見出し画像

PauperEDHを遊んでみよう、デッキを組んでみよう 〜M:tG Pauperのデッキ構築を考える〜

はじめましての人ははじめまして。
すでに御存知の方はこんにちは。

今回はPauperEDHに関する総合的な記事になります。
これを読めばPauperEDHについて概要を理解でき、デッキを組んで始められるような記事を目指したい……と思っています。

具体的には、以前書いたPauperEDHのススメ記事から3年、このフォーマットをゆるく遊んできた中での知見がたまった分での更新と「PauperEDH始めてみたいけどどうやってデッキ組んだらいいか分からない」という人向けの構築指南を行う記事になります。

汎用的に使えるカードのリストも付録としてつけています。

↓以前の記事はこちら。
※重複することも書いてあるので閲覧必須ではないです


・改めてPauperEDHのルーリングの確認


PauperEDHは非公式の遊び方の為、ルーリングに幅があります。

MTG Wikiによれば、以下のようなルールで遊ばれることが多いようです。

http://mtgwiki.com/wiki/%E3%82%B3%E3%83%A2%E3%83%B3%E7%B5%B1%E7%8E%87%E8%80%85%E6%88%A6

・デッキ枚数は99枚+統率者1枚 各カード1枚制限と通常の統率者戦と同様。
・初期ライフが30~40点、統率者ダメージが15~21点
・カードプールは「今までにコモンとして収録されたことのあるカード」
 (Pauperの禁止カードも使用可能)
アンコモンのクリーチャーカードを統率者に指定する。
 (非伝説のクリーチャーでも可)
・その他のゲーム中のルールは統率者戦に準じる

もちろん非公式フォーマットなので遊び方は自由に決めてよいのですが、以下のような傾向はあります。

・初期ライフを通常の統率者戦と同じ40点、統率者ダメージ21点にすると、ゲームはそれなりに長くなりやすい

・クリーチャーのパワーが控えめのため初期ライフが少ないほど殴りジェネラルやライフを攻めるジェネラルが有利、ライフが多いとコンボ、コントロールジェネラルが有利な傾向はありそう……ですが40/21でも普通に殴りジェネラルは勝てます。

有利不利も多人数戦という混沌の中では最重要というわけでもないので、遊びたいゲームの長さ(沢山試合を回したいのかじっくり1試合を味わいたいか)で初期ライフを決めるのが良いでしょう。

・PauperEDHの特色(EDHとの比較)

普段EDHを遊んでいる人向けにEDHとの差異を挙げてみます。

(筆者はそこまで頻繁にEDHをやらず、レベル帯で言うと5~7くらいのデッキしか持っていないのでそこから見た比較になります)

・1枚でゲームを決めるカードはなく、サーチも限定的

ジェネラルを含め、1枚でゲームを決められるカードはほぼありません。2枚、3枚コンボはそれなりにありますが、サーチカードの対象がかなり限定され、かつ枚数も少ないのでゲームの再現性は低めです。

・アド勝負、クリーチャー戦主体、全体除去希薄

コモンのカードプールの特徴になりますが、1枚で勝負を決められるカードがないためアドバンテージを細かく積み上げていく勝負になることが多いです。
また、強力な置物は少なく主なダメージソースはクリーチャーになるので除去は重要です。
一方、全体除去も範囲が限られる(2~3点除去までがほとんど)ため、どのクリーチャーを除去するかの判断は重要になります。

・ジェネラルのみアンコモンのため、カードパワーは一段高い

メインデッキがコモンのみ、ジェネラルがアンコモンなので必然ジェネラルのカードパワーが高いことが多いです。
EDHよりもさらにジェネラルが戦術の軸になることが多く、ジェネラルにしか実現できない効果(パーマネントのコピーなど)もあります。

・レベル分けはあまり意識しなくてよい

コモンのみのカードプールは多少の入手難易度はあるものの、全体的に手に入りやすいです。
ある程度構築が練られていればデッキのパワーレベルは均質に保たれ、通常のEDHで言うところのレベル分けはあまり意識しなくても良いです。
明確に強力なジェネラルは居るのですが、1vs3の魔王戦となった場合は案外対抗できたりします。
(もっとプレイ人口が増えてくれば、最強デッキとそれに対するメタでcPDHと言える環境も生まれるかもしれません。

