見出し画像

【ポケポケ】非エクミュウツーの可能性/ミュウツーデッキ考察

 こんにちは、いたちです!普段はポケポケの大会運営(いたち杯)をしています。本記事では、私が主催した過去の大会や海外の大型大会における対戦データを集計し、その結果をもとにミュウツーデッキにおける非エクミュウツーの有用性について考察してみました。データに基づく見解となるように執筆しましたので、客観性が高い記事だと感じて頂けると嬉しいです。


1.はじめに

 多くの人は「非エクミュウツーを入れた方が強いんでしょ?」という認識ではないでしょうか。それは一部正解です。どういうことかというと、非エクミュウツーを入れることによって、勝率が落ちるデッキもあるということなんです。どのようなデッキに勝率が落ちるのか、逆に非エクミュウツーを入れることでどの程度勝率が上がるのかということを知ることで、ミュウツーデッキへの理解が深まると思います。ぜひお楽しみください。

2.環境での立ち位置

 ミュウツーデッキの立ち位置はTier1だと考えています。過去4回にわたって開催したいたち杯においても、常にシェア率上位となっています。

第4回いたち杯デッキシェア率

3.デッキレシピ

ミュウツーexデッキ(非エクミュウツー採用型)

 直近のいたち杯で優勝された方のミュウツーデッキにも、非エクのミュウツーが入っていました。本大会の非エクミュウツーありのデッキは約70%となっており、非エクミュウツーが流行っていることがよく分かります。

4.ミュウツーexデッキ概要

 ミュウツーexの「サイコドライブ」をガシガシ打って、高火力で相手をなぎ倒そうというのがこのデッキのコンセプトとなります。この「サイコドライブ」、連打できれば強いんです。連打できれば。

 「サイコドライブ」連打のために必要となるのが、サーナイトの特性「トランスシェイド」です。エネルギーゾーンから超エネルギーを毎ターンつけられる破格の性能。でもね、2進化なんです。

 ミュウツーがバトル場に、サーナイトがベンチにいればまさに鬼に金棒。毎ターン「サイコドライブ」が打てるという最強コンビ。ただ、現環境では2進化を揃えるのが非常に難しい。安定性に不安が残るというのが、このデッキの最大かつ唯一の弱点。

 そして弱点が分かりやすいがゆえに対策されやすいんですよね。そう狙われるのはベンチにいるサーナイト系列のポケモンたち。ナツメの毒牙に怯えています。こいつらを倒されると、かなり遅れをとることになります。

 では、この弱点をどう補っていくか。有識者たちが様々なデッキタイプを作り上げていきます。

 ナツメの毒牙を避けやすくなる化石型ミュウツーや、たくさんドローをしてパーツ集めを行うニャース型ミュウツーといった安定性を求めたミュウツーexデッキが生まれました。

 そして、最終的に生まれたのが、非エクミュウツー採用型のミュウツーexデッキ。

最近追加されたイラスト違いかっこよすぎね。

 非エクミュウツーの主な役割は、壁役。ミュウツーを壁役にするなんて…とミュウツーの逆襲世代の私は思っていました。しかし、壁役はポケポケでは非常に重要な役割。壁役で相手の技をしのいでいる間に、後ろでアタッカーを育てます。この壁役のミュウツーが加入したことにより、サーナイトを完成させなくても、「サイコブラスト」を打てるようになり、安定性が格段に増しました。

ちなみに、そのほかの壁役としてよく登場するのが、フリーザーやガルーラ、カビゴン。

フリーザーは、にげエネ1ということが強みですが、なんてったって環境TOPのピカ様に一撃で倒されるのが痛すぎる。そして、ガルーラやカビゴンは逃げエネが3ということで、小回りが利きにくいのが弱点。

