【ルームシェア】それ俺じゃないよって言わせよう【人違い】
2023/03/29
それは俺じゃない。
気が使えて
いつでも優しくて
君の為になることばかりを考えて
自分のことは後回しで
楽しくなかったといえば嘘になるけど
苦しかったのも本当だ。
君に見合う男になりたかった。
君に好きになって貰いたかった。
君に大切にされたかった。
人は恋をするとお洒落をする。
それは何も衣服だけの話ではない。
所作や考え方も
まるで自分ではないように取り繕おうとする。
人は愛を知ると油断する。
それは見た目だけの話ではなく。
言葉遣いや考え方も
まるで相手を尊重していないように安堵する。
好きな人に対してどんな自分でいるのが正解なのか
好きな人がどんな人なら正解なのか
そんなことはこの少ない経験値では知る由も無い。
だがただ一つ言えるのは
君が優しくて器が大きくて甘くて
何でも許してくれる聖人だと思っているそれは
俺じゃない。
そんな良いもんでもなければ
それを超える度量もない。
間違えていたことだけがわかる。
はじめに固めたメッキは
近づけば近づくほどに剥がれていって
メッキの内側に隠した者と
メッキの外側を信じた者の認識の差異は
生まれた溝はどんどん広くなっていて
まるで別人をお互いに勘違いして認識していた。
君は誰で
君が思っているそれは俺じゃない。
じゃあ俺たちは誰と恋をして
何を愛していたんだろうか
悪い視力でいくら目を細めてみても
広がった溝で渡れない向こう岸にいる人の顔はもう
ぼやけてみることも出来ないでいる。