この公園が、私が17年もこの町に住んでいる理由
私は20年前にイタリアに本腰を入れて住み始めました。
最初はベネチア島内に住んでいましたが、その後、彼と一緒に住むため、2006年からベネチア西部の田舎町に引っ越しました。
町は小さく、徒歩で行ける範囲に個人商店が並んでいます。中心地を離れると小麦やトウモロコシ畑が広がる田園都市で、水運に恵まれていることもあってローマ時代からの歴史があります。
こじんまりとした素朴な雰囲気も良いのですが、特に気に入っているのが町の中央にある公園。無名の公園ですが、私を17年間も支えてくれている大切な場所です。
目を閉じるとさらに癒される自然
小さな町の一番大きな公園は、運河に囲まれた自然がいっぱいの場所です。
町のホームページによると、面積は5ヘクタールだそうで、東京ドームより少し広いくらい。
元々は、ベネチアの造船業で財を成した貴族が、別荘として19世紀の始めに整えた場所だそう。今は町に寄付され、地元の人々に愛される公園となっています。
広大な芝生の庭は、手入れが行き届いているので目を休ませるには最適な景色。木が生い茂る深い森もあり、その小道は山でハイキングをしているかのように空気が爽やかです。
園内には運河や池もあるので魚の姿も見えます。
他にも鴨や鶏、アヒルの他に名前を知らない鳥がいっぱいいます。
いつだったか管理人さんが、「いろんな種の鳥がいるのに、みんな仲がいいんだよ」と話してくれました。
目を閉じて自然を全身で感じるのが、私のお気に入りの過ごし方。
耳には鳥の鳴き声や水が流れる音。
肌には涼しい風や木漏れ日の暖かさ。
鼻には青い草の匂いや甘い花の香り。
ここにいると、世界の喧騒から切り離された感覚を全身で感じます。
引っ越ししたばかりの頃の私は、慣れない場所に不安で、毎日のように公園を散歩して気持ちを休ませていました。何度も同じ道を歩きましたが、迎え入れてくれた木々は、毎日成長する様子を見せてくれました。
コロナ禍でロックダウン中も、運河の鳥たちを眺めて過ごしていました。ぷっくりとかわいらしい鴨たちは、いつもと変わらない様子で、私を安心させてくれました。
園内のお屋敷も目を喜ばせてくれる
園内にある建築物も公園の景色を彩る要素となっています。
メインのお屋敷以外にもいくつかありますが、主に19世紀始めに建設され、現在は地元のアーティストの作品展やイベント会場として使われています。
中でも特筆したいのが、八角形の塔があるお城。発案者が14世紀のネオゴシック様式に憧れ、わざと崩れた遺跡風のお城を建設させたものなんです。地下には運河から引いた水で作った地下湖や人工的な洞窟が隠されています。
イベント時にはガイドツアーがあり、普段は入ることのできないお城の内部にも連れて行ってくれます。
最後にもう一つ、この公園には大きな魅力があるんです。
それは公園の近くにあるジェラート屋さん!
ジェラートの国際的な大会で、何度かチャンピオンになった人のお店があります。暑い日は、ここでおいしいジェラートを買って、園内で食べるのも楽しみの一つです。
旅行先で疲れた時、地元の人がのんびり過ごしている公園にも足を運んでみてください。そこでゆっくり過ごす時は、あなたの力をチャージする大切な時間になるはずです。
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