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IT企画のつくりかた#01 〜コンセプトを作ろう
さっそくそのITシステムをどうやって企画して形にしていくのかについて、順を追って書いていきます。
IT企画のロードマップ
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IT企画のいちばん難しい所は要件定義で、いちばん大切なのがコンセプトワークです。
コンセプトワークが大切なのは、課題に対する解像度が高くなければ正しいものが作れないから。業務効率の最大化を〜みたいな事言われても、なにをどうしたいのか(どういう情報をどう集めてどう活用したいのか)がイメージできないものは、NGです。
要件定義が難しいのは、実際にどうやってシステムを作ればよいかが見えてくるまでには色んな制約が各社存在する上に、技術的な知見が必要になるからです。一筋縄では行きません。業者さんに頼めば良いわけではなく、みなさんがどれだけのリスクを取るかによって、値段感や成功度も変わります。
コンセプトワークとは、未知の良さに言葉をつけること
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コンセプトを簡単に言えば、「今はまだわからない未知の良さを表現している、20文字程度の言葉」です。ちゃんと言葉で明文化する必要があります。絵ではだめです。
上記のマトリックスを見て下さい。左から右上に進んでいくのがコンセプトワークです。すでにわかっていて、手に入れたいものが見えているなら手段を決めるだけの話。既知の問題を調べていっても欲しいものがすぐに見えてこない、これがないと不都合が続くことはわかっている・・・それらをどういう状態なれば解決できるのだろうか、を考える作業です。
工場のIoT化に伴うコンセプトワーク
「Small Factory 4.0 第四次「町工場」革命を目指せ!」という書籍の事例がわかりやすいので、こちらを引き合いに出します。
■コンセプト策定までの背景
- 生産管理を行うに当たり、計画数・実績・停止理由(実績と乖離した理由)・ラインが止まった時間を記録して改善に役立てたい
- が、設備のカウンターが時間どおりに作動しない、停止時間を正確に測定する手段がない、生産ラインのある工程における作業時間が正確ではないなどの複数の課題が山積。
- 生産個数や停止時間の測定及び記録は、人がやるべき仕事ではない。生産個数と停止時間を自動で記録できること、を目指そう。
このあと、色んな展示会に回るも金額が高い・最新設備にしか対応していない・そもそもコンセプトに合う製品ので、ないから作るしかないという結論に達します。そこからが面白いのでご一読を。
手に届く距離感を作るのは、課題への解像度です。何を課題として認識しているのか、それはどこからやってきて、どういう根っこが背景にあるのか。
この事例を引き合いに出したのは、コンセプトワークには手に届く距離感が大切であることをお伝えしたかったからです。いくら未知の良さを求めると言っても、その良さによってどんなメリットが有るのかパッと思いつかないようでは、企画を実行に移す時に迷走しかねません。
ITで何かを達成するのであれば、ITにどんなことをやらせるかを明文化する必要があります。コンセプトがピタっとハマると、「これができたら気持ちよいぞ」的なブレイクスルーを感じられたり、まずはここから調べてみようか的な今後の取り組みの優先順位が見えてくるもの。なんとな〜く決まったコンセプトを元に動くと、進めていくと「なんか違う」的な状態になりがちです。
良いコンセプトで、良いITプロジェクトを。
追記
IT企画の方法論については、全て下記の資料に集約して記載しました。こちらをご覧ください。