ということで、アタッカーとしても機能する非エクミュウツーがミュウツーexデッキに最も適している壁役という結論に至りましたとさ。

5.採用型・不採用型と環境デッキの勝率

 それでは、非エクミュウツーの採用型と不採用型で環境デッキへの勝率はどのように変わるかをデッキごとに見ていきましょう。

ピカチュウデッキ

ピカチュウex&ゼブライカデッキ

 環境最強の一角。「ピカチュウが一番強いなんて、素敵なカードゲームだなぁ」と私も最初の頃は思っていました。エネ2で最大90ダメージが出せるピカチュウを中心とした速攻タイプのデッキ。遅いデッキは一瞬で葬り去られます。そんなピカチュウデッキとの相性はこちら。

ピカチュウex欄=ゼブライカ採用型+ライチュウ採用型+その他ピカチュウデッキ

 非エクミュウツーを採用することで、ピカチュウデッキに強くなることが分かります。どの型のピカチュウデッキでも有利不利がひっくり返っています。ピカチュウデッキでは、HP120の非エクミュウツーを序盤から倒すことがかなり難しく、速攻型のピカチュウデッキには、壁役としてかなり有用だということがよく分かる結果ですね。

 仮に先に2ポイント取られたとしてもミュウツーexが育っていれば、「サイコブラスト」連打で逆転が狙えます。サーナイトもHP110のため、仮にナツメでバトル場に呼び出されてもピカチュウexの「エレキサークル」を一発耐えることができるので、返しのターンに逃げることができれば「サイコブラスト」で勝ちを狙えます。

リザードンデッキ

リザードンデッキ

 環境中盤から人気が上がったデッキ。最近はウインディex採用型も多くみられますね。現環境では、2進化ポケモン採用のデッキはどうしても不安定に。それを補うサブプランとしてウインディexの採用。理にかなっている強いデッキだと思います。ファイヤーexのコイントスで3枚とも裏が多いのは、私だけ?そんなリザードンデッキとの相性はこちら。

リザードンex欄=ウインディ採用型+ウインディ不採用型

 リザードンexデッキには、非エクミュウツー採用型の方が勝率が悪いという結果になりました。リザードンデッキは、序盤はファイヤーexの「れっかのまい」でベンチの炎ポケモンにエネルギーをつけながら、進化ラインが揃うのを待つデッキのため、非エクミュウツーが序盤の壁役として機能しづらいのではないでしょうか。

 お互いに2進化を揃える時間があれば、毎ターンエネ加速ができ、一撃で倒されないリザードンexの方がミュウツーexより強いと考えられます。そのため、初手やモンスターボールでミュウツーexを引き込むことで、序盤から「ねんどうだん」で攻撃していける確率の高い不採用型の方が勝率が良くなったのではないかと思います。とはいえ、若干の差であるため、割り切っても良い範囲かと、、、

 さらに、ウインディ採用型と不採用型で対ミュウツーの勝率に変化が出ることも結果から分かりますね。ミュウツー憎しの皆さん、ぜひリザードンデッキには、ウインディexを採用しましょう!

ミュウツーexデッキ

ミュウツーexデッキ(非エクミュウツー不採用型)

 最大の敵は自分。ということでミラーの検証もします。不採用型のメリットは、非エクミュウツーの枠を他のカードに避ける点。例えば、サカキを多めに採用することで、ミュウツーの50打点+10打点で多くのたねポケモンのHPラインである60を見れたり、ニャースを採用することで手札を増やせることなどメリットはあるんですが、結果はどうでしょうか。

 非エクミュウツー採用型に分があるという結果になりました。これは非エクミュウツーの"アタッカー"としての性能が活きているからだと思われます。

 例えば、非エクミュウツーの代わりにニャースなどのドロー要因を採用している不採用型と比較してみましょう。不採用型はニャースのおかげで採用型より早くサーナイトに進化することができますが、進化できたとしても3ターンはかかります。その間、お互いがベンチのミュウツーexに毎ターンエネルギーをつけている場合、不採用型がサーナイトに進化する頃には、採用型のミュウツーexにも3エネついていることになります。

