀬、橋本奈々未、深川麻衣、星野みなみ、松村沙友理、若月佑美
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▼センター
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生駒里奈
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▼MV(ミュージックビデオ)
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この曲のMVは制作されていない。
▼『ロマンティックいか焼き』を語る
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・恋は催眠術
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筆者の敬愛する前田裕二は、秋元康をレトリックの天才と表している。
レトリックにもいくつか類型がありますが、よく目にするものとして、「今までに組み合わさったことのないような単語同士の組み合わせ」という技法があります。秋元さんはまさに、人が一瞬「えっ」と思うような、新しい言葉の掛け合わせを瞬時に生み出す達人です。
-出典:前田裕二『メモの魔力 The Magic of Memos』(幻冬舎、2018年)
「ロマンティック」と「いか焼き」という一見ミスマッチな言葉を大胆に掛け合わせ、そこから生じる違和感が我々を曲へと誘導するのである。
この曲において「いか焼き」は、クソダサい(オヤジ臭い)食べ物代表として用いられている。
ロマンティックいか焼き
こんなものもキラキラして見える
恋は(恋は)催眠術
2人で食べれば
LOVE LOVE LOVE
- 出典:『ロマンティックいか焼き』/ 作詞:秋元康 作曲:横健介
このパンチラインが『ロマンティックいか焼き』の全てと言っても過言ではない。
2人でいると世界のすべてがキラキラして見えることを、「恋は催眠術」と表現しているのである。
「ロマンティック」と「いか焼き」の距離の遠さが、「恋は催眠術」であることを際立たせているのだ。
・放送作家、秋元康
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乃木坂46運営委員会委員長の今野義雄は、あるインタビューでAKB48と乃木坂46の違いについて以下のように述べている。
「あるメディア関係者は、AKB48グループには秋元氏が放送作家として培ってきたいろいろなノウハウが盛り込まれている、乃木坂46には『川の流れのように』(美空ひばり)を生み出したような高い作家性が表れている、と評していました。AKB48グループは体育会系、坂道シリーズは文化系、と言う人もいます。秋元先生の中に眠る2つの領域がそれぞれ色濃く出ているように思います」
出典:https://toyokeizai.net/articles/-/155004
実はこの2つの領域は、乃木坂46の楽曲の中にも見て取れる。
『君の名は希望』や『何度目の青空か?』のようなしばしば「乃木坂らしい」と評される曲たちは、秋元康の高い作家性が発揮されたものである。
一方で『ロマンティックいか焼き』や『ハウス!』のようなキャッチーでライブで盛り上がる曲たちは、アイデア先行の企画性が高いものに思われる。
これは想像だが、『ロマンティックいか焼き』は、「ロマンティックいか焼きって言葉面白くない?」という思いつきに世界観や歌詞を肉付けして完成したのだろう。
・『ロマいか』のここが好き!BEST3
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というわけで、この曲は歌詞がどうこうではなく、その企画としての最大の魅力であるふんだんに盛り込まれたソロパートについて語るべきであろう。
筆者の好きなソロパートBEST3、、、カウント~ダウン!
第3位「ターコイズのリング」→「並べたような海」(桜井玲香 → 西野七瀬)
れかたんの「透き通る美声」に続いてなーちゃんの「庇護欲掻き立てボイス」というホットライン。
歌い出しからこれだから『ロマいか』は最強なのだ。
第2位「お腹も灼かなきゃね」(星野みなみ)
「語り得ぬものについては、沈黙しなければならない」と哲学者ウィトゲンシュタインは言った。もはや「かわいい」という言葉だけでは星野みなみの存在を表現しきれない我々は、沈黙するしか無いのだろうか。
第1位「あばたもえくぼだし」(松村沙友理)
これを初めて聞いた瞬間、筆者の身体をさゆりんごの「あばたもえくぼだし」が駆け巡り、気がつくと筆者は「あばたもえくぼだし」の世界にいた。
これはもしかすると、ASMRの類かも知れない。
おそらく「あばたもえくぼだし」自身、自分のポテンシャルをここまで引き出す発音者が現れるとは夢にも思わなかっただろう。
以上、筆者の好きなソロパートBEST3の発表であった。
・『ロマいか』用語集
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【ロマンティック】
現実を離れ、情緒的で甘美なさま。また、そのような事柄を好むさま。空想的。(デジタル大辞泉)
【サディスティック】
サディズム(相手に苦痛を与えることによって性的満足を得る異常性欲)の性向のあるさま。また、残酷なことを好むさま。(デジタル大辞泉)
【ターコイズ】
トルコ石のこと。一般に、明るい青緑をしており、青みの強いトルコ石の色をターコイズブルーという。(色名がわかる辞典)
(画像元)http://natural-style.biz/powerstone/turquoise.html
【いか焼き】
イカ焼き(いかやき、いか焼き、烏賊焼とも書く)は、イカを用いた日本の料理である。この「イカ焼き」と呼ばれる食べ物は、イカを丸ごと使用して甘しょっぱい醤油味をつけて焼いた「焼きイカ」・「イカの姿焼き」・「イカの丸焼き」とも呼ばれる料理と、大阪で生まれたとされるイカを入れた小麦粉を焼いたクレープ状の軽食料理(『大阪のイカ焼き』)の二種類が存在する。(Wikipedia)
【あばたもえくぼ】
漢字で書くと「痘痕も靨」。恋する者の目には、相手のあばたでもえくぼのように見える。ひいき目で見れば、どんな欠点でも長所に見えるということのたとえ。(デジタル大辞泉)
▼おわりに
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キャッチーな曲、抽象的な曲、どっちも好き。
キラッ☆彡
では、また明日 stay tuned!