・ルールテキストがシンプルで戦況を把握しやすい

個人的に良いと思っている点。
PauperEDHのコモンのみのカードプールはシンプルなテキストが多く、
知らないカードだったとしても簡単な説明で状況が理解、共有しやすいです。

戦況に対してできる限り正しい手を打つための状況把握がしやすいので状況に置いて行かれるプレイヤーが少なくなり、ゲームプレイが引き締まるイメージがあります。

・非伝説アンコモンをジェネラルにできる

普通のEDHでは伝説のクリーチャーのみをジェネラルに指定可能ですが、非伝説アンコモンジェネラルという、PauperEDH独自のカードプールがあります。
当然プレイアブルなものとそうでないものはあるものの、統率者リーガルで伝説含む全てのアンコモンクリーチャーが4186枚(※)。
レアリティを問わないすべての伝説のクリーチャーが1687枚(※)なので、実は統率者に指定できるカードのプールはPauperEDHの方が広いです。

(※)2024年7月14日時点 アサシンクリード発売まで。

・マナ加速は重要(継続的>瞬間的)

EDH同様ゲームレンジは長めになるので、マナ加速は重要です。
一方で「1枚で勝てるカードを叩きつけて瞬間的に勝つ」プランが少ないため《暗黒の儀式》等の瞬間マナ加速の優先度は下がります。
マナファクトや《不屈の自然》《耕作》などでマナを伸ばしたり、宝物トークンを出すカードを使ってマナを溜めておくといった動きが有効です。

・PauperEDHの特色(Pauperとの比較)

普段Pauperを遊んでいる人から見たPauperEDHの特徴も挙げていきます。

・多人数、ハイランダー戦のためゲームの再現性は低い

多人数戦は狙われるプレイヤーやターンの順番などの不確定要素があり、決まったゲーム運びになりにくいです。
また、ハイランダー構築のため狙ったカードを引くことが出来ず、ドローやサーチによって補うことはできてもゲームの再現性は低いです。
この混沌を楽しめる人にお勧めできるフォーマットです。

・アド勝負、クリーチャー戦主体、全体除去希薄

一方で、カードプールはPauperと共通する部分が多いので、アドバンテージを積み上げて行ったり、クリーチャーを並べて通していく戦術が基本になりますし、数少ない単体除去で何を弾くかが重要になっていきます。
細かい判断がゲームを大きく動かしたりするので、そこはPauperと共通する魅力だと思っています。

・ゲームレンジが長い

通常のPauperに比べてライフが4~6倍になるので素直に20点を削り切る想定のアグロでは勝ちきれません。
ゲームレンジは長めになり、マナ加速は重要になります。

毎回決まるわけではありませんし、3倍の妨害が入りますが、無限コンボも高いライフを無視して勝てるため勝ち手段としては有効です。
(コンボ一点特化よりは他のプランも見据えつつ狙えれば、くらいが良いイメージ)

「各対戦相手にダメージを与える、ライフを失わせる」カードの効果は3倍になるので、そういった効果を持つジェネラル、カードで攻めていくアグロもアリ。
また、90点全部を削り切ることは放棄し、プレイヤーのライフが削れてきた頃合いで攻めに転じて数十点を一気に削り勝利を狙うのも立派な戦術になります。

・Pauperでお馴染みのパワーカード、禁止カードはやはり強い

先述の通りPauperとカードプール的には共通する部分が多いため、Pauperで強力なカードはPauperEDHでも大抵強力です。
Pauperで禁止になっているカードも例に漏れないのですが、ハイランダー構築で1枚制限となっているので、意外にゲームに及ぼす影響は限定的でバランスが取れています。
ストームや《頭蓋囲い》、強力なドローソースなどPauperで禁止されたカードのパワーをゲームが壊れない程度に味わえるフォーマットになっています。

発売前禁止のアイツも使用可能

・多人数戦を楽しむ

2人対戦と最大の違いは、多人数戦のボードゲーム的な楽しさを味わうことを目的にしていきたいこと。

個人的な信条としては「勝てるプランがあるデッキを持っていき、勝つ気でゲームに臨む」というラインはあるものの、結果として混沌に巻き込まれて勝利を逃したとして「楽しければOK」という姿勢です。

そして、このフォーマットのゲームは本当に楽しいのでぜひ一度やってみてほしいと思います!

