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あの日、試合を見ることができなかった私へ【FC刈谷 9/17】
こんにちは、板近 代です。
今日は、これまで何度も書こうとしてやめて、書いては消して、何度も書こうとして書けなくて、それでも、書くことを諦めきれなかった話を書こうと思います。
それは、私の過去の話。
私が、サッカーから逃げた話です。
前に進むために、言葉にしたい。
どうしても。
そう思いつつも、ずっと、書くことができませんでした。
でも、今なら書くことができます。
2023年9月17日の、FC刈谷の試合を見たから。
今日、私は前に進みます。
どうぞ、よろしくお願いいたします。
私は、サッカーの試合から逃げたことがある
もう、ずいぶんと前のこと。
私はサッカーの試合会場の近くまで来て、試合を見ずに……いえ、選手の姿すら見ずに帰ったことがあります。
会場の駐車場についてすぐに、パニック発作を起こしてしまったのです。
「車の外に出るのが怖い、人がいる場所に行くのが怖い」
外にあるすべてが怖くなってしまった私は、助手席の扉を開けることすらできませんでした。
そう、その日は友人が私を“外に連れ出してくれた”日だったのです。
この日の試合以前にも、友人は私をサッカー観戦に連れて行ってくれており、私も楽しむことができていました。
私も望んで、この場所に来たはずでした。
でも。
サッカーの試合を見れば楽しいということがわかっていても……
出た先に怖いものなんて何もないとわかっていても……
私の精神状態のことをよく理解してくれている友人が一緒にいると、わかっていても…………
私は一歩、踏み出すことができなかったのです。
友人は、私を責めることもなく、私が落ち着くまで車を走らせてくれました。
その時の私にとって、車の中以外の場所は怖くて、怖くて怖くて仕方がない場所で。
世界が怖くなくなるまで、友人は車を走らせてくれたのです。
私も、友人も、見ることができなかったその日の試合。
応援しに行ったチームは“友人が好きなチーム”であるFC刈谷。
会場は、岐阜フットボールセンターでした。
サッカーを知れば知るほど
その後の私は友人のおかげで、試合を見れなかったことがトラウマになることもなく、再びサッカーを見に行くことができました。
最初はすみっこで静かに見るのが精一杯でしたが、だんだんと声を出して応援できるようになり、今では一人で試合会場に行けるようにもなりました。
サッカーを知れば知るほど。
あの日、友人が私に見せたかったものが見えてくる。
サッカーを知れば知るほど。
あの日、友人が私と「ともに」試合を見ようとしていたことがわかってくる。
だから私は、あの日のことを後悔することはありませんでした。
後悔ばかりしている私が、一度も後悔することはなかったのです。
友人は「私のせいで試合が見れなかった」なんて、思ってほしいわけじゃない。
そういう確信があったから、私は、サッカーに対して罪悪感を抱かずに済んだのです。
いつしか、あの日試合を見れなかったという事実は、ある思いへと変わっていきました。
「今度こそあの場所へ」
サッカー選手が見せてくれた勇気。
試合会場で出会った、サッカーを愛し応援する人たちの優しさ。
そして、私が無理のない観戦ができるよう、いろいろと考えて続けてくれた友人。
多くの人の発する暖かい熱が、私の“立ち上がれなかった過去”を目標へと変えてくれたのです。
2023年9月17日
私が願った『その日』は、とても自然に、そしてまっすぐに目の前へとやってきました。
“友人が好きなチーム”であったFC刈谷は“私も好きなチーム”となり。
その応援の日々の中に、岐阜フットボールセンターでの試合があったのです。
2023年9月17日。
この日、この場所に来ることに恐怖はありませんでした。
「ここには、熱く暖かい人たちがたくさんいる」
「友人も、ともにいる」
「私は、友達は、みんなは、FC刈谷のサポーターだ!!!!!」
私は、ついに、自分が今いるべき場所として岐阜フットボールセンターに立つことができたのです。
「ここに来るまでに、何年かかったのだろうか」など、思う間もないほどに自然に、まっすぐに。
鳴り響く応援。
試合開始のホイッスル。
目の前で繰り広げられる、熱い戦い。
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勝利を目指す奮闘。
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挑み続ける勇姿。
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そして、2つのゴール。
1点目、20番 伊藤雄教選手が駆け抜けて、ボールを駆け抜けさせて決める!
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2点目、29番 大友千裕選手が全身を投げ出し力強く決める!
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ゴールの後も続く激闘。
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FC刈谷の戦士たちは一分一秒たりとも気を抜かず、炎のような気迫をまとい続け、全身全霊で戦い続けます。
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「これが、これこそがFC刈谷だ!」
結果つかみ取ったのは2対0、クリーンシートでの勝利!
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私はFC刈谷の勝利を岐阜フットボールセンターで、この目で、見ることができたのです!
あの日、間近まで来て、来ることができなかった場所で。
目に焼き付いているのは、サポーターと同じ場所に立ち、戦う仲間たちを鼓舞し続けた白井貴之選手。
FC刈谷の1番を背負うゴールキーパー白井選手は「仲間とはなにか」ということを全身で見せてくれました。
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試合後にあふれたのは、笑顔、笑顔、笑顔。
たくさんの笑顔。
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最高で最強の笑顔!
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私も、笑顔でした。
笑顔で、笑顔であれました。
笑顔を、分かち合うことができました。
私は思います。
世の中には、自分一人ではどうしようもないことがたくさんあります。
私は思います。
私はとても人に恵まれていて、そのおかげで前を向くことができています。
私は思います。
私一人だったら、太陽の下で笑顔になることなどできなかったでしょう。
だから「絶対、大丈夫」だなんて、無責任なことは言えません。
でも、伝えたいことがあります。
あの日、何が怖いかもわからないまま恐怖にのまれ試合を見ることができなかった私へ。
世界には、暖かい場所がある。
世界には、勇気を分けてくれる人がいる。
世界には、本当の笑顔がある。
出会えるかどうかはわからない。
届くかどうかはわからない。
踏み出した先が、良い未来かどうかはわからない。
差し伸べてくれる手に、気がつくことができないかもしれない。
でも、そういう場所はあるから。
そういう人はいるから。
生きたければ、生きればいい。
ありがとうございました。
これからもよろしくお願いいたします。