 つまり、サーナイトに早く進化できたとしても、ミュウツーexで先に攻撃し始めたプレイヤーの方が返しのターンに「サイコブラスト」を打たれ、先にミュウツーexを倒されてしまう状況が出来上がります。不採用型のアタッカーはミュウツーexしかいないのに対して、採用型はミュウツーexに3エネつけば、非エクミュウツーで攻撃する準備に移れます。非エクミュウツーで120ダメージを相手に与えることができれば、サーナイトは一撃、ミュウツーexもひんし寸前まで追い込むことができます。そのため、不採用型より採用型の方が強いという結果になったと思われます。

スターミーexデッキ

 スターミーexデッキも大会では人気デッキです。カスミにより、一瞬で負けてしまうこともある上振れ界隈No.1デッキ。カスミの印象が強すぎて、カスミデッキと呼ぶ人もいるとかいないとか。スターミーexの逃げエネ0&2エネ90打点がとても優秀。そんなスターミーexデッキとの相性はこちら。

 非エクミュウツー採用型の方が勝率が9%程度高いという結果となりました。スターミーexデッキは、速攻型のデッキ。そして、スターミーexの90打点とフリーザーexの80打点を中心に攻めていくデッキ。HP120の壁役の非エクミュウツーがかなり有用に働くことがこの結果からもよく分かります。

その他デッキ

 上記4デッキ(ピカチュウ・リザードン・スターミー・ミュウツー)に比べるとシェア率は劣りますが、上位入賞も頻繁に見かけるデッキとの相性も検証しました。

 デッキタイプによって有利不利が分かれる結果となりました。非エクミュウツー採用型の方が勝率が上昇しているのは、対カイリュー・カツラとなりました。カイリューは非エクミュウツーがりゅうせいぐんのダメージをうまく分散したと考えられ、カツラは前述した通り非エクミュウツーが壁役として機能したことに起因すると思われます。

 逆に勝率が下降しているのは、対マタドガス。マタドガスデッキには、非エクミュウツー不採用の方が強く出れるということなんですね。これは非エクミュウツーがマタドガスの特性と弱点込みの攻撃2回で倒れてしまうこと、つまり、ニャースなどと耐える回数が同じという点で壁役としてうまく機能していないことによるものだと考えられます。むしろニャースの方が手札を増やすことで早くサーナイトに進化しやすく、勝率が上がったと思われます。非エク採用型が流行っている今であれば、マタドガスデッキは環境的にかなり刺さっているデッキとなりますね。

まとめ

 ということで、環境デッキの全11デッキタイプとミュウツーを比較してみました。

 結論、非エクミュウツーが壁役としてうまく機能するデッキに対しては勝率が良くなると言えそうです。

 今回比較したデッキとの勝率を見ると、基本的には非エクミュウツー採用型に軍配が上がる結果となりましたが、リザードンexデッキやマタドガスデッキが台頭してくると不採用型の方が良いということも十分にあり得ます。

 今回の集計では、大きくは下記のような整理となるかと思います。
非エクミュウツー採用型→速攻デッキに強く、高火力・耐久デッキに弱い
非エクミュウツー不採用型→速攻デッキに弱く、高火力・耐久デッキに強い

 実際、今回は取り上げていませんが、攻撃開始までが遅く高耐久であるフシギバナexデッキとの勝率も不採用型の方が良いことも確認しています。

 また、非エクミュウツー採用型・不採用型のどちらにも強い2デッキ(リザードンexデッキ、マタドガスデッキ)は、メタデッキとしてこれから活躍する可能性を感じました。

6.最後に

 今回は非エクミュウツーの採用型と不採用型の比較をしてみました。いかがだったでしょうか。ポケポケに限ったことではありませんが、なぜそのカードを入れているのかという理由を明確にすることで、カードゲームは飛躍的に強くなれると思っています。(偉そうにすいません笑)

 皆さんの考察や別デッキの別カード採用有無でも勝率を比較してほしい!などのご要望など、皆様からのご意見・コメントも募集しております。この記事が少しでも皆さんのお役に立てたら光栄です。ここまでご覧いただき、ありがとうございました。

参考文献

  1. Limitless TCG(海外ポケモンカード大会サイト), 2024年11月~閲覧。
    https://play.limitlesstcg.com/tournaments/?game=pocket


いいなと思ったら応援しよう!