雰囲気を掴むためにはPauperEDHを楽しく遊んでいる動画を見るのも良いでしょう↓

・PauperEDHのデッキを組んでみよう

デッキの作り方については、魚野メメさんの記事↓がありますので参考にしてみてください。
(正直私はデッキ構築は感覚派なのでこちらの記事の方が良く纏まっていると思います)

・マナベース、汎用カード、専用パーツ

私はPauperEDHのデッキを組む際にこの区分でパーツを選定しています。

①マナベース

土地+マナアーティファクト、もしくは宝物など一時的なマナ加速を行える要素があるもの。

合計45~50枚程度が目安。土地は切り詰め~充分で28~36くらいが妥当でしょうか。
うっかり減らしすぎるとデッキが回らなくなるのはどのフォーマットも同じ。

②汎用カード

マナベースもここに含まれるのですが、以下のようなカテゴリーになると思います。
・マナベース
・ドロー、それに類するアドバンテージ源
・除去(クリーチャー、置物)、打ち消し
・除去に対してジェネラル、クリーチャーを守るカード
・ジェネラルを経由しない汎用コンボパーツ
・そのほか、単体で強力なパワーカード

当然汎用カードの中にもジェネラルとシナジーがあるものがあるので、それらを優先的に取っていきます。

この枠で大体25~40枚程度。
デッキパワーを底上げし、デッキとしての体裁を整えてくれる枠。
専用パーツがジェネラルの色が出る部分であれば、ここはプレイヤーの色が出ると言えます。

③専用パーツ

ジェネラルとのシナジーを重視して採用する枠。
汎用的な強さはない、あるいは同様のカードで上位互換がいるものの、ジェネラルと組み合わせることで高い効果を発揮するカード。

この枠で10枚~25枚。

上記の考え方でデッキを組むと、ほとんどのカードは①②になるので、ジェネラル固有のシナジーを考慮して1から考える部分は③の10~25枚程度しかないことになります。

「100種類も採用するカードを考えるのは大変」に見えますが、25枚であれば考えられるような気がしてこないでしょうか。

また、専用パーツを考えるヒントになるサイトとして「PDHREC」というサイトもあります(英語)。

ジェネラルの名前で検索すると、そのデッキに良く採用されているカードがリストアップされます。

本家EDHをやっている人の中には「EDHREC」というサイトをご存じの方もいると思いますが、そのPauperEDH版です。

もちろん、この考え方はあくまで一例なので「1からすべての採用カードと向き合うぜ」という姿勢を否定するものではないですが、
構築の敷居をできる限り下げていろんな人がいろんなデッキを作れるとよいな、というアプローチの1つになります。

・強いカードの傾向

主観ですが、汎用カードの中で「どんなカードが強いか」という例を挙げていきます。

・マナベース

《不屈の自然》《耕作》などランパン系(基本土地をサーチして戦場に出す)
2~3マナのマナアーティファクト。色を問わず使えて強力。種類豊富。
《広漠なる変幻地》《進化する未開地》などフェッチランド。ライブラリ圧縮になるので強い。種類豊富。
「攻撃したとき、対戦相手にダメージを与えたとき」に宝物を生成するカード。赤と黒に多い。

意外とやりおる奴

《統率の塔》《秘儀の印鑑》ほか統率者戦用汎用カード。結構種類があるので「統率者」でテキスト検索してみると意外なものが見つかるかも。

・ドロー、それに類するアドバンテージ源

Pauperで強力なカードは大抵強力。
《ロリアンの発見》《夜の囁き》《命取りの論争》など。
同系再販や下位互換でもプレイアブルな場合もあるのでチェックする。

・除去(クリーチャー、置物)、打ち消し

Pauperで強力なカードは(以下略)
加えて「各対戦相手はクリーチャーを1体生け贄に捧げる」の効果を持つカードは3倍の除去性能があるので強力。

《チェイナーの布告》よりも
《呪われた匪賊》なら3倍除去できる

また「ジェネラルを戦場に留め置いて無効化するカード」は統率者領域に逃げられないためEDHでは強力です。
「すべての能力を失う」が枚数もあり採用しやすいですが、黒なら《土牢》が対処しづらく要注意カードになります。

統率者を封じて置物にできる
フェイズアウトは逃げることを許さない
要注意。

・除去に対してジェネラル、クリーチャーを守るカード

白のプロテクションや破壊不能付与、青の打ち消し、バウンス、黒の死亡時に戦場に戻る《フェイン・デス》系、緑の呪禁やサイズアップ付与など、
クリーチャーを中心に動くゲームになるので除去耐性を持たせることは重要
赤にはないのでアーティファクトの《囁き絹の外套》などを頼ることになる。

・ジェネラルを経由しない汎用コンボパーツ

コモンのカードプールでも無限コンボはあります。

無限コンボ集はPauperMTGさんがまとめているのでそちらを参照。

記事に挙げられているもの以外にも、以下のようなコンボがあります
(Pauper禁止カード関連と、新しいカード関連)
・ドレイクフリッカー(《幽霊のゆらめき》+《流浪のドレイク》+《古術師》系)
・マナのかからない無限ループ→ストーム系カード
・《格納庫のたかり屋》+《天光を求める者》コンボ
・サディストコンボ(《サディスト的喜び》+《日を浴びる繫殖鱗》)

青単の殴れないジェネラル等は勝ち手段が本当に少ないので、コンボを狙わないと勝ち切れない可能性もあるため注意。

・そのほか、単体で強力なパワーカード

Pauperで強力なカードに加え「各対戦相手は」と書いてあるカードがやはり強力です。

《アスフォデルの灰色商人》が良い例で「各対戦相手は黒の信心の分だけライフを失う。失われた点数に等しいライフを得る」なので、対戦相手が全てライフロスしたうえで、その点数×3のライフを得ることが出来ます。

相手から出される場合も要注意なカード群です 。

神話コモン

・オススメ汎用カードリスト

では実際どのカードが強力なのか。

PauperEDHはハイランダー構築のため、注目カードの枚数は非常に多く、
またネット上に「PauperEDHでこのカードが強い」という情報が転がっているわけでもありません。

ですので、作りました。

各色200枚前後で今まで使って強かった、あるいは強いと思われる効果を持ったカードをピックアップし、リストにしてみました。
今後も新しいセットが追加されたタイミングで、リストを追加して更新していきたいと思います。

新しいPauperEDHデッキを組むときに、ジェネラルの色でフィルタリングして、汎用カードにどんなものがあったかをチェックしてから構築を始めれば、結構な時短、デッキ精度向上になるのではないかと思っています。

ダウンロードしてお好きに使ってください。
ダウンロード後の加工、編集は自由ですので、S列のチェックを入れ替えて自分だけのリストを作るのも一興かもしれません。
(もしリストの再配布を行いたい場合は、この記事へのリンクを掲載いただくようお願いします)

・最後に

草の根大会Pauper Summit CupなどでPauperEDHが認知されて
興味を持っている人が増えている感覚があり、PauperEDHの布教記事の決定版を出したいと思っていました。

しかし情報がほとんど出回っておらず、個別のデッキ構築と全体的な構築指南の中間になる資料がないと考えて、様々なデッキに入りうる汎用カードのリストを作ってみました。

今後も折に触れてこの記事を取り上げていき、リストも育てていければと思っています。

今回は付録を豪華にしたので投げ銭箱を設置しておきます。
記事やリストが役に立った、と思った方は入れていただけると励みになります。

ここから先は

0字

¥ 200

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?